こんにちは。まさおです。
一般入試の出願が一部の学校では始まっていて、日々倍率情報が公表されます。この「倍率」が少し曲者で、この数字を正しくとらえられるかどうかで入試本番のイメージが少し変わってきます。
今回は「入試本番で合格に近づく倍率の考え方」を取り上げます。
「応募倍率」と「実質倍率」の違いを正しく知ろう!
倍率の数字を正しく知ることは、自分の入試当日の戦い方のイメージを知ることになります。ここが曖昧なままだと、正しく理解している人と比べてやはり不利になると思います。
勝負事は「敵を知ること」「自分を知ること」「戦いの全体像を具体的にイメージすること」によって成り立っているからです。
応募倍率とは?
応募倍率は以下のような式で表されます。
よく新聞などに掲載される出願状況の記事などに記載されるのは応募倍率です。特に私立高校や私立大学などは応募倍率が高く出ることが多く、実際の入試の状況をとらえることができません。
参考にするとしたら前年同時期の応募倍率と今年の応募倍率の比較をして、前年よりも厳しい入試か前年よりも緩い入試かを想像することくらいになると思います。
応募倍率の数字を見て振り回されないことが重要です。
ここの数字は参考程度に見て流しておくようにしましょう!!
実質倍率とは?
一方で入試の実態をよく表す指標として「実質倍率」があります。以下のような式で表されます。
ここで重要なことは、
①出願者が全員準するわけではないこと。他校合格等により当日欠席が出る。
②募集定員異常に合格者を出す学校が多いこと。他校に抜ける数を考慮して合格者数を増やす。
このような背景から、実質倍率は応募倍率よりもかなり低い数字になります。
上記2つの数字の違いを表形式で比較してみましょう。
募集定員 | 出願数 | 応募倍率 | 実受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|---|---|
100 | 200 | 2.0 | 190 | 120 | 1.58 |
このように実質倍率に注目すると、実際の入試の状況がより具体的に把握できるのです。必ず実質倍率を確認するようにしましょう。
実質倍率の活用の仕方
では、実質倍率を使った入試本番の競争イメージ捉え方について考えてみましょう。
志望校の前年度の実質倍率データを入手する
最初にやってほしいことは、自分の志望校の実質倍率データの入手です。
多くの学校はホームページなどで公表していますから、そこから正しい数字をとるようにしましょう。
必ず実質倍率(実受験者/合格者数)の数字になっているか確認をしてください。
都立高校の場合は、新教育研究協会がこちらにPDFで一覧を掲載しています。
他の模試会社でも構いませんし、各都県の教育委員会が出している票でも構いません。
例えば、都立三田高校の場合は、
男子の実質倍率…実受験者数187名÷合格者97名=1.87倍
女子の実質倍率…実受験者数219名÷合格者113名=1.94倍
となっています。
都立高校は男女の募集定員を分けていますが、男子の募集定員は107名、女子の募集定員は99名でした。助詞の受検者が多かったことから、男子の合格者を絞って女子の合格者を増やしたことがわかります。ボーダーライン調整をしている可能性もあります。
進路希望調査などから志望者動向を把握する
上記が前年の結果ですから、今年も同様の人気が続けば似たような倍率になるとか考えるべきです。
各都道府県が例年発表している進路希望調査をもとに、前年からの志望者数の傾向が変わっていないかをチェックします。
例えば、前年の男子の倍率が思いのほか高くて、今年の進路希望調査では敬遠され志望者が5%程度(9~10名程度)減っているとすると、実受験者も5%程度減ると考えます。女子の志願者次第によっては男子の合格者を若干増やす可能性も考えられると予測するわけです。
いずれにせよ実質倍率が次の入試でも1.7倍~1.8倍程度で推移するだろうという予測が立ちます。
実質倍率をもとに競争状態のイメージを確認する
実質倍率が分かれば競争状態が見えてくるはずです。
たとえば、前出の都立三田高校の男子の倍率が1.8倍程度になると予測すると、受検者のイメージとしては、180人受験して100人合格するという感じになります。
この180人受験して100人合格というのは、内申点と当日の得点を都立高校入試の計算式に当てはめて、受験生を序列化した場合に180人中100位以内に入っていれば合格というイメージになります。
下位80番に入ったら不合格、上位100番に入れたら合格ということなのです。
実質1クラス40人の部屋でテストを受けているとしたら約半分に入ればよいというイメージです。この実質倍率による競争状態をイメージして当日の試験までの準備ができることが、入試本番の厳しさや確実に合格することの難しさを受験生本人に実感としてとらえて当日の試験までの準備を続けてもらうために大変有効なのです。
かつて教えていた生徒の中には、倍率2倍というのは2人に1人合格なので、何とかなりそうだという考え方をする生徒もいました。実力が変わらなければ何回受けても確実に不合格です。くじ引きのように入学者を決めていないということをきちんと理解してもらうことが大変重要なのです。
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