こんにちは。まさおです。
大学入学共通テストをはじめとした大学入学者選抜実施要項にまつわるニュースが最近多く報じられています。
昨年末からの民間英語試験や国語・数学の記述問題導入延期など大学入試周りはあまり良いニュースがありません。
いっそのこと大学入試を回避すべく、高校から大学附属校に入れてしまいたくなりますね。
今回は「私立大学附属高校の入試を考える」というテーマです。
大学入試改革と大学附属校
2020年度に大学入試センター試験が終了し、2021年度から大学入学共通テストがスタートすることは数年前からわかっていたことでした。
そんな中で大学入試改革に巻き込まれて不本意な入試をするくらいなら、中学受験・高校受験で私立大学の附属を受けて、大学入試をパスしてしまいたいと考える層が一定数います。
今年の新型コロナウイルスにまつわる一連の問題も大学受験を控えている高校生と附属校で内部進学が見えている高校生では見え方が違うと思います。
附属校の生徒は学校の成績で学部振り分けこそありますが、系列の大学に行けなくなることは考えにくいからです(学校によっては全員が系列大学に上がれないことはありますが…)。
昨今の入試日程や試験範囲の議論を見ていると、大学受験を回避できる進路を選びたくなる考えも理解できますね。
そんなわけでここ数年の附属校の倍率は年々上昇の一途をたどっていました。
首都圏主要大学附属校倍率
2017年度から直近4年間の早慶附属校の倍率とMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)附属校の一般入試の応募者数と倍率を表にしてみました。
年度 | 早慶附属 | MARCH附属 |
---|---|---|
2017 | 8302(2.86倍) | 8098(2.72倍) |
2018 | 8861(3.37倍) | 9103(3.08倍) |
2019 | 8807(3.57倍) | 9169(3.09倍) |
2020 | 9048(3.73倍) | 9448(3.22倍) |
上記の表からわかる通り、2021年度に大学入試を迎える生徒が受験をした2018年度の高校入試から顕著に早慶附属校・MARCH附属校の応募視野倍率が上がっていることが見て取れます。
大学入試情報を早く入手して、大学入試回避を能動的に選択した受験生は2020年度の現在、大学附属校の高校3年生として今の入試改革のゴタゴタを客観的に眺めていることでしょう。
ちなみに、2020年度の附属校の学校別の応募者・受験者・合格者・倍率も一覧にしておきます(補欠繰り上げは合格に含んでいません)。
学校名 | 応募者数 | 受検者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
早大高等学院 | 1850 | 1445 | 541 | 2.67 |
早大本庄 | 2890 | 2810 | 510 | 5.51 |
早稲田実業 | 1101 | 961 | 297 | 3.23 |
慶應義塾 | 1311 | 1240 | 331 | 3.74 |
慶應義塾志木 | 1371 | 1308 | 380 | 3.44 |
慶應義塾女子 | 525 | 505 | 157 | 3.21 |
明治大明治 | 581 | 553 | 237 | 2.33 |
明治大中野 | 1158 | 1091 | 272 | 4.01 |
明大中野八王子 | 553 | 534 | 96 | 5.56 |
青山学院 | 1242 | 1038 | 299 | 3.47 |
立教新座 | 1504 | 1455 | 626 | 2.32 |
中央大学 | 872 | 839 | 207 | 4.05 |
中央大学附属 | 646 | 617 | 181 | 3.41 |
中央大杉並 | 1300 | 1254 | 325 | 3.85 |
法政大学 | 331 | 306 | 96 | 3.19 |
法政第二 | 788 | 768 | 216 | 3.56 |
法政国際 | 473 | 445 | 206 | 2.16 |
どの学校も完全な競争入試となっており、学校によっては倍率が5倍を超えてくるところもあります。このレベルになってくると、合格確実ラインというのも見えづらく、当日の出題内容次第といった運の要素にも大きく左右されることになります。
附属校は独特の安心感があるよい選択肢ではありますが、入学するにはかなりの覚悟と努力が求められます。
もちろん、高校入試での高倍率は、私立中学受験組や浪人生が出てこな分だけ、大学入試に比べればまだ対応しやすいところはあります。
首都圏で高校受験を選択する場合の数少ない魅力は大学附属校に選択肢が多くあるということだと思います。
附属校を選ぶ際の注意事項
上記のような流れを見ると、やはり大学受験を回避して附属校に志望校を変えてみたいと考える方も出てくると思いますが、いくつか注意点もあります。
附属校を選ぶ際の留意点をいくつか挙げておきます。
系列大学への内部進学率
同じ大学の附属校でも、学校によって内部進学率が異なるケースがあるので留意が必要です。
たとえば、慶應義塾大学の附属3校はいずれも内部進学はほぼ100%です。また、医学部も含めて内部進学枠を持っています。高校3年間学校内の成績をきちんととっていれば慶應の医学部に進学できるというのはとても魅力的ですよね。
早稲田大学高等学院も一定の成績さえとっていれば早稲田大学にはほぼ100%進学できます。一方で、毎年一定数の留年が出ているという話も聞こえてきますので、大学受験がない気安さから羽目を外しすぎないようにすることも大事かもしれません。
系列大学の学部別の枠がどれくらいあるか
大学附属校から系列大学に内部進学ができるとして、どの学部に何名くらいの進学者を出しているかはきちんとチェックしておきましょう。
かつて、早稲田実業高校は卒業生の多くが政治経済学部や法学部といった早稲田の看板学部に進級しづらいという時代がありました。
今は、本人の努力次第でどの学部にも一定数行けるようになりましたが、それでも早大高等学院や早大本庄に比べると枠に偏りがあるように見えます。
大学入学をある程度保証してくれますが、どの学部に行けるかは成績次第なので、自分の将来の進路希望と附属校の内部進学率がマッチしているかは重要な判断基準となります。
各学校の内部進学者数などの情報を得て、自分が通うに値する学校だと思えるなら、積極的に志望校の候補に大学附属校を入れてみるとよいでしょう。
受験がない分だけ、高校3年間が充実するだけでなく、発想も豊かになったり、人間関係の構築がうまくなったりといった効果も期待できるようです。
人物として面白い人が多いという話は実際によく聞きますし、自分の過去の生徒にもそういう生徒は多くいます。
コメント