古典常識のツボ① ~12支と方位の関係・前編~

五芒星 高校入試
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まさお
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古典の勉強がある程度進んでくると、古典の世界のものの考え方や常識がないと話が見えなくなってきます
今から1000年も前の平安時代くらいになると、今とは生活習慣が全く違いますので、現代の考え方を当てはめて古文を読むととんでもないことになります
そんなわけで、今後何回かに分けて古典常識の世界をご紹介したいと思います。

十二支と方位の関係

古典常識の基本にあたる「12支」と「方位」の関係を整理して覚えられます。
ね・うし・とら…は方位や時刻を表します
◆さらに十二支と12か月の月の名前との関係、色や季節との関係も覚えていきます。
⇒方位と色・季節・月の関係は現代にも大きな影響があります

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日本は古来、月の満ち欠けを帰順した太陰暦を使っていた

皆さんは暦が天体の運行をもとに作られているという話を聞いたことがありますか?
古代エジプト文明は太陽をもとに暦を作り、メソポタミア文明は月の動きをもとに暦を作りました。
日本も百済から僧を招いて604年に大和朝廷が暦を作ったといわれています。
それは月の満ち欠けをもとにした「太陰暦」と呼ばれる暦でした。

太陰暦によって、1年の季節の巡りや、行事を行うのによい日柄、吉となる包囲はどこかといったことを大真面目に決めており、それをつかさどるのが陰陽寮(おんみょうりょう)の役目でした。
映画「陰陽師」などで有名な安倍晴明はこの流れを汲んでいます。

古典の世界を支配するこの暦と方位と季節などの関係を知っておくことは、基礎知識としてとても重要なことなのです。

まさお
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平安時代は「物忌み」といって、占いで日柄が悪いとその日は外出を控えるといったことが当たり前でした。現代人からすると学校さぼれてうらやましいかもしれませんが、昔の人は本当に物忌みに悩まされていたようです。

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方位と月などの関係を表した基本の図を見てみよう!

12支と時刻・方位・季節・色の関係

この図には、以下の情報が記載されています。
①12支の配置
②1月~12月までの月の配置
③1日の時刻(24時間)と12支との関係
④12支と方位の関係

↑↑ここまでを今回説明↑↑
↓↓ここからは次回説明↓↓
⑤方位と季節の関係
⑥季節と色の関係
⑦各方位を守る神(四神)

①や②は知っている人も多いと思いますが、④以降になるとだんだん知らないことが増えてくると思います。意外な事実がありますので、興味を持って読み進めてみてください

12支の配置

12支というのは皆さんも聞いたことがある、「ね」「うし」「とら」「う」「たつ」「み」「うま」「ひつじ」「さる」「とり」「いぬ」「ゐ」の12個の干支のことです。
年賀状などにも記載されていますよね。
2020年は「ねずみ」ですね。
古典では、時計の12時の文字のところに「子」を配置して時計回りに「丑」「寅」と配置していくことを知っておきましょう
これがすべての基本です。

1月~12月までの配置

時計の文字盤の12から順に12支を配置した後は、月の名前を配置します。
古典の世界では「1月」は「むつき(睦月)」と呼びました
1月~12月の異名はそれぞれ以下のようになります。

月の異名意味
1月睦月(むつき)「睦」は仲が良いという意味
正月にみんなが集まって仲良くすることから。
2月如月(きさらぎ)春に向かって草木が生え始めることから
「生更木」から「きさらぎ」となった模様。
3月弥生(やよひ)いよいよ草木が生い茂る時期とのことから。
「弥生」は「いやおい」と呼んでいた模様。
4月卯月(うづき)卯の花が咲く季節ということから
現代の5月中旬~6月ごろ
5月皐月(さつき)早苗(さなえ)を植え始める時期
「早苗月(さなえつき)」から。
6月水無月(みなづき)田に水が溜まっている月で「水の月」。
「無」は「ない」ではなく「の」の意。
7月文月(ふみづき)7月は七夕があり、
短冊に字を書いた
風習から。
8月葉月(はづき)現代の9月月下旬~10月ごろにあたり、
葉が落ちる月」から。
9月長月(ながつき)秋の夜長の「長夜月」から来た説が有力。
10月神無月(かみなづき)神をまつる月で「神の月」から。
水無月同様「無」は「の」の意。
11月霜月(しもつき)霜の降りる寒い月
「霜降り月」からきている。
12月師走(しはす)年末は忙しく師が走ることから。
「師」は「僧侶」の説が有力。

月の名前はその月の特徴を言い表しているということを意識しましょう!

まさお
まさお

これを見て、今と季節感がずれていることに気づきますか?
現代は「太陰暦」ではなく「グレゴリオ暦」というのを使っています。
詳しいカレンダーには「旧〇月〇日」などと書いてあると思いますが、あれが古典の世界の日付です。月によってかなり変わりますが、おおむね40日くらい遅れます。
2月の上旬に中国人が春節と言って日本に大挙してくるのは、旧暦のお正月だからです。

もう1つ知っておくべき重要な知識があります。
1月は「子」の位置に置かず「寅」の位置に置くということです。
これは後で出てくる方位と季節の関係とも関連しますが、
「1月~3月」=春
「4月~6月」=夏
「7月~9月」=秋
「10月~12月」=冬
という季節感と関係があります。
月の名前も4月からが夏だと考えると納得感がありますよね。

1日の時刻(24時間)と12支の関係

12支は「子」を時計の12時に位置に配置すると説明しましたが、この位置関係はそのまま時刻も表します。
「子」は午前0時を中心とした2時間(午後11時~午前1時まで)。
「丑」は午前2時を中心とした2時間(午前1時~午前3時まで) 。
と続きます。
よく、「草木も眠る丑三つ時(うしみつどき)」などと言いますが、これは丑の刻を4つに分けたうちの3つめを表します。つまり、「午前2時~2時30分」のことです。

他にも
「午」はお昼の12時を中心とした2時間(午前11時~午後1時まで)を指します。
ちょうどお昼の12時を「正午」というのは、「正に午の刻!」ということです。
午前や午後といった言葉の「午の刻」からきている古風な言い方ということになります。

12支と方位の関係

何度も出てきますが、12支の「子」は時計の文字盤の12の位置に配置をします。
この位置関係はそのまま、方位も表すことになります。
地図の基本は「北」が上ですがら、「子」が「北」を表すということになります。
同様に「午」は「南」、「卯」が「東」、「酉」が「西」ということになりますね。
全部覚えなくても時計の文字盤を見ればすぐにわかることだと思います。

現代の生活で「子」が「北」なんて使っていないのですが、一部現代にもこの考え方が残っていることがあります
それを知っておくとこのあたりの知識の意義がより深く理解できます。

地理で出てくる「子午線」

地理の授業で「子午線」ということばが出てきませんでしたか?
北極点と南極点を結ぶ線です。
イギリスのグリニッジ天文台を通る子午線は、世界標準時の基準となり「本初子午線」とも言います。
「子午線」は「子」と「午」を結ぶ線という意味です。
「子」は「北」、「午」は「南」ですから、「南北を結ぶ線」ということになりますね。

船の舵を切るときの掛け声

皆さんは船の操縦はしないでしょうが、現在の船舶の運航においては、
右に船首を曲げることを「面舵(おもかじ)」左に船首を曲げることを「取舵(とりかじ)」と言います。
いったい何の関係があるのかということですが、このような説があります。
面舵(おもかじ)は右(「卯」の方向)なので「卯の舵」が変化して「面舵」となった。
取舵(とりかじ)は左(「酉」の方向)なので「酉の舵」から「取舵」となった。

南北とは関係ないのですが、12支が方向を示す言葉として使われている例です。

もう少し続くのですが、長くなりましたので今回はここまでとして、続きは次の記事で公開します。

まさお
まさお

古典の知識として頭に入れるのではなく、現代にも通じる考え方として頭に入れておいた方が深みが増します。
まずは、図のイメージを頭に定着させてください!
時計の文字盤の12時のところに「子」と書いて…。です!!


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