こんにちは。まさおです。
高校受験では「内申点」というのが思いのほか重視されています。主には各科目の評定をもとにした成績史料が使われることが多いのですが、中には生徒会長や委員会の委員長、部活の部長などで加点されることもあります。捉え方を間違うと人間が歪む危険な資料でもあります。
今回は「内申点の正しい上げ方5つのポイント」を取り上げます。
内申書サバイバルという悲劇
先日、AERAdot.に「内申書サバイバル」という記事が出ていました。
高校入試では、入試当日の得点のほかに「内申書」が評価されるために、内申書の得点アップに躍起になっているというのです。
テストでよい点を取るために頑張るのは良いことなのですが、その頑張り方が少しいびつだよねというお話です。
内申書の評価を上げるために以下のようなことが行われているというのです。
- 提出物は期限を必ず守る
- 授業中は積極的に手を上げる
- 委員会活動の委員長や部活動の部長に積極的になる
- 生徒会長もなれるものならなっておく
- 音楽界の指揮者もなれるもならなっておく
1番上の「提出物の期限を守る」は、とても大事なことで必ず守ってほしいことです。
問題は2番目以下です。本人が本心からやりたいと思っているのならよいのですが、「内申書の評価を上げるためになれるものならなっておく」というマインドはその後の人生にあまり良い影響を与えないように思います。
人間には個性や得意、不得意がありますから、それを活かせるような役職に就くべきだと思います。役職につかない方が伸びる生徒もいるはずで、たった1つの生徒会長の椅子を内申書のために多くの生徒が争奪しているとしたら、制度設計が間違っているとしか思えないですね。
現代は個性重視の時代
かつての教育は、マニュアル通りにただしく動ける人を育成することが求められていました。
そこでは、多くの人を統率するリーダーが重視され、そのリーダーが多くのメンバーを束ね、メンバーはリーダーに言われた通りに自らの役割を果たして成果を上げることが求められていました。
そういう社会にあっては、生徒会長や部活の部長が重視されるのは悪いことではないのですが、今は必ずしもメンバーを統率するタイプのリーダーが成果を出す時代でもなくなってきたように思います。
今のリーダーは、各メンバーの個性を正しく見極めて、メンバーの個性が最大限発揮されるような環境構築をすることが大事です。
各メンバーがストレスなく、自分の個性を発揮すると、その個性の組み合わせによって全体のパフォーマンスが上がるというような図が求められることが多くなりました。
古い日本の組織体制が、世の中の趨勢とずれてきていると言ってもよいと思います。
その意味では、生徒会長や部活動の部長などを評価する制度を早くやめないと、日本の将来を担う若者を誤った方向にリードしてしまう可能性があると危惧します。
高校入試で生徒を募集する側は、内申点の得点化について、教科の評定はともかく生徒会長などの役職評価について考え直した方がよいと思います。
一番問題ないのは、自分はリーダーにあまり向いていないと思う生徒が、内申書のために部長や生徒会長になっていることです。レアなケースかもしれませんが、冒頭のAERAの記事を見る限り、大人がそのように子どもを仕向けている状況もありそうです。
こんなことをしていたら、生徒の伸びるべきポイントをぶつしてしまいかねないので、大人の側がよく感がることが大事だと思います。
現代の内申アップ5つのポイント
さて、そんな時代であっても、今の入試では「内申書」が評価されてしまいます。それでは一体dのようにして内申点をアップすれば良いのでしょうか?
ポイントを5つご紹介します。
1.定期テストではきちんと点を取る
すべての基本は定期テストです。内申書の大半は教科の評定で決まりますから、定期テストの点数が高いことが評価の基礎となります。
- 試験範囲の表が配られたら準備開始
- 与えられた範囲の問題をきちんと全て解いてみる
- わからない問題は先生に質問か教科書ガイドなどを活用
自分なりのテスト準備の方法を確立しておくことが大事です。
定期テストの準備については、以下の記事でも取り上げています。
2.提出物の締め切りは守る
定期テスト以外の生活態度は、先生の評価に微妙に影響を与えます。
通知表で4をつけるか、5をつけるかと迷った際に(実際は観点別評価をつける際に)、提出物をきちんと出していたり、授業中の態度がよかったりする生徒は公表かをつけやすいという現実があります。
また、締め切りを守るというのは社会に出ても基本的な態度で、締め切りを守れない状況は何らかの問題(スケジュール管理ができないとか、優先順位を付けられないとか)があると考えてよいと思います。
現実的には締切がどうしても苦手という人もいるのですが、締め切りが苦手な人は自分が締切が苦手であることを自覚した上で、手帳に大きな字でメモを取るなどの工夫をするとよいでしょう。
3.自分の性格に合った役職に就く
入試制度上、生徒会長を加点する高校や自治体があるのは現実なのですが、そのために自分の性格を捻じ曲げてまで役職に就くのはお勧めしません。
リーダーに向いていない人が生徒会長になると、生徒会活動自体が大きなストレスになってしまい、日常の学習などにマイナスの影響を与えるからです。
リーダーに向いていないのであれば、生徒会長ではなく副会長や他の役職でもよいでしょうし、内申書に書かれない役職でもそれに一生懸命取り組む経験は、入試直前の学習の瞬発力を高めることに役立ったりします。
自分がストレスなくできる役割を担うことが大事です。
4.部活動は頑張れる範囲で楽しむ
コロナで制限されてきた部活動ですが、ここにきて活動が活発化してきました。
内申書でも、部活動で県大会に出場すると加点といった自治体もあり、県大会出場を目指して無理な練習を続ける部活動もまだまだあるようです。
部活動は自分の限界に挑戦するよい機会ではあるので、積極的にかかわるべきと思いますが、本人の限界を超えるような部活動今風ではありません。
やはり、本人が頑張れる範囲でベストを尽くすというスタンスで臨まないと、体を壊したり、メンタルに不調をきたしたりといったことが起こりがちです。
上記の記事でも紹介しましたが、1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)で部活動を評価するのは埼玉だけになっています。
関西圏でも大阪・兵庫は部活動を評価に加えないことからも、部活動を入試に持ち込むというスタイルは今後縮小していく方向ととらえた方がよいでしょう。
5.自分の個性を最大限伸ばすことが大事
5つ目は直接内申書につながらないことかもしれませんが、とても大事なことです。
それは、「自分の個性を伸ばす」ことを学校生活では重視してほしいということです。
中学・高校時代は自分が将来どのような方向に進むかなどが分からず手探りの年代です。もっとも今は大学生も自分の進路が分からない時代ですし、社会人になってからも自分の道を大きく変えることができる時代になりましたが…。
つまり、「自分が何が好きで、得意で、何をやっているときが一番楽しいのか」を探す時間としての中学・高校時代を過ごすべきだと思います。
それを、高校受験の内申書などという一過性の得点のためにゆがめてしまうのはとてももったいない話です。人生は100年近く続くのですから、その時間を何とともに過ごしていくのかを探す時間として、自分の個性ときちんと向き合ってほしいと思います。
内申書という結果はとても大事ですが、その結果に至るプロセスはもっと大事です。結果を求めるあまり、プロセスを誤るということがないように、正しく自分と向き合ってほしいと思います。
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