【教科書2割減?】文科省の学校の授業を一部外に出す施策の意味

教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです!
6/5に文部科学省が「学びの保障総合対策パッケージ」というこれまで断片的に発信してきた内容を一つにまとめた資料を発表しました。各自治体に対して、この内容を通知しています。
この中に、学校の授業時間数減少に伴う対応として、授業内容を一部重点化し授業外に出しても構わないという内容が含まれています。

マスコミなどでも報道されていますが、今回はこの「教科書の約2割を授業外で学ばせるという施策」について取り上げたいと思います。

教科書内容2割授業外実施の要点

実質的には教科書内容の削減と同じ
⇒授業外実施という表現を使っているが、実質やらなくていいと考えた方がよい
受験学年は年度内にとにかく全て終わらせる
入試対応も含め翌年度には絶対に回さないという前提で考えるべき

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文部科学省の通知の概要

通知の本文は以下のリンク先にありますので、興味がありましたらご覧ください。

https://www.mext.go.jp/content/20200605_mxt_kouhou02_000007000-1.pdf

この資料の前半では、これまで五月雨式に出されてきた様々な新型コロナウイルスによる休校措置とそれを取り戻すための施策、感染防止のための留意点をまとめなおしたものととらえればよいでしょう。

この資料の後半に「学びの保障総合対策パッケージ」というタイトルの資料がついてます。ここには、子どもたちの学びを学校が放棄してしまわないようにこのような施策で学習内容を保障してほしいという趣旨の内容が記載されています。

今回、新聞等でも報道されているのが、この中の「学校の授業における学習活動の重点化」という内容です。
簡単に言うと、「授業時間数がどうしても足りない場合は、授業で取り上げる内容にメリハリをつけて重要事項を学校で扱い、それ以外は授業外に出してしまってよい」という趣旨の内容です。
新聞では、これを家庭学習に外だしするというような表現になっているケースが多いようです。

まさお
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ちなみに授業にすっすうの取り扱いについては、資料内に以下のページのような記述があります。下の方に休校によって実施できていない授業分の取り扱いについての記述があります。

とても読み取りづらいのですが、休校した授業日の35日分は土曜授業や夏休み・冬休みの短縮などで取り戻し、足りなくなる20日程度分は授業以外の場で実施という記述になっています。

文部科学省「「学びの保障」総合対策パッケージ」より引用
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教科書会社は具体的にどこを外出しするか示している

これだけでは具体的に何をどの程度授業外に出してよいのかわからないので、教科書協会が各教科書の具体的にどの単元をどの程度授業外に出せるかを取りまとめ、具体的な時間数まで入れて提示しています

学習活動の重点化等に資する年間指導計画参考資料
教科書協会が目的としている、検定教科書の質的向上と教科書発行事業の合理化に関する調査研究などの具体的内容を紹介しています。

教科書会社も突貫で作っているらしく、現時点では一部の学年だけが公表されているようです。

たとえば、東京書籍の中3の数学などを見てみると、第1章の多項式では、
標準配当時間数:18時間
授業内実施時間数:13.9時間
授業外実施時間数:4.1時間

などと具体的な数字が記述されています。

簡単に言うと、「第1章 多項式」は本来18時間を想定しているが、ここを削れは13.9時間でできるよ、と言っているわけです。

学習指導要領等で規定された学習内容ですから、はっきり「やらなくていい」というわけにはいかず、「学校の授業以外の場での学習が可能と考えられる学習活動」などという回りくどい表記になっていますね。

ちなみに、どんな内容が学校の授業以外で学習可能とされているか令を出してみましょう。

「多項式の計算」の中で、「基本の問題」の取り扱いについて、

p.20 の「基本の問題」を学校の授業以外の場での学習で取り組み,答え合わせもする。わからない問題があれば授業で解決する

と記述されています。つまり授業内でやっていた問題演習を宿題にして、わからなければ授業で教えてあげてくださいという対応になっています。

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実質教科書内容の削減と考えるべき

すでにお気づきの型もいると思いますが、上記の授業外に出す内容というのは、端的に言えば「宿題にする」ということなのですが、全生徒がきちんと宿題をやってくるとは思えません。

つまり、学習単元のうち、最低限必要な要素は授業内で扱うが、演習を中心とした定着部分は宿題として課して、生徒の責任においてやってもらうしかないという趣旨のようです。

実際、1クラス40人の生徒が学校の授業内容を全員理解しているとは思われませんので、現実的な対応と言えばそういうことなのかもしれません。

ただ、学校の授業内で習った内容を演習することで学習内容を定着させてきた生徒は、これによって頭では理解した気になったものの、実際にテストで問題を解いてみようとすると意外と定着していないということに気づかされてしまうかもしれません。

塾などで問題演習がいかに重要かを徹底的に教えられている生徒と少し差がつく可能性があります。もし、学力テストが行われ前年の生徒との比較が行われたら、明らかに2020年度の生徒の得点は低く出ることになると思われます。

まさお
まさお

学校の先生が、家庭学習で課す問題演習をきちんと生徒に実施させる力があればよいのですが、学力差のある多くの生徒を同時に教える学校現場では、徹底は難しいでしょう。どのレベルの生徒までに宿題実施を徹底させられるかが、先生の力量として可視化されてしまうかもしれません…。

高校入試の時期はずらせないという裏メッセージ

この通知は裏を返せば、とにかく高校入試は年度内にやるという意思表示ととらえることもできます。

文部科学省の資料の中に以下のようなページもありました。

文部科学省「「学びの保障」総合対策パッケージ」より引用

今の中学校は10月以降にこんなに学校行事をやっていないようにも思いますが、運動会・文化祭・修学旅行等を感染に気を付けて実施し、1月~3月に高校入試を感染症対策を講じた上で実施すると記載されています。

とにかくこのスケジュールで2020年度は乗り越えるということだと思います。中3生の皆さんはこれを前提に密度の濃い入試までの時間を過ごすことになると覚悟を決めることが大事です!

まさお
まさお

9月以降に新型コロナの第2波(または第3波)がやってくる可能性はそれなりに高いと思います。10月以降の過密スケジュールに感染者発生が重なったら、現場は大混乱するのではないかと思います。
入試も日程の変更など流動的な要素がある前提で準備しておいた方がよいでしょう

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