こんにちは。まさおです。
9/7の記事でコロナワクチン接種状況をクラス内で挙手させる方法は差別につながる恐れがあるという内容を取り上げました。それでは、政府が現在検討しているワクチン証明の議論は差別に当たるのでしょうか?
今回は「ワクチン接種証明による割引議論」について取り上げます。
欧州におけるワクチン証明書の議論
ワクチン接種証明を持っている人に対して特典を与えることが差別につながるかという議論は、欧州ではすでに半年ほど前から議論が進んでいます。
例えば、以下のサイトでは欧州(主にスイス)の学者たちの議論を紹介しています。
以下の2派の意見が取り上げられています。
ワクチン接種証明書を通じ、接種を受けた人がそうでない人より多くの自由を獲得することは、非常に問題がある
アドリエン・オシュリ・シュチラー、ルツェルン大学社会倫理研究所研究員
誰に特権を与えるかが問題なのではない。ワクチンを接種した人の自由を今後も制限することが合法と言えるのかと問うべきだ
フランク・マトヴィク、倫理神学者
ベースにあるのは、現在の外出自粛要請や営業時間短縮要請という状況がすでに異常であって、これをどういう手段を使って正常な状態に戻すかという議論です。
リスクを取ってワクチン接種をした人はある意味、正常な生活に戻るための準備を整えたということで、欧州でのワクチンパスポートは正常な生活に戻る順番として、ワクチン接種者を優先しているという整理になっているようです。
基礎疾患やアレルギーなどで接種できない人はどうなる
上記のような議論だと、ワクチン接種をしたくでもできない人たちはどうなるのでしょうか?
基礎疾患やアナフィラキシーなどがあってワクチン接種に踏み切れない人のみが、飲食店に入れなかったりスポーツイベントに参加できないといったことは差別につながらないのでしょうか?
個人的には、上記の状態が長く続くことがあればやはり差別と考えるべきだと思います。
一時的にワクチン証明を持っている人が優先される状況があったとしても、早くその状況から脱却する努力を政府は進めなければならないと思います。
解決策としては、ワクチン接種証明と合わせて陰性証明を併用するケースが多いようです。
前出のウィンブルドンの決勝なども、ワクチンパスポートまたは陰性証明所持者を入場許可対象としていたようです。
陰性証明がおおむね72時間前というのを基準にしているケースが多いので、例えばスポーツイベント当日の72時間前以降にPCR検査を受けて陰性証明を当日提示すれば、イベントに参加ができるというような方法が考えられます。
この方法もワクチン接種証明に比べればかなり煩雑ですし、PCR検査も有料でしょうからワクチン接種者に比べると負担も大きいと思います。
一時的な対応としてはやむを得ませんが、この方法も長く続けばやはり問題になると思います。
政府の議論もワクチン証明は「割引や入場許可」といった運用は想定していますが、「就職や入学時に接種を要件にすること」は「不当な差別的扱いに当たる可能性が高い」という見解を示しています。
運用場面には気を使うということだと思います。
最終形は治療薬の開発による解決
上記のような議論を見ていると、やはりワクチンは問題解決の切り札にはなり得ないということだと思います。
状況を好転させるためにワクチンは有効ですが、最終的には治療薬が開発されて、仮に感染したとしても治療薬により安全に回復できる状況ができれば、ワクチン接種証明にこだわらずに対応ができるようになるのだと思います。
ワクチン接種は感染回避または感染時の重症化予防のセーフティネットとして機能し、ワクチン接種ができない人は感染時の治療をより迅速に対応することで命の危険を回避できる体制が確立できれば、ワクチン接種の有無による差別のない、元の生活が戻ってくるものと思います。
治療薬は現在数種類の申請が進んでいるようです。
早く効果の高い治療薬が承認されることを望みたいと思います。
今後、政府の議論が具体化すると、上記の差別問題がいろいろなメディアで取り上げられてくると思います。1年半以上にわたる外出自粛で、経済も個人のメンタルも、そして感染者の健康や命も大きなダメージを受けています。
コロナとの向き合い方が早く新しいフェーズを迎えて、差別のない元の生活に戻ってほしいと思います。
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