【古典攻略】古典の基礎⑤ ~係助詞と係り結びの法則の覚え方~

古典の学習
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中学校でもお約束のように習う「係り結びの法則」。これ自体は簡単な知識なのですが、入試での得点を少しでも上げたい考えると無視できない重要な知識となります。

今回は、係り結びの法則と係助詞について取り上げます。

まさお
まさお

「係助詞」や「係り結びの法則」自体は多くの生徒が知識としては理解しているようです。
その知識を点数に変えるためのツボを今回は教えます!

係り結びの法則のポイント

・係り結びの法則で出てくる「連体形」「已然形」の形の特徴
 ⇒連体形は「ウ段の音」已然形は「エ段の音」に注目する!
・係助詞「や」「か」の訳し方
 
「~にや」「~にか」が出てきたら、「~だろうか」と疑問で訳す。
 ⇒「~やは」「~かは」がでてきたら、「~だろうか、いや~ではない」と反語で訳す。

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係り結びの法則とはどんな法則か

まずは実際の例文を見てみましょう。かなり有名なので知っている人も多いと思いますが、兼好法師の「徒然草(つれづれぐさ)」第四十五段の抜粋です。

 公世きんよ二位にゐのせうとに、良覚僧正りやうがくそうじやうと聞えしは、きはめて腹あしき人なりけり。

 ぼうかたはらに、大きなるの木のありければ、人、「榎木僧正えのきのそうじやう」とぞ言ひける。この名然るべからずとて、かの木をられにけり。その根のありければ、「きりくひの僧正」と言ひけり。いよいよ腹立ちて、きりくひを堀り捨てたりければ、その跡大きなる堀にてありければ、「堀池僧正ほりけのそうじやう」とぞ言ひける。

係り結びの法則の例文
  • 人、「榎木(えのきの)僧正(そうじやう)」と言ひける
  • ~ 「きりくひの僧正」と言ひけり
  • ~「 堀池(ほりけ)の僧正」と言ひける

本文を何回か音読すればすぐに気づけると思いますが、
本文中に「ぞ」が入ると文末が「ける」になり、
本文中に「ぞ」がないと文末が「けり」になるということに気づければよいのです。

このように文中に「ぞ」のような特殊な言葉が入ると、文末の表現が影響を受けて形を変えてしまうことを「係り結びの法則」と言います
また、文末の形を変えてしまう「ぞ」のような言葉を「係助詞(かかりじょし)」と言います
係助詞は「ぞ」以外にもいくつかありますので、文末の形との関係を表にまとめておきましょう。

係り結びの法則

①文中に「係助詞」と呼ばれる特殊な言葉が入ると、文末が形を変えてしまう法則。
②係助詞の「や」「か」は特別な意味を持ち、訳し方に注意する必要がある。

係助詞文末の形意味と訳
ぞ・なむ連体形強意「~だなぁ」
や・か連体形疑問「~だろうか」
反語「~だろうか、いや~ではない」
こそ 已然形(いぜんけい)強意「~だなぁ」

ちなみに係助詞がない場合の文末の形は「終止形」になります。

ここまではよく授業などでも取り上げあられますよね。聞いたことのなる人も多いと思います。
さて、では、連体形や已然形ってどんな形なのでしょうか…?

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連体形・已然形とはどんな形か、サクッと覚える

連体形と已然形の原則だけ覚えておきましょう。ちなみに連体形と已然形の特徴は以下の通りです。
・連体形…後ろに「とき」「こと」などの名詞をつけたときの形
・已然形…後ろに「ども」をつけたときの形

論より証拠。例をいくつか並べますので、法則に気づいてください。

基本形終止形連体形已然形
飛ぶ飛ぶ(。)飛ぶ(とき)(ども)
覚ゆ覚ゆ(。)覚ゆる(とき)覚ゆ(ども)
うつくしうつくし(。)うつくしき(とき)うつくしけ(ども)
~なりなり(。)なる(とき)(ども)
~む~む(。)~む(とき)(ども)

入試ではよく空所補充問題で出ます!
文中の係助詞を見つけて、文末に何系の言葉が入るかを判断できればバッチリです。
「古文の空所補充=係り結びの法則を疑え」ということです。

まさお
まさお

法則に気づけますかね…?
動詞など、基本形がウ段の音か「~」で終わると、
 連体形はウ段の音、已然形はエ段の音で終わりますね。
形容詞など、基本形が「~し」で終わる場合は、
 連体形は「き」、已然形は「けれ」で終わります。
ざっくり、連体形はウ段が多い、已然形はエ段が多いと覚えればかなりいけます。

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【超重要】疑問と反語の訳し方を覚える

係助詞の「や」「か」が文中に入った場合の訳し方は超重要です
高校入試でも難関高校になるとここの訳を答えさせますし、大学入試では必ず通過しないといけない基本ポイントです。

「や」「か」の訳し方の基本

1.原則
 本文中の「や」「か」が疑問か反語のどちらで訳すかは文章の流れから読み手が判断する。
2.疑問で訳すことが多い場合
 文中に「~にや」「~にか」と「に」とセットで使われた場合は疑問で訳すことが多い。

 疑問は「~だろうか。」と訳すのが基本。
3.反語で訳すことが多い場合
 文中に「~やは」「~かは」と「は」とセットで使われた場合は反語で訳すことが多い。

 反語は「~だろうか、いや~ではない。」と訳すのが基本。

試しに例文を訳してみましょう。

【例文①】大きなる人にあらん。
 ⇒大きな人だろうか
【例文②】かは苦しき。
 ⇒何か苦しいのだろうか、いや苦しくはないだろう
【例文③】花は盛りに見るものかは。(結びが省略されています)
 ⇒花は盛りの(満開の)ときに見るものだろうか、いやそうではないだろう
  ※吉田兼好の文ですが、ちょっとひねくれていますね。現代人は反語で訳す勇気が出せない。

こんなイメージです。もう少したくさん問題を解いて慣れてくるとスムーズに訳せるようになってくるでしょう。

現代語にも残っている係り結びの法則

係り結びの法則について、だいたい理解できましたか?
古典の世界だ系の話と思わず、現代の日本語の知識とくっつけて覚えてしまった方がよいでしょう。
現代語で使われる事例をいくつか紹介します。

例1「仰げば尊し」の歌詞

卒業式などでよく歌われる「仰げば尊し」の歌詞。知っていますか?

(前略)
いーまー、こーそー、わーかーれーめーー」(今こそ、別れめ~)って歌いますよね。
ここ係り結びの法則ですよね。

「今こそ、別れ。」⇒「こそ」が係助詞、「め」は「む」の已然形です。
古典の助動詞「む」は「~しよう」「~だろう」という意味(意志・推量)です。
この場合は、「~しよう」が強調されますから、「今はもう、別れようぜ!」という感じです。

まさお
まさお

「今こそ、分かれ目」と思っている人が国民の半分以上だと思います。
チコちゃんに怒られないように、覚えておきましょう!!

例2ことわざ

ことわざに「好きこそものの上手なれ」というのがあります。
「好きなことは上手なものである」という意味で、上達するにはまずは好きになることが大事という意味でもあります。

「好きこそものの上手なれ」⇒「こそ」が係助詞「上手なれ」は「上手なり」の已然形です。
「好きなことこそが、上手なことなのだ」という強調の意味が感じ取れるとこの言葉の真意が伝わりやすくなると思います。

まさお
まさお

何でもそうですが、好きなものが一番上達するのです。
勉強もどうせやるなら、これをやることで自分の夢の実現に一歩近づけるといった感覚をもって臨むとよいでしょう。
長く一生懸命やると、少しずつ好きになっていくと思います!!

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