【勧告を拒否?】上智大学の非常勤講師への賃金不払い問題

上智大学が非常勤講師への給与不払いで是正勧告 その他
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
上智大学が非常勤講師への賃金不払いで労働基準監督署からの是正勧告を受けていたそうです。大学側はこの勧告書の受け取りを拒否したとのことです。
いったいどのような状況なのでしょうか。
今回は「上智大学の非常勤講師賃金不払い問題」を取り上げます。

上智大学非常勤講師賃金不払い問題

◆語学の非常勤講師が賃金不払いを申告
⇒2020年度の授業オンライン化に伴い教材作成業務が発生
⇒申告した105時間中52時間は授業がなく無給とされた期間
◆大学側は教材作成は授業時間の給与の含まれると説明
⇒塾業界でもよくある、授業の時給が高い代わりに付随業務を含む解釈
⇒オンライン授業向けの教材作成は新しい仕事なのでこの解釈は苦しい
労基署は労働時間の発生有無で判断するので支払いは不可避のように見える

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上智大学の不払い問題あらまし

日本でもトップレベルの有名私大である上智大学が、非常勤講師の不払い問題に直面しているというニュースが流れました。

詳細は以下のニュース記事に出ていますのでご確認ください。

要点は以下の通りです。

  • 語学の非常勤講師を務める60代女性が賃金の不払いを労基署に申告
  • 担当は日本語初級コース
  • 新型コロナウイルス感染拡大を受け2020年度から授業がオンライン化
  • オンライン授業向けの教材を1人で作成した
  • 女性は合計105時間分、75万円の賃金が不払いだったと主張
  • この105時間のうち、52時間は授業がなく無給とされた期間
  • 大学側は不払いの理由を「授業時間の給与に含まれるため」と説明
  • 大学側は労基署の勧告書の受け取りを拒み、勧告対応への回答にも応じず

非常勤講師側の主張と、労基署の認定内容、大学側の主張をきちんと整理していく必要がありますが、大学側のゼロ回答はさすがに難しいように思います。

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教材作成は授業の付随業務か?

今回の論点で重要なポイントは、大学側の「授業時間の供与に含まれるため」という主張です。

これは学習塾などの講師契約でもよくありますが、授業に対する時給が比較的他の仕事よりも高い代わりに、授業に付随する業務、例えば授業準備(教案作成)やプリント準備などの業務時間は授業時間に含まれるとするケースにあたります。

ちなみに諸条件をそろえてみると以下のようになります。

この女性の時給はいくら?

この女性は105時間で75万円の不払いを申告していますから、時給換算すると7,142円/時間 ということになります。

授業がなかった期間も申告?

この女性が申告した105時間のうち、52時間は大学の授業がなかった期間となっています。

つまり、授業はなかったが教材は作ったので、時給7,142円を支払ってほしいと言っているのだと思われます。

大学側としては、授業がなかった期間に教材を作ったからと言って支払いをしていたら、いくらお金があっても支払いきれないということになってしまうようにも思えますね。

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オンライン授業の教材作成の難易度

コロナによるオンライン授業化で多くの講師が教材準備に追われました

これまでの対面式の教材は、書籍だったりプリントだったり、配れば終わりだったのですが、オンラインでは画面に提示できる形式に変換する必要があるからです。

中には、書籍部分をパワーポイントに打ち換えるなど(このやり方が効率的かは別にして)、一定の作業時間を割いて教材準備をしていかざるを得なかったことは想像に難くないと思います。

この時間のかけ方が対面授業に比べて著しく時間を要したと考えるのは自然なことと思います。

まさお
まさお

今回認識のずれは、通常授業時は教材準備にかかる時間がとても短くて済んだため、授業時間に授業準備・教材準備が含まれていても問題にならなかったのが、オンライン化により教材準備時間が大きく増加してしまったために授業準備に含まれるという解釈では割に合わないと考えたということだと思います(あくまで想像ですが)。
大学側は業務が増えた事実は認めたとしても、それに対して授業と同じ時給は払えないし、授業をしていない期間まで支払うというのはおかしいと感じて受け取り拒否をしたのではないかと思います(あくまで想像ですが)。

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労基署の勧告を受け容れるなら時給を下げるしかない

労働基準監督署は、労働時間がどの程度発生したか、発生した労働時間に対して支払いが発生しているかを見て是正勧告を出すケースがほとんどです。

教材作成というのは、能力の高い人ほど短時間でよい教材が作れる傾向があり、単純に時間給で支払うというのはなかなか難しいものです。

今回の労働基準監督署の是正勧告を受け容れるのであれば、非常勤講師の契約形態を大きく変える必要があります。

  1. 授業給の単科を下げて授業時間に対してのみ支払う
    ⇒給与単価を4,000~5,000円くらいまで下げて、実施した授業時間分のみ支払うべきです。
  2. 付随業務は別枠で時給設定を行う
    ⇒授業準備は時給1,500円くらいとして、1回の授業に対し1~2時間を目安としてもらいます。
  3. (あるいは)教材作成を請負業務として切り出す
    ⇒教材作成は年間で3,000円×24回で72,000円などと、教材作成の難易度別に金額を年次で決めてしまうというやり方もあります。

いずれにせよ、オンライン授業を想定していない契約に合わせてすべて支払うというのは、他の講師への支払いも発生することを考えると大学側もすぐに受け入れは難しいはずです。

授業がなかった期間が無給ということで、この非常勤講師も生活に困ったのでしょうから(一般企業であれば休業手当くらいは出る)、そのあたりへの配慮もしつつ適切な落としどころを考えていく必要があると思います。

まさお
まさお

上智大学と言えば、イエズス会が母体となっているカトリックの名門です。このような状況に対してどう対処するかに学校側の本質的な姿勢が現れると思います。今後の展開を見守りたいと思います。

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