こんにちは。まさおです。
練馬区の中学校で生徒が使っているツイッターやラインのパスワードを学校に提出させていたとして、教育委員会が謝罪をしました。練馬区自体はパスワードは未記載で提出させるよう通知を出していたようですが、ITリテラシーを教える学校がパスワードを提出させてしまっていたようです。この対応はなんとも厳しいとしか言いようがないですね…。
今回のテーマは「SNSのパスワード提出問題」です。
練馬区教育委員会の謝罪内容
ここ数日、ネット上で話題になっているのでご存じの方も多いと思いますが、練馬区の中学校で「我が家のSNSルール」と称して生徒にSNSのパスワードを記載させた書面を回収していた学校があり問題となっています。
この背景はSNSを使ったいじめをどうなくしていくかという議論だったようですが、書面が独り歩きして制作者の意図と異なる使われ方をしたということのようです。
そもそも論としてパスワードを書かせる欄があること自体が時代錯誤のように思われます。もう少しこの問題を深掘りしてみたいと思います。
SNSいじめ対策とパスワード管理
練馬区では2020年1月に「いじめ等対応支援チーム」のミーティングが開かれています。その中で資料として、「SNS練馬区ルール~自分も相手も守る10の決意~」リーフレット(案)が公表されています。
ここにパスワードは家族で共有する前提でパスワードを記入する欄があったことが問題になっています。
一方で練馬区は、このリーフレットを家庭内で使用するように通知を出しており、学校が回収するという想定はなかったようです。
さらに、7か月後の2020年8月20日には、練馬区の小中学校長あてにこの書面を回収する際はパスワードを未記載にするように通知を出してもいました。
つまり練馬区教育委員会はこの問題を1年以上前に認知して学校側に通知をしていたということになります。
気づいていたのなら早くこの書類を廃止して、新しいものに差し替えるべきだったと思いますが、このあたりが迅速に修正できないのが教育現場の難しさなのかとも思ってしまいますね。
ITリテラシーと生活指導の問題点
今回の対応の問題点は大きく2つあると思います。
ITリテラシーでやってはいけないことと、これまで生活指導でやってきたことが混在してしまったのが根本問題だと考えます。
パスワードを他人に教えることへの意識
ITリテラシー教育上は、パスワードを管理できない人はそもそもアカウントを持つべきではないという視点で整理させるべきです。
今回のSNSのルールの対象が小学校低学年であったとしても、この教育がベースとなって大人になっていくわけですから、人生の一時期でパスワードを大人に提出させられたという経験をさせては絶対にいけません。
その子供が将来、自分の子供や他の子どもにパスワードを提出させる可能性もありますし、パスワード管理に対する誤った認識を子どもに与える可能性もあります。
大原則として「パスワードは絶対に他人に教えない」という基本ができていないことが大問題です。
教育現場における子供の権利意識が希薄
2番目の問題は、生活指導やいじめ対策としてパスワードを書かせる欄を普通に作れてしまう意識です。
日本の教育はこれまで生徒を管理することが主体でした。
個性的な紙型をした生徒がいれば校則で髪型を規制する。
制服をかわいくアレンジしてくれば校則で制服のアレンジを禁止する。
上記のように、「やってはいけない」とか「どんなことをしたか見せなさい」と言った生徒の個性やプライバシーに入り込んで強制する指導が多かったと思います。
程度問題でそのような指導が必要なケースはあるかもしれませんが、予防措置の段階でそんなことをしたら今の個性化、個別化の時代ではやっていけないと思いますし、国際的にも人権意識の低い国と見下されてしまいます。
子供と言えども一人の人間として大人の道理に従って教育をすべきです。
繰り返しますが、子供の行動が信用できないうちはSNSアカウントを発行すべきではありません。
表層で起こっているパスワード提出自体は大問題ですが、もっと問題はそのような問題を引き起こす大人が指導的な立場にいるという言ことです。大人への教育の方が先だと思います。
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