こんにちは。まさおです!
大学入試の総合型選抜入試は9月15日から出願開始となります。今年はコロナの影響で一般入試を回避して、推薦で決めたい受験生も多くいるようですが、自分のアピールポイントをまとめるのは意外と難しいと思います。
今回は「自己推薦型入試でのアピールポイントの考え方」を取り上げます。
「自己推薦」というのは入試制度の名称にすぎない
みなさんは「自己推薦」という言葉を聞いてどう感じますか?
「自分で自分を推薦するなんて、あざとい奴のすることだ」とか、「自分はそんな推薦されるほど立派な人間ではない」などと思ってしまうかもしれません。
最初に整理しておきたいのは「自己推薦」とは制度の名前で、受験生全員が自分で自分を推薦できるほどの立派な人格者であることを求めているわけではありません。
自分のことを客観的に見つめて、自分の良い点や考えていることを学校側に丁寧に伝えて、「この受験生はぜひ我々の学校で受け入れてぜひ育ててみたい」と思わせるのが自己推薦型入試だと考えるとよいでしょう。
推薦基準をクリアして、チャレンジする気持ちがあるなら、受験機会をたくさん持つことは可能性を広げることにつながるので受験を考えてみるとよいと思います。
自己推薦をする際に考えるべきポイント
自己推薦にチャレンジしようと思ったら、自分のアピールポイントを整理する必要があります。
最初にざっくりどういう点で整理をすべきか、項目を挙げておきます。
1.自分がこれまで一生懸命取り組んできたことは何か。
2.なぜそれに一生懸命取り組んだのか。
3.その経験を通して学んだことは何か。
4.自分は将来どのような人間になりたいと思っているか。
5.そのためにはどのような学習をするべきだと思っているか。
6.そのために今すでに取り組んでいることは何か。
7.自分がこれから生きていく上で大事にしたい思想はどんな内容か。
ざっと上げるとこんな内容になると思います。ぱっと見るとそんな内容応えられないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。ものは考えようでいくらでも整理ができるものです。
この後具体的に見ていくようにしましょう。
自分のアピールポイントは意外とある
皆さんは、自分が何となく取り組んできたことが意外と皆さん自身の人間形成に影響を与えているという感覚がありますか?
吹奏楽ばかりやっていた人からアピールポイントを引き出すケース
例えば、なんとなく始めた部活(例、吹奏楽など)にはまってしまい、中高時代の大半を部活にささげている場合、ここからどんなアピールができるでしょうか?
たとえば、7つの項目に対してこんなまとめ方ができるという例を書いてみます。
1.自分がこれまで一生懸命取り組んできたことは何か。
⇒吹奏楽部の活動に取り組んできました。学生自体の多くの時間を個人練習とコンクールに向けた合奏練習に費やしてきました。
2.なぜそれに一生懸命取り組んだのか。
⇒音楽をみんなで作ることが単純に楽しかったからです。音楽は心を元気にしてくれる薬のような効果があります。落ち込んだときも部活動の練習自体が自分の気持ちを明るくしてくれることにつながりました。今はコロナの影響で、部活もあまりできずとてもつらいです。
3.その経験を通して学んだことは何か。
⇒みんなで音楽を作るのは楽しい反面、厳しい部分もあることを学びました。各人が自分のパートの役割や特徴を理解し、みんなのために個人練習を重ねて合奏に出てこないと決して良いものは作れません。吹奏楽の経験を通して、大勢の人で一つのものを作り出すことの素晴らしさや厳しさを学びました。
4.自分は将来どのような人間になりたいと思っているか。
⇒吹奏楽で大勢の人と関わることに興味を持ちました。将来は外国の人と交流しながら世界に役立つ人間になりたいと思っています。国連の職員など、海外の人と協力をして世界の役に立つ仕事につきたいと思っています。
5.そのためにはどのような学習をするべきだと思っているか。
⇒海外の人との交流を考えると当然語学力が必要になるので、まずは英語の学習を頑張って行きたいと思っています。一方で、世界各国の文化や歴史を学んでおかなければ、いろいろな国の人々との相互理解はできないと思っています。世界史などの学習も大事だと思っています。
6.そのために今すでに取り組んでいることは何か。
⇒英語の学習に力を入れています。部活動が中止になって出来た時間を使って、TOEFLについて調べてみました。かなり難易度の高いテストですが、将来海外で仕事をすることも視野に入れて学習をスタートさせました。
7.自分がこれから生きていく上で大事にしたい思想はどんな内容か。
⇒国際紛争がなくならない世の中を何とか変えたいと思っています。そのために重要なことは「対話」だと思います。自国の文化や歴史にのみ目を向けるのではなく、相手の国の文化や歴史的な背景を理解することで、対話がより進むと思います。また、「対話」と合わせて「音楽の力」もとても重要だと思います。
このように、吹奏楽をただ頑張ばっただけで終わらせずに、「吹奏楽部の経験で何か今の自分に影響を与えていることはないか。」「吹奏楽の活動の中で今でも鮮明に覚えている出来事は何か、またそれが鮮明に記憶されているのはなぜか」などと深掘りをしていくのです。
その中で、音楽の持つ楽しさや厳しさ、一人の練習と合奏の時の違い、多くの人と物を作ることの素晴らしさといったことに広げていき、自分の将来の生き方に目を向けていきます。
自分の将来の生き方は、今の段階ではっきりわからないケースも多いと思います。上記の例では風呂敷を広げて国連職員などと書きましたが、何でもよいのです。
将来の希望は変化するものですが、今の段階で興味があり考えうるもの、吹奏楽の経験と結び付けられるものといった観点で整理するとよいでしょう。
面接試験では、上記の項目は表面的なものでないかを確認するためのいろいろな質問が投げかけられます。その質問の内容は想像できませんが、一本筋の通ったストーリーができていればそれにそって回答することは可能です。
上記のように最初からアピールポイントがあるわけでなく、自分のこれまでを振り返ってみる中で、こういう点はアピールできるのではないかと、練りこんでいくようなことになります。
ここをあきらめないことが合格可能性をぐっと高めることになるのです。
アピールポイントが本物かどうかが重要
上記のアピールポイントを考える際に重要なことは、表面的なことばかりになってしまって面接で細かな質問を受けると回答ができなくなってしまわないようにすることです。
上記の例で仮に国際社会で活躍したいと思ったなら、ネットで国際社会で活躍している人の話や本などから情報を収集しておくことが重要です。
そのような情報収集を経て、自分の興味関心のあるエピソードをいくつか頭に入れ始めると、アピールポイントが具体的につながりだします。ここで手を抜くと、面接時に馬脚を現しますので、今時点で興味があることとして丁寧に対応することが重要です。
将来の希望は変わっても構わない
もう一つ重要なことは、ここで考えた将来の希望は、現時点での希望なので、合格後に変わっても全く構わないということです。
今時点で自分が考えうるベストを尽くせばよく、それをへんに将来の自分への約束などと思わないことが大事です。
重要なことは一貫性です。どのような角度から質問を投げかけられても、自分のアピールすることと矛盾なくつながるようにしてあれば、十分評価されます。
上記の対応は受験生だけでは厳しいので、学校の先生や塾・予備校の先生と相談しながら進めていくことをお薦めします。
【参考】早稲田大学高等学院の自己推薦調書
これは参考までに補足しておくレベルの話です。早稲田大学高等学院の自己推薦入試の長所がネットで公開されています。この調書は自己分析をする上で大変わかりやすい質問になっており、これに丁寧に回答していくと、上記のアピールポイントが浮かび上がってくると思います。
「一貫性」を意識しながら、解答を考えてみるとよいでしょう。
https://www.waseda.jp/school/shs/assets/uploads/2019/09/format3_jikosuisen2020.pdf
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