こんにちは。まさおです。
都立高校の男女別の定員設定が時代に合わないといろいろな場面で問題視されている件について、東京都教育委員会は、9/21に公私連絡協議会を開き令和4年度入試以降、段階的に見直しを進める方針を固めました。
今回のテーマは「今後の都立高校の募集について」です。
やり方を間違うと高校に行けない男子が増えるので注意が必要!
都立男女別募集と私立高校との関係
今回、東京都教育委員会が男女別枠募集の見直しを検討する場として「公私連絡協議会」が使われています。
公私連絡協議会は都立高校側と私立高校側の募集定員や募集方法(中学校向け説明会の解禁日など)を一定の枠内で公平に実施するための調整を行う場となっています。
都立高校の男女別募集定員枠を都立高校側が一方的に廃止すると、私立高校側に影響が出るため公私連絡協議会で調整が行われているという形です。
具体的な検討内容は「令和4年度高等学校修学計画について」という資料の中で言及されています。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/press/press_release/2021/files/release20210921_02/siryou.pdf
募集定員比率は59.6:40.4
基礎知識として、東京都の高校進学希望者の受け入れ枠(募集定員)については、約190ある都内の私立高校の受け入れ枠を考慮して毎年設定が見直されています。
上記資料の中でも都立高校と私立高校の募集定員比率は以下のように定められています。
項目 | 都立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
受入れ生徒数 | 40,600名 | 27,600名 |
受入れ生徒割合 | 59.6% | 40.4% |
公私間の募集定員比率が決められていることは意外と知られていないかもしれません。高校進学希望者の受け入れ枠と私立高校の定員充足への配慮から定員比率を毎年ルール化しています。これを自由競争にしてしまうと、学校自体の経営が安定せず、在籍生徒にも迷惑がかかるという考え方から事前調整を行っているわけです。
都内私立高校の募集定員数
2つ目の観点として、東京都内の私立高校の募集定員数を確認しておく必要があります。
令和4年度入試の募集定員はこれから発表されますが、令和3年度の募集定員の実績は以下の通りです。
区分 | 学校数 | 募集定員 |
---|---|---|
男子校 | 18 | 2,705 |
女子校 | 46 | 8,071 |
男女校 | 119 | 27,161 |
合計 | 183 | 37,937 |
上記の通り、女子が男子よりも5,000名ほど募集定員が多いという状況です。
これが都立高校が男女別の枠を設定している直接の原因です。
私立の女子枠が多いことが都立の女子定員を圧迫
これまでも、都立高校の女子の募集定員が男子よりも少ないことが問題だという議論になっていましたが、その背景は私立高校の募集定員が女子の方が多いということなのです。
仮に、都立高校側が私立高校の女子枠が多いことに配慮せず、学力優位の受検生から合格させていくと内申点に有利な女子が多く合格をする可能性が高いです。
これは女子にとっては良いことなのですが、問題位はそれによって押し出される男子です。
男子は私立高校の募集枠が少ないため、やり方を間違うと私立高校にも受け入れ枠がなく、高校進学ができなくなる可能性があるということになります。
東京都が令和4年度以降、結果を見ながら見直しを進めると言っているのは上記のような背景も含めた調整をしないと、結果受検生にしわ寄せがいってしまうことへ配慮しているからなのです。
高等学校は事実上義務教育のようなものなので、最終的に高校進学希望者のほぼ全員を何らかの形で受け入れられるようにする必要があると思います。東京以外の他県での受け入れ等含め、男女別募集廃止による影響をどう吸収するかの算段をつけてから廃止という段取りになっていくと思います。
東京都の中3生の高校進学率は微減基調
ちなみに同資料には東京都の中3生の高校進学率の計画地と実績値が掲載されています。
東京都は中学3年生の95%を受け容れられるように高校の受け入れ枠調整を行っていますが、令和3年度の実績値は91.55%で8%の生徒が高校進学をしていないという状態です。
全国の高校進学率はおおよそ98.5%程度となっていますから、全国平均と比べると低いのですが、背景には私立中学の在籍者が母数に入っていないといった問題もありそうです。
上記の通り、平成28年度は93.6%だった高校進学率は令和3年度には91.55%となっており約2ポイント低下している状況です。
コロナの影響もありそうですが、これはこれで心配な数字なので背景については別途調査をしてブログで取り上げたいと思います。
東京都は全国の都道府県の中でも私立高校数が群を抜いて多いのと、私立中学入試が一般化して公立中進学者がエリアによっては3割以上も抜けていく特殊なエリアです。
高校進学に向けた対応も他の地域と同じ前提で考えるといろいろ無理があるのかもしれません。一方で、時代的には男女別募集の継続も望ましくないので、適切な解決策を丁寧に検討する必要があると思います。
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