「古典常識のツボ① ~12支と方位の関係前編~」で、古典常識の世界の入り口を少し垣間見ました。
前回、長くなって説明ができなかった方位と季節の関係などをご紹介していきます。
前編は以下をご参照ください。
まずば方位と月などの関係を表した基本の図を再度見てみよう!
この図には、以下の情報が記載されています。
①12支の配置
②1月~12月までの月の配置
③1日の時刻(24時間)と12支との関係
④12支と方位の関係
↑↑ここまでを前回説明↑↑
↓↓ここからを今回説明↓↓
⑤方位と季節の関係
⑥季節と色の関係
⑦各方位を守る神(四神)
①や②は知っている人も多いと思いますが、④以降になるとだんだん知らないことが増えてくると思います。意外な事実がありますので、興味を持って読み進めてみてください。
方位と季節の関係
前回の最後の項目で12支と方位の関係を紹介しましたね。
時計の文字盤の12時のところに「子」を配置するのですが、地図と同じで上が「北」右が「東」下が「南」左が「西」でした。
今度は、そこに季節を当てはめていきます。
イメージがわくと思いますが、寒い冬は北、暑い夏は南にはまります。
よって、「東」⇒「春」、「南」⇒「夏」、「西」⇒「秋」、「北」⇒「冬」となります。
そして、冬からまた春へと永遠に回っていくという考え方です。
春に吹く東からの風は「東風(こち)」と言います。
また、皇太子のことを古典では「東宮(とうぐう)」と言いますが、「春宮」と書くこともあります。
ここには「東」=「春」という考え方が見えますね。
これは、春が「芽生えや成長の時期」、夏が「最も生命力が盛んな時期」、秋が「収穫の時期」、冬が「終息の時期」という時期的な特性から、これから天皇になる皇太子は春に位置づけられているという考え方になります。
月の配置のところで「1月を寅に配置する」という話があったと思います。
年賀状に「賀春」とか「新春」と書くのは、1月が春のスタートであり、春は東に位置づけられる「寅」からスタートするということと関連付けて覚えておくとよいでしょう。
季節と色の関係
さて、12支の「寅」から3つずつ、春⇒夏⇒秋⇒冬と季節を当てはめるとと言いましたが、そこには色も関連付けられています。
東⇒春⇒青
南⇒夏⇒朱
西⇒秋⇒白
北⇒冬⇒黒(玄)
現代には「青春」という言葉が広く使われ残っていますし、詩人として有名な北原白秋もここからきているペンネームです。
冬の色は「黒」なのですが、漢字としては「玄」という字を当てて使うことが多いです。
「玄」という感じはあまりなじみがないかもしれませんが、「素人(しろうと=アマチュアの意)」に対して「玄人(くろうと=プロフェッショナルの意)」という対義語や「白米」に対して「玄米」という形で「しろ」「くろ」の関係を表す字として使われています。
「黒」と「玄」は正確には少し違う色のようです。
「玄」は真っ黒に比べると少し薄く、他の色の要素も入っている黒のようです。
「白」も現代の漂白剤を使ったような真っ白ではなく、少しクリーム色っぽい色が入った「白」を表していたようです。
各方位を守る神(四神)
最後に、各方位を守る四神についてのお話です。
これは入試古典の基礎知識というだけでなく、いろいろなゲームやアニメのキャラクターなどにも展開されているので、名前くらいは知っている人も多いと思います。
前述の方位と色の関係ともつながりますので、関連知識として覚えておくとよいでしょう。
方位 | 季節 | 色 | 四神 | 地勢 |
---|---|---|---|---|
東 | 春 | 青 | 青龍 | 流水 |
南 | 夏 | 朱 | 朱雀 | 湖沼 |
西 | 秋 | 白 | 白虎 | 大道 |
北 | 冬 | 黒 | 玄武 | 丘陵 |
四神の色と各方位の色が同じになっていることに注意してください。
また、平安京は四神のいるべき地勢を満たす場所として選択されているとする説もあります。
・青龍の流水=鴨川
・朱雀の湖沼=巨椋池(現在は干拓によりない)
・白虎の大道=山陰道
・玄武の丘陵=船岡山
この議論は根拠薄弱という説もあるので、参考程度に。
他にもベイブレードとか、幽☆遊 ☆ 白書やふしぎ遊戯などにも出ていますかね。
古典の世界をとらえるときに、教科書の中の別世界と考えるのではなく、現代と時間的につながっている歴史的事実としてとらえる視点が大事です。
その方が現実感がわいてくるし、より深く知りたいと思うようになりますよ!
コメント