こんにちは。まさおです。
文部科学省は、12/23、国立大学が授業料を独自に決められる授業料自由化を当面見送ることを決めたそうです。
今回は「国立大学の授業料自由化見送り」を取り上げます。
国立大学の役割にも触れられればと思います。
「教育は国家百年の大計」という基本に立ち返る
日本が中国をはじめとする隣国からの脅威に打ちかっていくためには、国際社会で通用する人材を多く育てることが重要です。
「教育は国家百年の大計」という言葉があります。小学生が中学⇒高校⇒大学と学校を卒業するまでに16年、大学院を出て社会人になり国家の中心をになる40代くらいになるには30数年の歳月が必要です。
現在の小学校の授業はいわば30年後の日本を支える人材育成の第1歩だということを知っておく必要があります。
小中学校が義務教育で学費や教科書代が無償なのも、子ども自身の人生と同時に国力の維持や発展という強い国造りの背景があってのことなのです。
国立大学は国を支える重要な人材育成
上記背景を念頭に、国立大学設置の意義を考えれば、その存在意義はおのずと明確になります。国家の発展を支える優秀人材の育成・輩出に他なりません。
その意味においては優秀な人が経済的な後ろ盾がなくても、最先端の授業を受けられる仕組みを国が持っておくことは大変重要な要素です。
国立大学の学費の推移
国立大学の学費はここ50年度どの程度推移してきたのでしょうか?
以下に、年間授業料等の推移をまとめてみました。
年度 | 入学金 | 年間授業料 |
---|---|---|
昭和50(1975)年 | 50,000円 | 36,000円 |
昭和60(1985)年 | 120,000円 | 252,000円 |
平成7(1995)年 | 260,000円 | 447,600円 |
平成17(2005)年 | 282,000円 | 535,800円 |
平成27(2015)年 | 282,000円 | 535,800円 |
令和2(2020)年 | 282,000円 | 535,800円 |
昭和50年の頃は国立大学の授業料は年間で36,000円でした。当時は今ほど大学進学率も高くなく、本当に頭の良い人が国立大学に通う時代だったと思います。
今は当時の15倍近い学費がかかる状況となっています。
国民の所得が上がったという背景もあるでしょうが、国立大学の使命が国家を支える優秀な人材を出自や経済力に左右されずに育てられるようにと考えるとこれ以上の値上げはちょっと一般家庭には重すぎる負担になるのではないかと思います。
運営交付金の減少と高等教育無償化
このように大学の学費が上がってきた流れがある一方で、国立大学は自学の授業料を自由に決める権限はありませんでした。
現在の省令では、上限額が標準授業料の120%と定められています。642,960円ということになります。
国立大学の維持には国から支給される「運営交付金」が使用されます。国立大学が独立行政法人に移行された平成16年から、各大学の活動を評価しながら交付金の支給額を決めたり、各大学は独自に運営字するために研究結果を一般に販売するための会社を作ったりといった経済活動を始めています。
また、上記とは別の動きとして、国際的に高等教育(大学の教育)の無償化の流れがあり、日本も2020年4月から返済不要の奨学金制度がスタートしました。所得制限等の条件は付きますが、一定以下の年収の世帯は学費の援助を受けられます。
この所得基準が思いのほか低いので、いわゆる中流家庭で支援を受けるのは難しいかもしれません。以下のサイトを参考にしてみてください。
大学の授業料値上げをしたいという国立大学は多いのですが、ここにコロナの問題が重なってしまったため、ここでの値上げは得策ではないというのが文部科学省の判断だと思われます。
将来的には値上げする国立大学が出てくるでしょうが、奨学金などの制度をうまく使って優秀な人材をきちんと学ばせてあげられる環境を維持することが大事だと思います。
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