【都立高校スピーキングテスト】と教育委員会に市民らが公開質問状を提出

東京都立高校入試スピーキングテストへの公開質問状教育に関する政策
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
5/17、都立高校入試で実施されるスピーキングテスト(ESAT-J)について、問題点を指摘していた「入試改革を考える会」が東京都教育長に対して公開質問状を提出しました。
今回のテーマは「都立高校スピーキングテストへの公開質問状の内容」です。

都立高校スピーキングテストに対する公開質問状

◆入試改革を考える会が5/17に東京都教育長あてに提出
⇒質問は全部で15項目。教育長の見解を問うものも。
回答を5月31日(火)までに文書で要求
◆スピーキングテストの中止自体が目的化する懸念
スピーキングテスト制度の不備や問題点の確認をするのはOK
⇒見解の矛盾の指摘など、本来の制度と無関係な質問は不要
今から中止にするには制度的な不備をきちんと指摘して大きな世論にする方が得策

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スピーキングテスト中止に向けた公開質問

5/17に公開質問状を提出したのは、「入試改革を考える会」です。

この団体は様々な入試制度の不備を指摘してやり方の変更を要求してきました。最近では、2021年実施の「大学入学共通テスト」に対して、第2日程や特例追試験の中止を求める声明など、主に入試の公平性を軸に、主張をしている団体です。

当該団体は、もともと都立高校のスピーキングテスト(以下、ESAT-J)の不備を指摘し何度も中止を求める声明を発していますが、東京都教育員会や教育長が特に中止を検討する様子を見せないことから質問状の提出に至ったと思われます。

質問状の内容と要点

質問状の内容はこちらです。

全部で15の質問があります。各質問の要点をまとめると以下のような内容になります。

公開質問状の内容要約
  1. 教育長の過去の発言内の「しゃべれるのにしゃべりたくない人が多い」の根拠提示
  2. 教育長の過去の発言内の「文法通りでなくても通じた、という成功体験」と採点基準(文法が間違っていると減点)の矛盾に対する見解
  3. 教育長の過去の発言内の「ESAT-Jは公平な採点ができる」の根拠が弱い。発言の真意は?
  4. 委託先ベネッセの採点者が通常指導等で受検生と関わりを持っていないかの確認
  5. 不受験者の得点算出方法
  6. ESAT-JがGTECと酷似している点について、都内の一部の区ではGTECを実施しており不公平な状態になっていないか
  7. 都立高校入試におけるESAT-Jの配点が20点となっている根拠の提示。通知表1教科の評定「5」に相当し英語だけ配点が高すぎるのではないか
  8. 100点満点のテストを6段階に換算すると80点の生徒と100点の生徒が同じになってしまい不公平。なぜ問題ないというのか
  9. ESAT-JはIRT処理をしてスコアをつけるとしているが、IRT処理の内容が不透明。ここの生徒の証文ごとのスコアを明かして透明性を高めるべきなのになぜそうしないのか
  10. プレテストで起こった機器故障などのトラブル明細を報告し、その対応方法を回答してほしい
  11. 試験実施方式について、受験者を2グループに分けてタブレットを使いまわす予定だが、同一問題の試験を異なる時間に実施するのは問題漏洩リスクが高い。対応策を回答してほしい
  12. スコアレポートは総合得点のみとなっているが、構成する4つのパートごとの得点開示は最低限必要と思われる。得点開示請求に応じない理由を説明してほしい
  13. 試験実施時に生徒の顔写真をアップロードし、ベネッセにわたることになるが安全に管理できる根拠を説明してほしい
  14. ベネッセへの委託が一企業に対する利益誘導や利益相反につながらないか、その根拠を提示してほしい
  15. ESAT-Jの周知が弱い。今後の中学3年生やその保護者への情報提供の予定を説明してほしい
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質問内容としては、ある意味ごもっともな内容だと思います。

過去の議論ではこれに加えて「吃音者への対応はきちんとできるのか、間が開いてしまうだけで減点されてしまうと吃音者が不利になる」といった項目もあったかと思います。

いずれにせよ、この質問に対してきちんと回答が準備できればよいのですが、以前検討中といったものもあるのではないかと危惧します。

まずは回答を待ってその内容を確認したいと思います。

まさお
まさお

7月7日から個人申し込みが開始されるというスケジュールになっていることに少し驚きました。申込制だったのですね。それを都立高校の入試に使うのであれば、最低でも申し込みをしなかったときの扱いをきちんと説明しておかないと厳しいと思います。

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ESAT-Jの中止が目的になってはいけない

「入試改革を考える会」の活動を見ていていつも思うことは、「中止させることを目的とした活動」に見えることがあるということです。

2021年度の共通テストとの気もそうでしたが、各制度の不備の指摘はそれぞれ的を射たものであるものの、代替策はなくとにかくやめろの一点を指摘するので、言われた側も対応に苦慮するだろうと思いました。

21年度の共通テストでは、学校の休校やコロナ感染拡大の中で、例年通りの実施で何もしないこと自体も批判の対象となってしまう状況下で、実務担当者は苦渋の決断をせざるを得なかったと思われます。

実務的に運用をせざるを得ない担当者と、外野から不備の指摘だけをする同会の対応には立ち位置の明確な違いが見えてしまいます。

今回も「中止すれば解決」というスタンスは明確です。

確かに中止することで現在質問状に書かれている問題はすべて解決するのですが、それが本当に日本の子どもたちの将来を考えた最善策かと言えば、そうではないと思います。

過去のやり方や公平性に固執してきたことが現在の日本の低迷を招いているのですから、新しいことへのチャレンジは推進すべきだと思います。

もちろん、不公平や不備があってよいと言っているのではないので、むしろ過去のプレテストデータの詳細分析を経て、どうすればより良い制度設計ができるかの提言を成すべきではないかと思います。

簡単な話ではないですが、ただの撤退は後退を意味するので注意が必要です。

まさお
まさお

まずはしばらく動向中止ということになりますが、都立高校の入試改革は全国に影響を与えるため、建設的な議論をして他の地域にも展開可能な制度にまとめてもらえるとよいと思います。

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