【私学の定員超過】東京の男女別定員廃止による影響を考えてみた

都立高校男女別定員廃止の影響は?教育に関する政策
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まさお
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こんにちは。まさおです。
全国の46道府県の高校入学願書から性別欄がなくなったというニュースが出ていましたが、最後に残ったのが首都東京です。
東京は男女別定員の段階的廃止をすでに発表していますが、特殊事情で男女別定員を残してきた東京が男女別定員を廃止するとどうなるのか、考えてみました。
今回のテーマは「都立高校壇上別定員廃止の影響」についてです。

都立男女別定員廃止の影響

◆2022年度は都立高校に入れない男子が増加
⇒私学の男子の入学手続き率が上がり、650名程度が私学に流れるのでは?
⇒学校や塾の進路指導で調整が入れば男子の都立不合格はもう少し減る。
◆2023年度以降はレベル調整が入る
⇒模試の成績で男子の合格ラインが上がるため、応募段階で調整が入るはず
⇒結果、初年度に比べ私学の定員超過は落ち着く可能性が高い

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東京以外は男女別定員を原則廃止

東京都はもともと私学定員の男女比が女子に偏っていて、女子を私立側が多く受け入れる代わりに、都立が男子を受け容れるという体制が続いてきました。

昨今のトランスジェンダーの議論から、男女別定員は受験生の心理的負担をかけるということで、東京以外の46道府県は願書の性別欄をすべて廃止したそうです。

埼玉など一部に男子校や女子校が残っていますが、極めて少数なので、基本男女の別なく高校募集が進んでいると考えてよいでしょう。

まさお
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様々な調査を見ると、性的少数者の割合は3%~10%くらいだそうです。個人的には性的少数者以外の人へのダイバーシティを考えると男子校や女子校自体が存続することも許容されるべきだと思います。

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都立男女別廃止シミュレーション

では、都立高校が男女別定員を廃止すると男子の不合格者がどの程度増えるかというのを考えてみたいと思います。

ヒントとなるのは、「男女別定員制の緩和」をしている学校の募集状況です。
「男女別定員制の緩和」実施校は、定員の10%は男女の別なく成績順で合否を決めています。仮に最後の10%が全て女子の場合は、一般入試の入学定員の55%が女子ということになります。

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シミュレーションの方法

今回以下の手順で考えてみました。

1.現状把握
2021年度都立高校一般入試のうち、
・男女別定員緩和を実施している学校
・男女の応募者数がほぼ同じ学校
を対象に、合格者の男女がどの程度女子に偏るかを確認

2.全体に展開
・1.で出した女子への偏りを全体に拡大
・全体で男子の不合格者がどの程度増えるか予測

男女別定員緩和校の実際のシミュレーション

シミュレーション対象校の選定が一番難しかったです。
男女の応募者がほぼ均等という学校が思ったほど多くなかったです。
今回は「雪谷」「杉並」「練馬」の3校の合計値でシミュレーションしています。

区分①男子②女子差(①-②)
受検者384
(50.6%)
375
(49.4%)
9
合格者317
(49.1%)
329
(50.1%)
-12
不合格者67
(59.3%)
46
(40.7%)
21

受検者の差を重みづけをして同数に変換すると以下のようになります。

区分①男子②女子差(①-②)
受検者380
(50.0%)
380
(50.0%)
0
合格者313
(48.5%)
333
(51.5%)
-20
不合格者67
(59.3%)
47
(40.7%)
+20

男子と女子の合格者は48.5:51.5に分かれるということになります。

都立一般入試に当てはめるとどうなるか

上記の合格者割合を、2021年度都立一般入試の全日制普通科(コース、単位制以外)に広げると以下のようになります。

区分①男子②女子差(①-②)
受検者数
2021実績
14,13214,09240
合格者数
2021実績
10,49510,123372
合格者数
男女枠撤廃後予測値
10,00010,618-618
不合格者
男女枠撤廃後予測値
4,1323,474+658
まさお
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あくまでシミュレーション値ですが、650名程度の男子が都立に入れなくなり私学に流れるということになります。2022年度入試では男女別募集枠の緩和措置が全校に展開されるので、来年の入試から影響が出ると思います。
ところが、2年目以降はこの結果を受けて模試の合格ラインが変わりますから、男子は受験校のレベル調整を行うはずです。その結果男子に偏っていた不合格者がまた少し女子側に揺り戻されて男子の私学への流出は少し減ると思います。

まとめ
  • 男女別募集枠緩和を全校導入する2022年度は650名程度が私学に流れる可能性
    ⇒塾側の進路指導が行き届けばもう少し減る可能性も
    ⇒男子は都立不合格の可能性を意識する必要がある
    ⇒私学側は全体で600~700名の入学者増を考慮しておくべき
    ⇒東京都は私学の実質無償化施策があるため家庭の経済的な影響は少ない
  • 2023年度以降は模試のボーダーが調整されるため影響は軽微に

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