【働き方改革】日弁連が教員の働き方改善のための意見書を提出

日弁連が教員の働き方改革の意見書を提出教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
教員の長時間時間外労働などの問題改善に向けて、日本弁護士連合会が「学校の働き方改革の在り方に関する意見書」を文部科学大臣・財務大臣・都道府県知事・政令指定都市市長宛に提出しました。
今回は「学校における働き方改革の在り方の意見書」について取り上げます。

働き方改革の意見書の内容

◆長時間労働を抜本的に改善するための具体的施策と予算措置
クラスの少人数化、担当授業時間減、非正規教員の正規化
◆給特法の抜本的な見直し
労働基準法の定める最低基準を厳守すべき
◆部活動改革
⇒部活動の顧問担当を教員に強制しない 等
文科省の改革推進と財務省の予算措置が進むかがポイント

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日本弁護士連合会の意見書の内容

教員の労働環境が過酷なものであることは、教師のバトン問題などである程度明らかになってきているところですが、現実的な改革かなかなか進んでいない現状があります。

今回の日本弁護士連合会の意見書提出には以下のような伏線があります。

公立校教員残業訴訟

10/1、「公立校教員残業訴訟」の判決がさいたま地裁で出されています。

残業代の支払いを求めた原告の訴えは退けられましたが、裁判長が判決の最後に異例とも言える意見(「現在の給特法は教員の勤務実態と乖離している」という趣旨)を付け加えて注目されました。

当ブログでも10/2に取り上げています。

今回の意見書はこのような流れを受けての内容となっています。

意見書の内容

具体的な意見書の内容は以下のサイトで確認が可能です。

上記サイトから要点を転載しておきます。太字と下線は当サイトにて付しています。

  1. 教員の長時間労働を抜本的に改善するため、以下の具体的施策を直ちに進めるとともに、必要な予算措置を講じるべきである。
    (1) 小学校・中学校の全学年において早急に35人学級を実現するとともに、引き続き更なる少人数化を実現するための具体的ロードマップを示すことによる学級規模(クラスサイズ)の縮小による教員絶対数の大幅な増加。
    (2) 教員一人当たりの持ち授業時数の削減
    (3) 教員数の増員を非正規教員によって行わず、かつ、既存の非正規教員の正規化を図ること。
  2. 教員の勤務時間を始めとした勤務条件については、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」という。)の下で上限なき時間外労働が放置されてきたという深刻な実態に鑑み、同法を抜本的に見直して、労働基準法の定める最低基準を厳守し、休憩時間や持ち帰り残業及び休日労働を含む労働時間の適正な把握と上限規制並びに時間外割増賃金の支払をなすべきであり、他方で、教員の労働時間管理に当たっては教科指導・生活指導など教育の核心をなす職務についての教員の専門性に裏打ちされた裁量が確保される措置を採る等、教育の特性に配慮した速やかな条件整備がなされるべきである。
  3. 学校及び教師が担う業務の在り方について、中教審答申は、「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」として、授業準備、学習評価や成績処理、進路指導等の教員の本来業務ないしこれと密接に関連するものについて、サポートスタッフ等による補助をするとされているが、その具体化に当たって、教員の本来業務が一部分離されることにより、教員の職務における専門性が損なわれることのないよう、これについての教員の意見が反映されるようにすべきである。
  4. 部活動の在り方について、中教審答申が、部活動ガイドラインの遵守や部活動指導員等の積極的活用等の提言をしている点は評価できるが、部活動の改革は部活動の関係団体と協議しながら改革を進める必要があるとともに、教員への負担の現状からすると、部活動の顧問担当を教員に強制しないための制度改革も不可欠である。
  5. 2019年12月の給特法の改正により、地方自治体が条例により導入できるとされた1年単位の変形労働時間制については、それが現在の教員の長時間勤務の問題の解決につながらないばかりか、かえって現在の勤務条件を更に悪化させるおそれがあり、給特法改正時の国会附帯決議を踏まえると、現在の長時間勤務の現状の下では、実施されるべきではない。
  6. 教員の職務における専門性を確保するに足りる勤務条件を保障するため、教員の教育内容や方法にまで及ぶ管理統制や、全国一斉学力テストによる学校評価などを通じて進められている競争主義的教育手法については、その緩和に向けた是正を図るべきである。

この意見書の内容を実現しようと思うと、いくらお金があっても足りないという状況になってしまうようにも思われますが、必要な予算措置を講じた上で、導入可能な施策から検討が進むように各省庁や自治体のリーダーがイニシアチブをとることが重要だと思います。

まさお
まさお

若干左翼的な空気を感じなくもないですが、
・クラス人数の削減
・教員数を増やして授業時数を減らす
・部活動の顧問を強制しない
・時間外労働の適正な管理
あたりが当面必要な対応ではないかと思います。

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教員数の増加と部活動の分離がポイント

抜本的な改革を進めるにあたっては、法改正も重要ですが、実効的な物理的な変化を現場に与えることが重要だと思います。

現在の学校の状況は生徒に対応する教員の絶対数が少ないことが起点のように見えます。
生徒対応に当たる教員の数を増やすだけの予算措置がとれるかで働き方改革は一気に進むはずです。

また、部活動を教員が放課後や土日に顧問として指導や対外試合の引率等をしている現状は、労働時間の上限を考えたときにはやってはならない手法です。

部活動が趣味という教員は別に良いでしょうけれども、現実的に世間一般の企業と同様の労働環境を目指すのであれば、部活動は外部委託という選択を取る必要があると思います。

今回の意見書を受けて、文科省と財務省がきちんと協議をスタートすればよいのですが、財務省は文科省のお金の使い方に批判的な見方をしているので、文科省が財務省の納得のいく改革案を打ち出せるかがキモだと思います。

まさお
まさお

今回の意見書により、どこかの自治体などが具体的な施策を打ち出せばそれをきっかけにムーブメントが起きる可能性があります。教育施策に関心のある政治家も多いはずなので、力をどう発揮してくれるのか注目してみていきたいと思います。

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