「日本はICT教育が遅れている」と言われるようにって数年が経ちます。今回のコロナ騒動で文部科学省も重い腰を上げて2020年度内に1人1台の学習端末の配布を目指すと言い始めました。
生徒側はどう受け止めれば良いのでしょうか?
今回はICTを使った学習の仕方を取り上げます。
※ICTとは…
情報通信技術のこと。パソコンやスマホで様々な情報を得ることだけではなく、TwitterやFacebook、Instagramなどに代表されるSNSで自らも発信をしたり他者と繋がったりする使い方を含める。
Information and Comunication Technology の頭文字。Cが重要になる。
日本のICTの遅れは大人のせい
日本の高校生のICTの利活用能力はOECDの中でも低いと言われています。
確かにこの結果を見ると低いです。
・コンピュータを使って宿題をする
⇒OECD平均22.2%に対して、日本は3.0%
・学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る
⇒OECD平均23.0%に対して、日本は6.0%
全体報告資料は以下のリンクから確認できます。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdfこれは高校生のせいではなく、日本の大人のせいです。
財源がないとか、教員の教育ができないとか、さまざまなできない理由を並べ立てて先送りにしてきたツケです。
意識の高い首長は自分の自治体からICT教育をスタートさせていますが、首長の変更で勢いが衰えるところも多く、全く大人の事情で現状が作られているのです。
世の中高生の皆さんは、大人に振り回されず、自分なりのやり方でICTの力を養ったほうが良いかもしれません。
その際の留意点だけ、以下に記載しておきます。
日本の中高生のICT利活用能力は決して低くない
日本の中高生のICT利活用能力は果たしてそんなに低いのでしょうか。
日々の学習にスマホやPCを使う生徒はそれなりにいるようにも見えます。私立中高を中心にパソコンやiPadを取り入れた指導をしている学校も多くあるように思います。
何よりも情報を得る手段としてwebやツイッターを使いこなしているところは他国に負けていないようにも見えます。
上記のグラフを見ても、ネット上でチャットをする生徒は日本が87.4%と9割近いところまで来ており、OECD平均を20ポイントも上回っています。
では、何が足りないのでしょうか?
「ICTを活用する」という考え方に少し誤解があるように思います。
ICT教育やICTリテラシーという言葉の難しさ
大人が言う「ICT教育」には2つの方向性があります。大人も正しく使い分けられていないので、まずは正しい理解からスタートさせましょう。
ICT機器自体の利活用能力
OECDがPISAで測っている能力のことです。
グローバルでICTを使う力というのはこちらに力点が置かれているように思います。
具体的はパソコンやスマホを使って、必要な情報にアクセスしたり学習上必要な調査の下調べを行うことや、調べたことを他者に伝えるためにプレゼン資料を作ったりする能力です。
一部の学校ではプレゼンを中心にした学習を進めていますが、日本は発表内容に重点を置きすぎています。むしろ国際的に求められているのは、鉛筆やノートと同じレベルでパソコンやパワポを使いこなす能力です。
例えば、パソコンでブラインドタッチでキーボードを打てる日本の中高生は果たして何%くらいでしょうか?
スマホのフリック入力は速くてもブラインドタッチはまだという人も多いのでは?
学校は最初に自分の考えをノートに書くようにパソコンに打てる状態を作る必要があります。
ブラインドタッチができるだけでパソコンの利用能力は数倍以上の差が開きます。
なぜなら、パソコンに文字を打つ作業の意識が弱まり考える方に重点が置けるようになるからです。
ブラインドタッチはICT利活用能力の1丁目1番地ともいえる基本能力です。これからの世の中では絶対に身につけておくべきです。
ICT機器を使って学校教育を効率化
日本が力を入れているのは、ICT機器を利用して学力アップを図るというものです。
ところが、これは本当に情けないことですが、学校の先生がICTを使いたがらない状況が長く続きました。
最近はいよいよまずいと思って動いている先生が増えてきましたが、それでも学校にPC自体が少ないという状況もあってもたもたしている感じです。
しかも学力向上とICT利活用は直結しないことも多く、成果が出せないという人も多いのです。
そもそも成績向上の理由など1つに特定できるものではなく、複数の要因が絡み合っています。ICTを使ったから成績が上がったという調査はご都合主義の可能性があり、むしろ疑わしく、それ以外の諸条件もすべて拾った調査というのはなかなか世の中に出てこないのです。
ICT機器は道具。どう使うかは意欲次第
中高生の皆さんはこれからICT機器とどう向き合えばよいのでしょうか?
一つ結論としていえることは、ICT機器は道具にすぎないということです。
インターネットが普及して、
・世界中にある様々な情報にアクセスができる
・公開されている論文はインターネット上で取得して読むことができる
・国会図書館に行かなくても所蔵資料のデータが見られる
などといった環境はここ20年くらいで一気に整えられてきたのです。
そのような環境を利用するかしないかは、個人の意欲の問題に関わっています。
学習環境として、辞書代わりにPCを使って辞書以上に深い情報を得るという姿勢をもって日々の興味関心を深めればよいのです。
ICT機器活用の入り口はどんなところか
そんな意欲を持てと言われても困るという人も多いでしょう。
どんなところを入り口にすべきかを考えてみましょう。
学習のスタート地点は興味や好奇心です。皆さんは自分が一番興味があることをPCやスマホを使って徹底的に調べてみることが大事です。
例えば、
・ダンスを極めたい人がダンスレッスンの動画にアクセスする
・野球を極めたい人が自分のバッティングフォームをスマホでとって分析する
・鉄道が大好きな人が鉄道の歴史や現在の技術をスマホで調べてみる
・自動車が大好きな人が最新の自動運転技術の開発状況を調べてみる
多くの興味への回答がインターネット上にあるはずです。
これを入り口に、学校の宿題のうち、調べ学習についてパソコンを使って基礎調査を行ってみるのがよいでしょう。
ただし、インターネット上の情報は正しい情報と間違った情報が混在していますから、最後は1次資料(現物)にあたることが重要です。
Wikipediaのコピペを大学のレポートに提出する学生が増えて問題になりました。Wikipediaを鵜呑みにされると学習は不正確極まりないものになります。Wikipediaに記載のあることが本当か確認をして、その確認をした資料をレポートに乗せればよいのです。
中高生の皆さんのICT利活用環境はそろっています。皆さん独自の視点で自分の世界を広げるためにもゲームはSNS以外に活用してみるようにしてください!
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