こんにちは。まさおです。
6/28、大阪府で高校の世界史教諭が長時間労働で適応障害を発症したのは府の責任であると訴えた裁判で、大阪地裁は教諭の訴えを全面的に認める判決を言い渡しました。
教員の労働環境が厳しいことは様々なところで指摘されていますが、府や校長の管理責任をはっきり認めた判決により、全国の労働環境改善に影響を与えそうです。
今回のテーマは「教員の長時間労働で府に賠償命令」です。
大阪府の教員の長時間労働裁判
6/28、大阪の府立高校の教諭が部活動の指導などで長時間労働が常態化し適応障害を発症したとして、大阪府を訴えた裁判で、大阪地方裁判所は教諭の訴えを全面的に認め、大阪府に賠償を命じる判決を言い渡しました。
この裁判の要点は以下の通りです。
- 大阪府立高校の現職教諭が府(学校)を提訴
- 長時間労働で適応障害を発症したとして、230万円の賠償を求めた
- 大阪府側は「教員の業務は自主性・自発性に委ねられるところが大きく、部活動の指導は校長の命令ではない」と主張
- 裁判所は「校長の命令ではなくても時間外勤務の時間量で安全配慮義務が果たされたかどうかを評価すべき」として校長に責任があると判断
- 教諭側の主張を全面的に認め、大阪府に230万円余りの賠償を命じる判決
ここで注目しないといけないのは、大阪府側の「教員の業務は自主性・自発性にゆだねられるところが大きく」というところです。
これは、給特法をは池にした主張だと思われますが、twitterなどでも多くの教員が主張しているように、部活の指導を自主的にやっているかと言えば、かなり強い同調圧力があり対応せざるを得ないというのが実態だと思います。
Twitter上の声の一部
学校によっては部活動とうまく折り合いをつけているところもあるかもしれませんが、多くの学校では部活動の顧問の問題が時間外労働の主たる背景になっているケースが多いと思います。
時代の流れからすれば、完全に昭和の忘れ物のような給特法ですが、今回の判決が一石を投じることになればよいと思います。
行政は本気で改革をしてほしい
今回の問題ではっきりしたことは、教員の労働時間の管理義務が校長や行政側にあるということです。
一般企業では当たり前のことですが、この当たり前がきちんと認められたことが重要だと思います。
先日別の記事で、兵庫県の教員数が114名不足しているという事実に対して、教育委員会側が本気で教員集めをしていないのでは?という意見を書きました。
今回の件も、校長が本気で教諭の訴えに向き合い、業務時間削減にための動きを取らなかったことが大きな問題だと思います。
具体的には以下のような対応は必須だと思います。
- 教員の月の労働時間の一覧化
- 長時間労働になっている背景の分析
- 長時間労働を軽減できる策の検討
- 校内の努力で削減できることの実行
- 校内の努力だけで実現できない場合の教育委員会への相談
- 教育委員会による支援策の確認と支援がない場合の対処検討
部活の顧問は部活の活動日数の削減や交代制の導入などで一定割合の軽減はできると思います。
それでは抜本的な解決にならないという場合は、外部の指導者を雇うことは、部活の総数を減らすことなど、本気で解決しようと思えばできることはいくつもあると思います。
今回の校長は、その場しのぎの口頭のアドバイスに終始し、抜本的な組織や仕組みの改善に着手しなかったことが最大の問題だと思います。
また、この状況に対して責任を認めたことで、全国の教諭が「うちも同じ状態だ」と声を上げるのではないかと思います。これをきっかけに大きな動きが出ると教員の労働環境改善は加速するかもしれませんね。
この件に限らず、「本気か」ということがとても大事だと思います。
先生は生徒に「本気で取り組め」といいますよね。今回のケースは大人が本気を見せて解決に向かわなければならない局面だと思います。
この裁判の判決を受けて府がこれからの労働管理をどう進めていくのかにも注目したいです。
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