こんにちは。まさおです。
ここ何回か、教員の働き方改革についての記事を書いていますが、やはり最初に手を付けるべきは部活動のようです。
一方で、全国の高校入試では、33道府県が中学の部活動を評価していることが文部科学省の調査でわかりました。
今回は「高校入試で部活動を評価対象とすべきか」というテーマを取り上げます。
今後の部活動の在り方を考えると、部活動を評価対象とする考え方はそろそろやめた方がよいと思います。
高校入試で33道府県が部活動を評価対象に
文部科学省は、2021年夏に全国の教育委員会を対象に、公立高校の一般入試で内申書に部活動の記載があった場合の評価の在り方について調査をしました。
公立高校の一般入試が対象になっているのがポイントです。推薦入試は一部にスポーツにおける顕著な成績などを見るところがありますが、一般入試の実態はどうなのでしょうか?
結論は、33道府県で部活動を評価対象としているという回答を得ています。
NHKのWebサイトで詳細が紹介されています。
部活動を評価する33道府県は以下の通りです。
つまりほとんどということなのですが、地図に色分けしてみるとはっきりします。
部活動を一般入試で評価対象とする道府県マップ
東北と首都圏・近畿圏の都市部に部活動を評価対象としていないところが多いことがわかります。
埼玉と佐賀は一般入試で部活動の成績を得点化しているレアケースですが、どのように得点化しているか埼玉の例を取り上げます。
埼玉県の取り扱い例
以下は埼玉のトップ校である県立浦和高校の内申点の取り扱いです。
調査書点320点中、70点分を以下の評価で得点化します。
この評価がでたら、県大会出場くらいはしないと不利になってしまうという心理が働きますよね。
これが部活動を必要以上に重要視させてしまうきっかけになっていると思います。
教員の働き方改革と入試
公立高校一般入試における部活動の取り扱いは、そのままその地域の部活動の位置づけに直結します。
前述の浦和高校の部活動の取り扱いがある一方で、「うちの中学校は部活を重視しませんし、県大会出場も目指しません」などと言われたら、保護者は入試で不利になるのでもっと部活に力を入れてほしいと言いたくなりますよね。
日本の社会は伝統的に部活動を教育の一環として、多くの教員の自己犠牲のもとに教育を維持してきた経緯があります。
もっとも、教員側も自己犠牲とは思っておらず、楽しく生徒と時間を過ごせる充実した時間だった時代が長くあったはずです。
今は労働時間に対する考え方や教員の人権保護の観点からも、部活動そのもののありかたが問われ直している時代です。
過去の部活動が悪かったわけではなく、時代の変化とともに役割が変わったと捉えて、前向きに部活動の在り方を変えていく必要があると思います。
端的に言えば、スポーツ推薦以外の入試では部活動の実績は一切見ないようにするべきです。
今回の文部科学省の調査・発表で埼玉県や佐賀県など得点化している県の今後の対応やそれ以外の31道府県の対応にも注目が必要です。
全国の高校入試制度が中学の部活動の在り方に影響を与えているのは事実だと思います。ここに各道府県自治体が積極的に改革のメスを入れないと、結果的に中学の現場の部活動改革は頓挫する可能性が高いです。
早めに制度改革を進めてほしいと思います。
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