第1回では古典の考え方について取り上げました。
今に残る古典はその時代の名文ばかりです。竹取の翁はかぐや姫を迎えに来た宇宙人のズボンを脱がそうとするような爺さんでした。そんな興味の持てる話から古典の学習をしてみましょう。
今回は第2弾で歴史的かなづかいを取り上げます。なんとなくノリで通過しがちですが、地味に後々に影響を与えるので、さらっとでもよいので確認しておきましょう。
最初に現代かなづかいについて確認しておこう
皆さんが普段使っているかなづかいを「現代かなづかい」と言います。
小学校の時に習って当たり前のように使っていますが、発音と表記が一致しないところがあるのに気付いていますか?
例えば、
標記 ⇒ 発音
おとうさん ⇒ おとーさん
こううん ⇒ こーうん
こおり ⇒ こーり
「おとうさん」では、「おー」と伸ばす音を「おう」と「う」を添えて書きます。
一方で、「こおり」や「とおり」は「お」と書きます。統一されていないのです(理由はあるのですが…)。
これは、これまでの発音とかなづかいの関係の名残と言ってよいでしょう。
このように、日本語の表記は必ずしも発音と一致しないということを知っておきましょう。
僕たちが普段使っている「現代かなづかい」にも表記と発音が一致していない部分があることを意識しておこう!
歴史的かなづかいの基本ルール
それでは、本題の歴史的かなづかいです。
ちなみに歴史的かなづかいという名前は、昭和21年に内閣告示で「現代かなづかい」のルールを定めた以前のかなづかいという意味です。
内閣が告示を出してかなづかいを変更した過去があります。
これも現代かなづかいと同じように表記と発音にズレがあります。
現代かなづかいと違って1000年くらいさかのぼりますから、そのズレも現代かなづかいより大きいのです。
当時の人は書かれた表記通りの発音をしていたようです(直接当時の人の発音を聞くことはできないので、推定ですが…)。しかし、時代が下るにつれて発音は変化し、表記だけがそのまま残ってきました。
よって、現代かなづかいと同様、習慣として読み方を身につけてしまうのが良いのです。
歴史的かなづかいの読み方
現代語にないひらがなに注意
ワ行の「い」を「ゐ」、「え」を「ゑ」と書きます。
ワ行は「わ・ゐ・う・ゑ・を」となります。後でよく出てくるので必ず覚えておきましょう。
「ぢ」「づ」の使い方に注意
現代語ではめったに出てこない「ぢ」「づ」がよく出てくるので注意しておきましょう。
語頭にない「は・ひ・ふ・へ・ほ」は「わ・い・う・え・お」と読む
書いてある通りです。「語頭にない」というのがポイントです。
「こほり」は「こおり」となります。
伸ばす音のルールに注意
以下の3つをきちんと覚えましょう。
表記 | 発音 | |
あう(au) | ⇒ | おう(ou) |
いう(iu) | ⇒ | ゆう(yū) |
えう(eu) | ⇒ | よう(yō) |
伸ばす音のルールはローマ字を使って覚えておくと間違いにくいです。
自分の知っている言葉は上のルールにそわなくても読めるかもしれませんが、真価が問われるのは自分の知らない言葉の読み方を聞かれたときです。
以下の問題で試してみましょう。
【問題】以下の歴史的かなづかいの読みを現代かなづかいで書きなさい。
① ありがたう
② おとなふ
③ てふてふ
④ めう
【解答】
① ありがとう( Arigatau ⇒ Arigatou )
② おとのう(Otonau ⇒ Otonou )
③ ちょうちょう(蝶々)(てふてふ⇒てうてうとなり、Teuteu ⇒ Tyōtyō )
④ みょう(妙)( Meu ⇒ Myō )
さらにここまで知っていれば最強
追加でこんなことも意識しておきましょう。
・古文中の「む」は「ん」と読む。
・古文中の「ん」は「む」が変化したもの
※現代語の「ん」は「ぬ」が変化したものが多い。
古典では「ぬ」ではなく「む」なので注意が必要。
この知識は、後で地味に影響してくるのでよく覚えておきましょう。
歴史的かなづかいでは、発音と表記が一致しないものがある!
・現代では使わない「ゐ」「ゑ」
・現代以上によく使われる「ぢ」と「づ」
・語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」は「わ・い・う・え・お」と読む
・伸ばす音に注意。あう⇒おー、いう⇒ゆー、えう⇒よー
このルールを頭に入れておく!!
ここまできちんと理解しておきましょう!!
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