こんにちは。まさおです。
全国の46道府県の高校入学願書から性別欄がなくなったというニュースが出ていましたが、最後に残ったのが首都東京です。
東京は男女別定員の段階的廃止をすでに発表していますが、特殊事情で男女別定員を残してきた東京が男女別定員を廃止するとどうなるのか、考えてみました。
今回のテーマは「都立高校壇上別定員廃止の影響」についてです。
東京以外は男女別定員を原則廃止
東京都はもともと私学定員の男女比が女子に偏っていて、女子を私立側が多く受け入れる代わりに、都立が男子を受け容れるという体制が続いてきました。
昨今のトランスジェンダーの議論から、男女別定員は受験生の心理的負担をかけるということで、東京以外の46道府県は願書の性別欄をすべて廃止したそうです。
埼玉など一部に男子校や女子校が残っていますが、極めて少数なので、基本男女の別なく高校募集が進んでいると考えてよいでしょう。
様々な調査を見ると、性的少数者の割合は3%~10%くらいだそうです。個人的には性的少数者以外の人へのダイバーシティを考えると男子校や女子校自体が存続することも許容されるべきだと思います。
都立男女別廃止シミュレーション
では、都立高校が男女別定員を廃止すると男子の不合格者がどの程度増えるかというのを考えてみたいと思います。
ヒントとなるのは、「男女別定員制の緩和」をしている学校の募集状況です。
「男女別定員制の緩和」実施校は、定員の10%は男女の別なく成績順で合否を決めています。仮に最後の10%が全て女子の場合は、一般入試の入学定員の55%が女子ということになります。
シミュレーションの方法
今回以下の手順で考えてみました。
1.現状把握
2021年度都立高校一般入試のうち、
・男女別定員緩和を実施している学校
・男女の応募者数がほぼ同じ学校
を対象に、合格者の男女がどの程度女子に偏るかを確認
2.全体に展開
・1.で出した女子への偏りを全体に拡大
・全体で男子の不合格者がどの程度増えるか予測
男女別定員緩和校の実際のシミュレーション
シミュレーション対象校の選定が一番難しかったです。
男女の応募者がほぼ均等という学校が思ったほど多くなかったです。
今回は「雪谷」「杉並」「練馬」の3校の合計値でシミュレーションしています。
区分 | ①男子 | ②女子 | 差(①-②) |
---|---|---|---|
受検者 | 384 (50.6%) | 375 (49.4%) | 9 |
合格者 | 317 (49.1%) | 329 (50.1%) | -12 |
不合格者 | 67 (59.3%) | 46 (40.7%) | 21 |
受検者の差を重みづけをして同数に変換すると以下のようになります。
区分 | ①男子 | ②女子 | 差(①-②) |
---|---|---|---|
受検者 | 380 (50.0%) | 380 (50.0%) | 0 |
合格者 | 313 (48.5%) | 333 (51.5%) | -20 |
不合格者 | 67 (59.3%) | 47 (40.7%) | +20 |
男子と女子の合格者は48.5:51.5に分かれるということになります。
都立一般入試に当てはめるとどうなるか
上記の合格者割合を、2021年度都立一般入試の全日制普通科(コース、単位制以外)に広げると以下のようになります。
区分 | ①男子 | ②女子 | 差(①-②) |
---|---|---|---|
受検者数 2021実績 | 14,132 | 14,092 | 40 |
合格者数 2021実績 | 10,495 | 10,123 | 372 |
合格者数 男女枠撤廃後予測値 | 10,000 | 10,618 | -618 |
不合格者 男女枠撤廃後予測値 | 4,132 | 3,474 | +658 |
あくまでシミュレーション値ですが、650名程度の男子が都立に入れなくなり私学に流れるということになります。2022年度入試では男女別募集枠の緩和措置が全校に展開されるので、来年の入試から影響が出ると思います。
ところが、2年目以降はこの結果を受けて模試の合格ラインが変わりますから、男子は受験校のレベル調整を行うはずです。その結果男子に偏っていた不合格者がまた少し女子側に揺り戻されて男子の私学への流出は少し減ると思います。
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