こんにちは。まさおです。
10/27、文部科学省は国公私立大の学部ごとに入試改革について尋ねたアンケートの結果を公表しました。
「共通テストに記述問題を出題すべきか」という質問に肯定的な回答はは15%程度とのことでした。
本日は「共通テストに記述問題を出すべきか」について取り上げます。
共同通信の報道内容
まずは以下の記事を参照してください。文部科学省のHPにはまだアンケート結果のデータがアップされていないようです。
ここで言われていることはシンプルで、「大学入学共通テストに記述式問題を出題すべきか」という質問に対して、肯定的な大学・学部は15%、否定的な回答をした大学・学部が84%ということでした。
つまり、各大学・学部は共通テストで記述問題を出題する必要などないという意見が大勢を占めているということです。
共通テストで記述問題を出したい理由
各大学・学部の評価は上記の通りとして、ではなぜこれまでうまくいっていた大学入試センター試験にわざわざ記述問題を入れたがるのでしょうか?
それは、「思考力・判断力・表現力」を標榜している教育システムに合致した共通テストを実現するために記述があるべきという意見が出ていたからです。
自分が関係者から聞いた内容にはこのような側面もあります。
財界からは日本企業の国際競争力の低下への危機感から優秀な学生、即戦力になる学生を大学で育ててほしいという要請が来ている。
ところが、現実的には大学は大変コントロールがしにくい組織でここに対して文科省が具体的な指示を下したとしても実効的な成果は期待できない。むしろ高校時代の学習内容を暗記中心から転換させることが望ましい。
そのためには多くの高校生が受験をするセンター試験を改革することが高校の学習内容・授業内容を変える合理的な方法である。
というような考え方です。
国立の2次試験はすでに多くの大学が記述式問題を出していますが、それではダメなのでしょうか?
おそらくだめだと考えたからセンター試験に手を出したはずです。何がダメかというと、話題性に欠けるというこ都と思われます。センター試験に記述を出すということになれば、日本中がニュースなどで取り上げることになり、高校の先生も高校生も否が応でも意識せざるを得なくなる。政治家も自分たちの活動を端的に国民にアピールできるため、センター試験に手を出したがったのだろうと思います。
一方で、センター試験は50万人を超える受験生が集まり、2週間でほぼすべての採点を終えて2次試験受験校に得点を送付できる準備を整えます。このスピード感と50万名を超える規模との戦いがこれまでの問題の中心でした。
多くの大学が記述問題出題に否定的な理由
では、なぜ多くの大学が記述問題の出題に否定的なのでしょうか?
その背景は簡単です。共通テストに記述問題を出題することによって大学側が受けられる恩恵があまりに少ないということです。
記述問題を強行的に導入した場合に考えられる問題点は以下の通りです。
1.採点基準の統一化が難しく採点者によって点数がブレる
⇒大学の個別試験であればある程度コントロールできますが、50万人規模では統一は難しい。
2.採点ミスが一定数発生する可能性が高い
⇒記述問題の採点制度を維持するにはかなり優秀な採点者を集める必要があります。
3.採点終了までの時間がかかってしまい、2次試験のスケジュールに影響が出る可能性
⇒一般的に記述答案の採点基準は代表的な答案の内容を吟味して決めることも多く、きちんと採点をしようとすれば従来以上に時間がかかる可能性が高い。
もちろん、「べき論」として記述問題が出題できるなら出題すればよいのですが、1年前にも記述問題を出題するには無理があるという議論で記述問題の出題を一旦中止して、延期措置になっています。どうすれば公正な採点をスピード感を持って実施できるのか、その手法が開発されれば具体的な開発を進められるようになると思います。
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