こんにちは。まさおです。
6/17、教科書シェアトップの東京書籍が現職教員を「教育課題アドバイザー」として、報酬を支払っていたことがわかりました。文部科学省はこの件に対して口頭で行政指導を行っています。
今回のテーマは「東京書籍に対する行政指導でよい?」です。
東京書籍に文科省が行政指導
6/17、教科書シェア最大手の東京書籍が現職教員を「教育課題アドバイザー」として任命し、年間報酬15万円を支払っていたことが判明しました。
この対応が教科書採択に影響を与えたのではないかという言うことで、同社は特別調査委員会を設置し事実関係を調査していました。
文部科学省も特別調査委員会の発表を受けて、法的問題はなかったとしつつ、「教科書採択には高い公正性が求められており、懸念を持たれることがあってはならない」として、行政指導を行ったそうです。
東京書籍自身も以下の報告書を公表しています。
当社における教育課題アドバイザー制度に係る特別調査委員会からの報告書受領に
ついて
要点は以下の通りです。
- 東京書籍は2022年度教科書シェアトップ
- 同社が2017年から2021年にかけて「教育課題アドバイザー」を設置
- 同アドバイザーは元教員や大学教授ら300~400人
- アドバイザーの中には現職教員をも毎年3~6人含まれていた
- 報酬は年間15万円
- 結果的に現職教員に教科書に関するアドバイスをもらい報酬を支払う形になっていた
- 調査委員会は現職教員は全員「兼業届け」を出しており法的に問題はないとの見解
- 現職教員は教科書採択に関与せず、情報提供もなかったと報告
- 文科省はガバナンスの観点で適切さを欠くと指摘
- 教科書採択の公正性の観点からも懸念を持たれることはあってはならないと行政指導
詳細はこちらの報告書に記述されています。
東京書籍の教科書シェアは常識的に考えてもあり得ないほど高く(中学公民のシェアは63.2%)、これほどのシェアになる背景に「何かある」と思っている人も多いと思います。
このような制度があること自体が採択率を上げるための活動の一環になっていると疑われるのは自然なことだと思います。
採択に有利に働いた可能性
今回の調査報告書では法的な問題はなかったと言っていますが、あくまで法的な問題で、間接的な影響なども考えると、この制度が全く無関係だったというのは都合の良い解釈のようにも思えます。
業界内外にこれだけのアドバイザーを抱えるなか、大手教科書会社の圧力を感じることも多かったでしょうし、直接採択に関わっていないことがそのまま何の影響もなかったと断定できるかというと、それほど世の中は単純ではないようにも思います。
直接的な影響がなかったと言えるだけで、間接的な影響は相当あったのではないかと考えるのが妥当だと思います。
東京書籍は自ら特別調査委員会を設置
そもそも東京書籍の特別調査委員会とは何なのでしょうか?
2021年12月7日に東京書籍は以下のようなプレスリリースを出しています。
東京書籍株式会社における教育課題アドバイザー制度の運用について
報告書を読んでみると、今回の特別委員会の設置は親会社の凸版印刷による指示だったことがわかります。
東京書籍の教科書採択における営業活動に疑わしい動きがあるとして、告発文が親会社側の凸版印刷に送付され、一方で親会社としてはこのような制度の運用は報告がなされていないとのことで、同制度の廃止と、特別調査委員会の設置が行われたとのことです。
東京書籍自体にはこのような問題意識が希薄で、親会社側の関与によって動いてきたということです。
教科書の採択率は教科書会社にとっては死活問題です。公正な採択のための自制を求められてもどこかに採択率向上のための動きを取りたくなる流れは常にあり、どこで線を引くかというのが難しい問題とも思います。
一方で、東京書籍はシェア率トップの起業ですから、横綱相撲で採択率トップを維持できるよう、クリーンな対応をしていく必要があると思います。
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