こんにちは。まさおです。
いよいよ明日から令和4年度の共通テストの出願が始まります。大学入試の専門家は2年目は間違いなく難化すると言っていますが、果たして本当なのでしょうか?
今回のテーマは「令和4年度共通テストは難化するか」です。
共通テストの平均点はどうあるべきか
大学入学共通テストは、大学入試センターがどうしても知識の確認的な内容が多く、思考力よりも暗記力や処理力に偏っているという問題意識からスタートしました。
2回行われた共通テスト前の試行調査では、かなり先鋭的な出題がみられて、受験生も予備校関係者も難易度は上がり、平均点は下がるだろうと予想していました。
ところが、ふたを開けた第1回共通テストの平均点は思ったほど下がっておらず、拍子抜けをしたという経緯がありました。
平均点が下がらなかった3つの背景
第1回の共通テストで平均点が下がらなかった背景は3つあると考えています。
1つめは、いわゆる「様子見出題」です。試行調査は実験を兼ねていますから「試せるものは試す」で大胆な出題を行いました。一方で本番試験は、受験生の合否を左右しますから「試せるものは試す」ではリスクを伴います。
「このレベルの出題は問題ないだろう」と出題者側もある程度、確信ができる問題形式での出題をして、得点状況を見て数年かけて調整をするという流れになっていくということです。
2つめは、「センター試験の最終年度の内容は共通テストに近づいていた」ということです。センター試験側も興津テスト導入が決まってからその出題内容を堅持していたかと言えば、センター試験の問題点を指摘されているわけですから、多少意識せざるを得ません。
結果出題形式が共通テストに近づく傾向を示していて、その分さが明確に感じられなかったということがあるようです。
3つめは、「記述問題の出題がなくなった」ことです。本来平均点を下げる主要因と思われていたのは記述問題とそれに対する無答割合です。1年前に記述問題は出さないという決定が下されたことで作問チームは調整に苦慮したことともいます。その結果、得点が思った以上に下がらなかったということが考えられます。
受験生の中には、明確に差を感じたのは英語だけで、あとはセンター試験の過去問でも十分に対策になると言っていた人もいました。
感じ方は人それぞれでしょうが、50万人規模の試験で平均点がほぼ変わらないということは、試験としては同質に近かったという言ことなのだと思います。
センター試験と共通テストの平均点比較
実際に最後のセンター試験と最初の共通テストで平均点にどの程度の差が出ていたのかを比較してみました。
表の中で青字になっているのはセンター試験よりも平均点が10点未満で高い科目、赤字になっているのはセンター試験よりも10点以上平均点が高い科目です。
教科名 | 科目名1 | 科目名2 | 令和2年度 センター試験 本試験平均点 | 令和3年度 共通テスト 第1日程平均点 |
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国語 | 国語 | 59.66 | 58.75 | |
地理歴史 | 世界史A 世界史B 日本史A 日本史B 地理A 地理B | 51.16 62.97 44.59 65.45 54.51 66.35 | 46.14 63.49 49.57 64.26 59.98 60.06 | |
公民 | 現代社会 倫理 政治・経済 倫理、政治・経済 | 57.30 65.37 53.75 66.51 | 58.40 71.96 57.03 69.26 | |
数学 | 数学1 | 数学I 数学I・数学A | 35.93 51.88 | 39.11 57.68 |
数学 | 数学2 | 数学II 数学II・数学B 簿記・会計 情報関係基礎 | 28.38 49.03 54.98 68.34 | 39.51 59.93 49.90 61.19 |
理科 | 理科1 | 物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 | 66.58 56.40 64.20 54.06 | 75.10 49.30 58.34 67.04 |
理科 | 理科2 | 物理 化学 生物 地学 | 60.68 54.79 57.56 39.51 | 62.36 57.59 72.64 46.65 |
外国語 | 英語(リーディング) 英語(リスニング) ドイツ語 フランス語 中国語 韓国語 | 58.15 57.56 73.95 69.20 83.70 73.75 | 58.80 56.16 59.62 64.84 80.17 72.43 |
上記の通り、青字が14科目、赤字が4科目で、31科目中18科目が平均点が上がっているという状況です。
冒頭の共通テストの趣旨や試行調査時の得点などを考えると、もう少し平均を下げて得点がばらつくようにしたいという可能性はあります。
一方で、記述問題が封じられている中、いたずらに平均点だけを下げても実効性はないという意見もありそうです。平均点は受験生の学力差を測るテストの目的達成のためには高すぎてはいけないと思いますが、55%程度の平均点であれば十分受験生の合否判定には使える水準です。
平均点を50点前後に落ち着かせるという目的での調整はあると思いますが、平均点を下げる自体が目的化するような動きにはならないと考えた方がよいでしょう。
平均点は受験生の平均得点を表しているにすぎず、難易度が上がり平均点が下がったからと言って合否判定自体への影響は軽微です。
むしろ、これまで積み上げてきた学習を「難易度が上がりそう」という推測情報だけで大きく変えてしまう方がリスクですので、やるべきことをきちんと積み上げて自信をもって本番に臨むという姿勢を維持するようにしていきましょう
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