「国語の文法にも単語があるのですか?」
という質問を受けることがありますが、もちろんありますよ!!
何回かに分けて説明を続けている中学国文法シリーズですが、今回からいよいよ単語の説明に入ります。
国文法の問題の多くは単語単位での問いになりますので、そもそも「単語」とは何なのかをよく知っておくことが重要です。
「単語」とは?
国文法の単語とは?
国文法では「単語」という言葉がよく使われます。国文法の大半は単語に関する問題と言ってもよいと思います。
ところが、「単語」の意味をあまりはっきり理解できていない人が多いのも事実です。
英語で習う「英単語」の方に引っ張られてしまい、「単語」=「英単語」というようなイメージの方が強いのかもしれません。
もちろん、「英単語」も日本語の「単語」も似たようなところも多く、全く働きが違うというわけではありませんが、日本語独特の「単語」の特徴を知っておかないと後で苦労することになります。
まずは文節の時にも確認をした日本語の構造から確認しましょう。
上記の文の構造で青い二重線が引かれているところが単語です。「子供のころから失敗ばかりしている。」は9つの単語からできているということになります。
英単語と異なるのは、「して」のように一見、1単語でもよいのではないかと思われるところが2つの単語に分かれるところです。勉強が進めばある程度理解できるようになりますが、最初は何でここで単語が区切れるのかイメージしづらいかもしれません。この後詳しく説明します。
言葉の最小単位
「単語」とは何かを確認しておきましょう。
単語=それ以上区切ることができない言葉の最小単位
「言葉の最小単位」というところがポイントです。何をもって最小というのかが難しいところなのですが、これ以上区切るともはや「文字」にしかならず、言葉としての意味合いがなくなってしまうというところがポイントです。
たとえば、先ほどの「して」はなぜ2単語に分かれると言えるのかを考えてみましょう。
「失敗ばかりして」の「~て」という言い方が他の単語のときにも成り立つかを考えています。
例1 失敗ばかり して いる
例2 失敗ばかり やって いる
例3 失敗ばかり 続けて いる
などと、「して」の部分を「やって」や「続けて」などに変えることができますね。
ここから「して」は「し」と「て」がくっついてできている言葉で、「やって」の「やっ」や「続けて」の「続け」はいずれも「し」の代わりに「て」の前にくっついているということに気づいてほしいのです。
ちなみに「失敗ばかり」も「成功ばかり」に言い換えられますから、「失敗」と「ばかり」は分かれると考えることができますよね。
このように単語の区切れ目では他の言葉と入れ替えがきくという特徴があります。
文節と単語の関係を正しく理解する
もう一つ、単語を理解するうえで大事なことは「文節」を正しく理解していることです。
上の言葉の構造のところにも書きましたが、
文節=1つ以上の単語から成り立つ
という特徴があります。
つまり、「文節の区切れ目は必ず単語の区切れ目でもある」ということです。
また、文節の先頭に来る単語は助詞と助動詞以外であるという特徴もあります。助詞と助動詞が何かは今後の説明で出て来ますので、そこで詳しく説明しますが、重要なことは、文節は単語の中のとある種類の言葉が必ず先頭に来るようになっているということです。
ここまでの説明だと「単語」が何かまだピンとこない人が多いかもしれませんが、端的に「文節をさらに細かく分けて、これ以上分けられなくなったもの」程度にまずは理解しておくとよいでしょう。
本当はもう少し奥が深いのですが、それはこれから少しずつ分かっていくことになると思います。
完璧に理解できなくても先に進めることが大事
もう一つ、文法の学習で理解しておいてほしいことがあります。
それは「勉強は完璧に理解できなくても先に進めることが大事」ということです。
国語でこの場面は文法くらいでしか出てこないのですが、とある文法事項の理解がなかなか完璧にできないからと言って、そこで立ち止まってしまうと時間を無駄にしてしまいます。
だいたい7割くらい理解しているなら、細かなところは無視して次の単元に進んでしまうことが重要です。
次の単元に進んで別の視点から物事を理解できるようになると、過去のつまずきポイントが意外とスムーズに理解できるようになるからです。
これは数学などでは特に言えることで、今の単元が不安だからと言ってあまりそこに立ち止まり過ぎると、かえって理解が深まらない可能性があるということです。
ちょっと逆説的で面白い考え方なのですが、多くの勉強本に書かれている真理だと思います。
是非皆さんもここまでの理解に自信がなかったとしてもまずは次に進めるようにしておきましょう。次回もう少し詳しく説明を加えます。
いかがでしたか?
ここまでだとまだ単語の理解は完璧とは言えないかもしれませんが、ざっくり言葉の最小単位で、文節の区切れ目はそのまま単語の区切れ目でもあるということを理解しておきましょう。
※単語の区切れ目が必ずしも文節の区切れ目になるとは限りませんので、その点はご注意ください。
次回、自立語と付属後という単語の大分類を説明します。このあたりが見えてくると少し単語がどういうものかわかってくると思います。
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