【共通テスト】民間英語試験はどうなる?

大学入学共通テスト
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まさお
まさお

コロナ騒ぎの陰でも粛々と検討されている大学入試改革。
4月24日には「入試改革検討会議」の第6回が開催されました。この中で民間英語試験の扱い方について議論がありました。今後の行方を左右する踏み込んだ議論で、今後の展開に示唆を与えてくれそうです。

今回は民間英語試験の行方について取り上げます。

民間英語試験の考え方

英語民間試験は共通テストの代わりにならない!?
→共通テストは競争入試向けの到達度評価であるべき
→民間英語試験は熟達度評価であり、到達度は測れない
英語民間試験はそれぞれ計っている項目が異なる
→テストによって測り方も異なる。
→テスト間の相関がないため、横の比較はできない

入試改革検討会議(第6回)の資料は以下のサイトにて確認が可能です。

大学入試のあり方に関する検討会議(第6回)配布資料:文部科学省
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大学入試として使えるテストの要件とは何か?

これは大学入試に限らず、中学や高校入試でも言えることですが、入学者を選抜するために行うテストというのは、競争の要素が必要になります

つまり、与えられた範囲を公平な条件でどれだけ頑張ってきたかを測る物差しでなければならないということです。

今回の検討会議の中で上智大学の渡部良典委員は大学入試で必要な要素を以下の3つと論じました。

・信頼性
・実行可能性
・公平性

これ以外にもいくかの要素を出していらっしゃいますが、優先的に見なければならないのは上記の3点ということでした。

「信頼性」は言わずもがなで、入学者を選抜するための最低要件だと思います。

「実行可能性」というのは全国津々浦々で実施可能かという要素を含みます。

「公平性」も特定の条件の生徒が有利にならないということを指します。

まさお
まさお

この3つの要素がそろえば「入試で使用するに堪えるテスト」ということになります。とても分かりやすいチェック項目だと思います。

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到達度評価と熟達度評価

前述の渡部先生はさらにテストの評価の観点についても整理されました。

テストには過去の頑張りを検証する「到達度評価」と将来の伸びを予測する「熟達度評価」の2つに評価があります。

入試は競争の要素がありますから、「到達度評価」ができるものでなければなりません。これまで使われてきた「大学入試センター試験」はまさに到達度評価のために最適化されたテストです。

当然、今後実施されていく「大学入学共通テスト」も同様の「到達度評価」ができるテストである必要があります。

一方で、今回導入が見送られた民間英語試験はどうでしょうか。

たとえば、TOEFLやIELTSは英語圏の高等教育機関で必要とされる力を有しているかを見極めていく「熟達度評価」のテストです。

つまり、「到達度」を評価する入試に「熟達度評価」の試験を持ってきてもうまくマッチしないということなのです。たとえるなら陸上競技の種目が違う感覚に近いと思います。

まさお
まさお

これまでは民間英語試験をとにかく導入するのだという結論ありきの議論だったようですが、今回、正常なものの見方に戻ったように見えます。
複数の民間英語試験を入試で使うのには無理がありそうです。

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その他英語民間試験を入れる際の問題点

それ以外の問題点もいくつか指摘されています。

① 受験会場が偏り地域格差が出てしまう。
② 受験料や実施回数が試験によって異なる。
③ 民間主導のテストは今回のコロナのように災害時に対応ができない

①②は2019年末の議論でも話題になっていましたが、今回の新型コロナ騒ぎで③も露呈しました。多くの試験が予定通り行われず、軒並み中止となっています。
感染リスクを考えれば当然ではありますが、現に今年の高3生は試験が中止になってスコアを得る機会が失われています。

また、それぞれの試験が図ろうとしている能力に差があるため、各テストのスコアを換算するということが意味を成さないということもあります。

CEFRは各テストのスコアをCAN-Doにはめ込み、強引に横の比較をできるようにしましたが、テスト問題が狙っているところ(図りたいところ)が異なるため、その得点を換算するようなことは現実的ではありません

このようないくつかの理由から、民間英語試験を「大学入学共通テスト」の代わりに入れるのは難しいだろうという内容でした。

まさお
まさお

これまでの主張を総合すると、やはり民間英語試験をそのまま入試に入れるのは難しいようです。
もし、どうしても入れるならば、複数のテストではなく1つのみに絞るのが現実的でしょう

今回の議論に大きな反論が出てこないのであれば、今の論調が進み、民間英語試験の導入はしばらく先送りになると思います。
日本の様々な地域にいる受験生のことを考えても、民間英語試験の会場に集めること自体が難易度が高いです。
さらにそのスコアで学力を図るのは、非常に難易度が高いようです。

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