
こんにちは。まさおです!
これまで5回にわたり、古典との向き合い方や基本的な古語、係り結びの法則、現代語訳の作り方などをやってきました。
あとは今回の「ば」の扱い方と助詞・助動詞の知識を身につければ、中学レベルの古典はかなり高いレベルで完成となります。
今回は仮定条件、確定条件という「〜ば」の訳し方をとりあげます。
・「ば」を訳す時のツボが理解できます。
⇒「エ段の音+ば」の形は「~ので」「~すると」「~と、いつも」と訳すことが多い。
・ 未然形と已然形の本質的な違いを確認できます。
⇒「未然」はまだ起こっていないこと、「已然」はすでに起こったことを表す。
なぜ「〜ば」の訳が大事なのか
古典で一番の悲劇は、自分の訳がどこからか狂ってきて、気がつくと本来の意味と全然違う世界が脳内に展開されていることです。
例えば、自分が死んだと思っていた登場人物が実は殺した側だったとか…、ハッピーエンドと思っていた話が実は悲劇だったとか…。
意味を取り間違っているのですから問題が解けるはずもなく、悲惨な結果になることもよくあります。
勘違いの起点になるポイントは2つあります。1つ目は省略された主語を補うときに勘違いするケース、もう1つが「〜ば」の役を正確にできずに発生する意味のとり違いです。

正確な現代語訳には「〜ば」の正確な訳が大きく関わってくるのです。
要点をサクッと覚えて、確実に訳せるようにしちゃいましょう!
「〜ば」の訳し方の基本 ~訳仕分けの基本知識~
「〜ば」の訳し方の基本は以下の通りです。また、活用形が絡んできますので注意しましょう。
まずは例文とその役を確認しましょう。
・毒も食らはば皿まで。
⇒毒も食べるならば皿まで。(やるなら徹底的にやるべきということわざ)
・矢など射れば進まず。
⇒矢などを射るので、進まない。
子の例文の意味の違いが分かるでしょうか?
「~ば」の訳し方の基本は以下の通りです。
「~ば」の形 | 意味と訳し方 |
---|---|
未然形+「ば」 | 「~ならば」と訳す。 ※仮定条件 |
已然形+「ば」 | 「~なので」と訳す。 ※確定条件 「~すると」と訳す。 ※偶然条件 「~と、いつも」と訳す ※恒時条件 |
「ば」の上の言葉の形が、未然形か已然形かで意味が全く逆になることに注意!!
未然形は下に打消しの「ず」をくっつけたときの形です。
例)「行かず」「飛ばず」「来ず」
已然形がどんな形かは、係り結びの法則のときに出てきた、下の表で確認しましょう。
エ段の音で終わることが多い形と意識しておきましょう。
基本形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 |
---|---|---|---|
飛ぶ | 飛ぶ(。) | 飛ぶ(とき) | 飛べ(ども) |
覚ゆ | 覚ゆ(。) | 覚ゆる(とき) | 覚ゆれ(ども) |
うつくし | うつくし(。) | うつくしき(とき) | うつくしけれ(ども) |
~なり | なり(。) | なる(とき) | なれ(ども) |
~む | ~む(。) | ~む(とき) | ~め(ども) |
未然形と已然形とは何か ~違いを本質的に知る~
現代語には出てこない「已然形」という言葉。「係り結びの法則」のところでも出てきましたね。
「已然形」を正しく理解することが古典の理解を一段と深めることになります。
未然形 | 未然という言葉の通り、まだ起こっていないことを表すときに使われる形です。 現代語でも「やらない」の「やら」が未然形です。まだ「やってない」ですよね。 |
已然形 | 已然の「已」はすでにという意味です。字の形にも注意。左側は半分だけ出ます。 已然形というのはすでに起こったことを表すときに使う形なのです。 |
「已然形」と書きます!!

ちなみに現代では已然形と同じ形を「仮定形」と呼んでおり、古典でいうところの未然形と同じような意味合いで使われます。よって現代の仮定形と逆の意味を持つ古典の已然形の解釈が勘違いの元となりやすいのです。
もう一度、「已然形+ば」の訳し方を確認してみましょう。
・~ので
・~たところ
・~するといつも
どれもすでに何かが起こってしまった表現ですよね。
已然形を使っているので当然なのです。
具体例で訳し分けを確認
なんでも例文で試すと理解が深まります。また例文を覚えていると要点が定着します。
雨降りければ行かず。
雨降れば、行かず。
⇒雨が降ったので、行かない。
エ段の音+「ば」なので、確定条件の可能性が高いと考える。
(陰陽座の「甲賀忍法帖」の歌詞より)
想い胸に聢(しか)と宿らば〜
⇒思いが胸にしっかりと宿るならば~
「宿らず」の「宿ら」なので未然形。「ず」の前の形は未然形。
(『竹取物語』より)
それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり
⇒それを見ると、三寸(9センチ)ほどの人が、とてもかわいらしい姿でいた。
エ段の音+「ば」なので確定条件を疑う。この場合は偶然条件がよいと考える。

「已然形+ば」の場合、どう訳せばよいかは前後の文の流れから自分で判断しなければならないので注意。
現代語訳を作るときは、「上から順に語順を変えずに古語を現代語に置き換える」というルールに従うこと。
詳しくは下の記事を参照してください。
ここまでで古典の基本知識はほぼ完了です。
公立高校・都立高校の過去問にあたってもある程度得点できるはずです。
点が取れない人は、古文をもう少したくさん読んでみるようにしましょう!!
コメント