こんにちは。まさおです。
東北で唯一の教職養成系の単科大学である宮城教育大学で、受験科目の変更が話題になっています。来年度の受験科目で地歴と公民の取り扱いに変更が出ているのですが、それが直前過ぎるというのです。この変更はどう評価されるべきなのでしょうか。
今回のテーマは「宮城教育大学の受験科目の変更は妥当か」です。
宮城教育大学の入試変更点
今回の入試変更は学部改組に伴う受験科目の変更に端を発しています。
学部改組自体が非常に大きな動きになるので、こちらの調整に相当エネルギーを割いたことともいます。
以下は同大学HPの改組の内容です。
この改組の予定が2020年8月28日に公表されました。
その後、2021年3月22日までに合計4回の入学者選抜方法に関する予告をHPに掲載しています。
この一連の流れの中の第2報(2020年12月17日発表)の資料中に選択科目の取り扱いに関する記載があります。
詳細は以下のPDFの最終ページを見てほしいのですが、明確に変更点としての記載はないようです。
http://www.miyakyo-u.ac.jp/news/pdf/nyushi2022-kokuti20201217.pdf
上記PDFでは、共通テストにおける地歴と公民の取り扱いについて、
来年度入試は地歴から1科目、公民から1科目を受験としています。
前年度は地歴公民から2科目としていたので、地歴から2科目でもよかったのですが、今回の変更で地歴からも公民からも受験科目を用意しないといけなくなったため、受験生の履修計画に影響が出るということになります。
2 大学入学共通テストの指定科目
令和4年度入学試験における大学入学共通テストの指定科目は、別紙のとおりとなりますので、ご確認ください。別紙に記載されている注意事項の他、以下の点にご留意ください。
【理科の選択方法】
理科①(基礎あり)と理科②(基礎なし)を組み合わせて選択する場合は、同じ科目名を
含むことができる専攻・コース等と同じ科目名を含むことができない専攻・コース等があり
ます。 例:「物理基礎」、「化学基礎」と「化学」という組み合わせ
○同じ科目名を含むことができる専攻・コース
一般選抜 前期日程 初等教育専攻、特別支援教育専攻の理系型
後期日程 初等教育専攻 理系型
○同じ科目名を含むことができない専攻・コース
総合型選抜 生活系教育コース
一般選抜 前期日程 中等教育専攻 理数系教育コース
【指定以上の科目数を受験した場合】
地理歴史、公民、理科において、指定された科目数以上の科目を受験した場合、成績の利
用方法は以下のとおりです。
○地理歴史、公民で合わせて1科目選択を指定しているコース等、もしくは理科②で1科
目選択を指定しているコース等で2科目解答した場合、第1解答科目を利用します。
○理科の選択方法で理科①から2科目又は理科②から1科目を選択と指定されているコ
ース等で理科①2科目及び理科②1科目の両方を解答した場合、理科①と理科②のうち、
高得点の教科の成績を利用します。
理科②を1科目指定のところ2科目を解答した場合は、第1解答科目を利用します。
上記の通り、理科の選択方法についての言及はあるのですが、地歴と公民に関する選択方法については言及がありません。
受験生は受験科目の変更をどう知るべきか
今回の問題は、2つの観点があるように思います。
1つは受験科目変更の公表時期の問題
もう1つは受験科目変更の公表の仕方の問題です。
受験科目変更の公表時期の問題
今回の公表時期は2020年12月でしたが、これは妥当だったでしょうか?
結論としてはかなり遅いということになると思います。
2019年12月に話題になった、共通テストの英語民間試験と記述問題の導入延期がちょうど実施前年の12月でした。今回の公表時期はこれとほぼ同じタイミングになります。
共通テストの変更は文部科学大臣自信が記者会見で陳謝するような状況だったわけですから、入試の前年の12月に変更を公表すること自体はかなり遅いと考えるのが妥当と思います。
これは、多くの高校において、高校3年生の選択科目履修について前年の9月ごろに調査をしているケースが多いことと関係しています。
12月に試験科目の変更を公表されても、すでに選択科目の履修希望を出しているので、対応ができないのです。
約2年間の6月~7月ごろまでには入試変更点を発表をするという原則は選択科目履修採れどうしているということなのです。
受験科目変更の公表の仕方の問題
2つ目の問題は公表の仕方です。
今回の12月の公表内容は変更点に関する言及が弱く、受験生に明確なメッセージとしては伝わらなかったと思います。
高校の先生も気づかなかったケースが多く、変更点の公表の仕方というのも今後重要な要素になってくると思います。
もちろん、事実として変更点があることを読み取れる人もいるわけなので、全く何も公表していないわけではありません。問題は、受験生にメッセージとして受け取りやすく配慮しているかということで、ここは大学側の姿勢が問われると考えるべきです。
インターネットによる情報提供が一般化したことにより、受験生側は積極的に情報を取りに行く必要が出てきたとすると、ここに情報格差の問題が潜んでいることにもなります。
入試変更点などの重要情報は誰でもわかりやすく受け取れる方法の検討が必要だと思います。
大学側は変更点について今から見直しはできないという姿勢
大学側はここまでの公表経緯を踏まえても、今からさらに受験科目を見直すのは困難という姿勢のようです。
文科省側は公表時期の遅さを指摘していたようですが、大学側は「改組も含めて文科省とやり取りをして決めてきた内容なので、今からの再変更は現在の変更点に対応して学習している受験生に別の影響を与えてしまい、現実的ではない」という姿勢のようです。
現在の変更点に対応している受験生というのは、たまたま地歴と公民を1科目以上履修していたというだけで、この変更点に合わせて対応しているわけではないと思います。
また、地歴公民から2科目でも判定するよう、修正を加えれば門戸が広がるわけですから、2022年度については地歴公民から2科目を許容するようにした方が、長い目で見たときに大学側にもメリットがあるように思います。
いずれにしても「受験生ファースト」という姿勢が求められているように思います。
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