こんにちは。まさおです。
東海大学医学部が2023年度一般選抜において数学Ⅲを出題範囲から外すと発表しました。受験へのハードルが一気に下がり受験生が増えることが見込まれています。
今回のテーマは「東海大学医学部の数学Ⅲ削除の背景」です。
東海大学医学部医学科入試変更点
東海大学は4月下旬に医学部医学科の入試情報を公開しました。
その中で一般選抜の数学科目から「数学Ⅲ」を削除することを発表しています。
上のパンフレット抜粋の黄色枠に出題範囲変更と明記されています。
この背景については、ハフポストが取材をして記事にまとめてくれていました。
受験者減少が最大の理由
この記事によると、受験者の減少が最大の理由だとのことです。過去4年の受検者を比較してみます。
年度 | 募集人数 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|
2022 | 60 | 2,333 | 2,005 | 102 | 19.7 |
2021 | 60 | 3,286 | 2,779 | 126 | 22.1 |
2020 | 60 | 3,659 | 3,205 | 139 | 23.1 |
2019 | 60 | 4,961 | 4,150 | 150 | 27.7 |
上記の通り、コロナ前の2019年度入試では4,000名以上いた受験生が2022年度では半減しています。合格者数も絞り込んでいますが、それでも27倍あった倍率は20倍を切る状況となり、大学側も危機感が強く感じたのだと思います。
数学Ⅲがない方がレベルが上がる
この記事でもう一つ注目すべき、数学Ⅲがない方が受検者が増えて合格者のレベルが上がるという話です。
これまでも同大学の医学科では「大学入学共通テスト」の成績で合否判定する形式の入試などで、数学Ⅲの学力を問わずに選抜を行なってきた。担当者は「数学Ⅲを一般選抜の試験範囲から外しても、医学教育や医師国家試験に向けた学修に特段の影響はないと考えています」と話す。
医学部に合格するには数学Ⅲまで完璧に得点できる学力が必須だと思っていましたが、必ずしもそうではないようです。
むしろ、数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bまででも、「計算が工夫できケアレスミスをしない」「論理的思考力が身についている」といった点を試験で問うことで、必要な資質を備えた受験生を選抜できるということです。
入学者の質を維持するには倍率を上げるのが一番手っ取り早い方法ですから、試験範囲を狭めて受験しやすくるのは合理的な考え方だと思います。
数学Ⅲを課さない医学科はまだ少数
東海大以外で数学Ⅲを課さない医学部入試はどの程度あるのでしょうか?
調べたところ、次第では3校存在しました
- 帝京大学(東京都)
- 金沢医科大学(石川県)
- 近畿大学(大阪府)
上記3校の倍率は以下のような状況です。
大学名 | 年度 | 志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|---|
帝京 | 2022 | 未公表 | 未公表 | 未公表 | 未公表 |
帝京 | 2021 | 6,640 | 6,236 | 172 | 36.3 |
金沢医科 | 2022 | 3,914 | 3,396 | 161 | 21.1 |
金沢医科 | 2021 | 2,481 | 2,205 | 195 | 11.3 |
近畿 | 2022 | 1,496 | 1,397 | 104 | 13.4 |
近畿 | 2021 | 1,618 | 1,494 | 96 | 15.6 |
地域によって受験規模が大きく変わると思われますが、東京にある帝京大学は2022年度結果未公表であるものの2021年度は36.3倍と東海大学の1.5倍程度の狭き門となっています。
数学Ⅲの有無が受検しやすさに直結するのは明白ですが、他大学の状況を見てもやはり数学Ⅲがないことで倍率は今以上に上がるのは間違いないでしょう。
東海大学も30倍を超えるのは確実、50倍近くまで行ってしまうかもしれません。
今後数学Ⅲのない医学部が増えていく可能性
今回の東海大学の入試変更は、医学部受験業界が注目することになると思います。
来年度の入試結果次第では、他の私立大学も数学Ⅲを課さない入試を導入する可能性は十分にあると思います。
医学部は女子の合格操作の問題などもあり、特殊な世界に見られていると思います。一方で、地域に必要な医師の数と質を維持するには適切な広さの門戸と選抜制度が必要だと思います。
今後の動向を注視していきたいと思います。
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