こんにちは。まさおです。
12/10、Yahoo!のニュースにも取り上げられましたが、「大手学習塾「臨海セミナー」に同業19社が抗議 「悪質勧誘」「合格者水増し」告発される」という記事が出ました。なかなか切り込めなかった問題が内部告発という形で顕在化しました。
今回は「学習塾の合格実績カウント方法」について取り上げます。
学習塾の合格実績カウントに明確な基準は存在しない
まずはYahoo!に載っていた学習塾の合格実績水増しの記事をご紹介します。
塾名がはっきり出てしまっているので、何ともコメントしづらいですが、内部告発がきっかけとなって神奈川のStepが幹事社となって申入書を送ったとのことです。
神奈川県は高校受験塾の競争が特に激しく、合格実績をめぐる小競り合いのようなものが過去にも繰り広げられていました。今回も、Step・中萬など、神奈川県内の内輪もめのように見えますね。
全国の主要各塾がホームページ等で発表している合格実績数ですが、どのような生徒をカウント対象つするかは業界内でも長年議論されてきました。
合格実績をどう見せるかは新入生数に影響を与えるため、少しでも大きな数字で見せたいという意志が働きます。一方で、1回テストを受けただけの生徒をカウントしてしまってはその塾の指導が合格に影響しているかが分からないということで、基準を設けようという動きもありました。
後述する私塾協会の基準はこれを受けての動きと考えてよいでしょう。
合格実績のカウント方法あれこれ
では、合格実績のカウントにはどんな方法があるのでしょうか。
全国学習塾協会が定める自主基準
以下の基準を定めています。
A.受験直前の6ヶ月間の内、継続的に3ヶ月を超える期間当該学習塾に在籍していること。
B.通常の学習指導を受けた者であること。
C.受講時間数が 30 時間を超えていること。
この3つの基準を同時に満たさないといけないというのが自主基準です。
ただし、これを守っている塾は意外と少ないようです。
オープンテストの優秀生を無料特待生として無理やり塾生にする
過去に聞いたことのあるやり口の内、比較的多いと思われるのがこのやり方です。
優秀生に招待講習とかといって、その塾の授業に無料で参加させるのですが、その参加と引き換えに合格実績のカウント対象とするようなやり口です。
また、上記協会基準の30時間以上授業を受けていればよいのですが、申し込みだけさせて授業は来ないというようなケースもあるのかもしれません。
いずれにせよ、お金は頂かず在籍したことにして合格実績に組み入れるという方法です。
講習に参加すれば全員カウント対象とする
協会基準と全く異なりますが、講習に参加した生徒をカウント対象とする動きはこれまでもありました。入試直前の冬期講習ですと、せいぜい2週間です。指導時間が一日5時間程度で6日間れんぞくでやれば協会の言う30時間はクリアするのですが、継続性が認められません。
協会が3カ月と言っているのは、講習獲得合戦にならないようにするためといってよいでしょう。
通信添削を受けさせて合格実績とする
これも協会の基準には合致しないのですが、過去問添削講座などを申し込ませ、答案を送らせて添削。これで指導をしたということにして合格実績にカウントするという手法です。
協会基準で言うと30時間の指導というのが満たせないのですが、3カ月という期間は満たしやすいのかもしれません。上位校の添削講座に力を入れている塾はその講座参加者の合格実績参入基準を確認した方がよいのかもしれませんね。
あえて具体的な塾名までは書きませんが、各塾のホームページをよく見るとこのあたりのスタンスの差はすぐに見て取れると思います。
合格実績のカウント方法にその塾の本性が見える
このように学習塾の合格実績カウント方法には、その塾の本質的な入試に対する向き合い方のようなものが見え隠れします。
本当に自塾の指導にプライドを持っている塾はテスト生のカウントなどは恥ずかしくてできないはずです。見てくれの数字の水増しに力を入れているとすると、その塾の優先順位は生徒指導ではないのかなと思われても仕方がないですよね。
これから塾探しをされる方は、
・その塾の合格実績のカウント基準
・協会の基準に慌ていない場合、なぜ合わせないのか
この2点を質問してみるとその塾のスタンスを推し量ることができると思います。
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