知識は学習の基盤で知識がないと何も始まらないのですが、暗記が苦手という人も多いと思います。
今回はそんな暗記の中でも王道の「漢字」を取り上げます。
漢字はただの記号ではない
漢字の世界はとても奥が深いです。アルファベットやひらがなと違って、漢字そのものに意味があることが特長です。
そんなことは知っているという声も聞こえてきそうですが、それをどこまで活かしているかがとても重要です。
たとえば、「絵」という漢字の意味はわかりますか?
もともとは「いろいろな色の糸をより集めて刺繍をする」という意味です。
「絵」という漢字の意味は小学校で「絵画」のイメージを強く刷り込まれてしまうのですが、それだと糸へんになっている理由がはっきりしないですよね。
また、「エ」という読みは音読みです。小学生などに聞くと「エ」は訓読みだと思っている人も多く、これも成り立ちがわかっていないことによる誤解だと思います。
なぜ「エ」が音読みかというと、「絵」から糸へんをとって「会」だけを残しても「エ」「カイ」という読み方ができますよね。
このように漢字の一部だけで読みが分かるものは原則音読みになり、元来の意味は表していないことが多いのです。
いずれにせよ、漢字の表意文字という特長を上手に使うと短時間で多くの漢字を覚えることができます。
いちいち漢和辞典で成り立ちなんて調べていられないよという声も聞こえてきそうですが、大丈夫です。
漢和辞典で成り立ちを調べなくても、漢字の組み立てからなんとないく意味が想像できれば十分です。
部首の意味を覚えるだけで知識の幅がグッと広がる
みなさんは部首の意味をどれくらい知っているでしょうか。
有名な「さんずい」(関西では「さんずいへん」ということが多いようです)が「水」を表すというのは知っていると思いますが、それ以外はどうでしょうか?
「ごんべん」や「きへん」のように見るだけで意味がわかるものは良いとして、それ以外に覚えておくと便利なものをいくつか例とともに挙げておきます。
部首を全部覚える必要はありません。漢字の知識が増えそうなものを優先順位をつけて覚えることが大事です。
部首名 | その部首の意味 | 代表的な漢字 |
---|---|---|
にすい | 氷・寒さ | 冷・凍・冴・凄 など |
こざとへん | 丘・山・台 | 阻・険・階・陽 障・際・隅・陥 など |
しめすへん | 神・祭り | 神・社・祈・祝 禍・禅・福・礼 など |
のぎへん | 穀物 | 秋・租・秤・税 稲・種・穀 など |
りっしんべん | 心 | 快・悩・忙・悔 性・怯・惜・慣 など |
がつへん | 死・残骨 | 死・残・殆・殉 殊 など |
りっとう | 刀 | 利・割・剰・初 刎・到・制 など |
しんにょう | 行く・進む | 進・返・近・遠 追・退・逃・迷 など |
れんが | 火 | 点・熱・焦・照 煮・然・熟 など |
部首の意味を頭に入れながら、漢字の例を見てみると、なるほどと思うような共通点が見つかりませんか?
その共通点を手掛かりにして覚えておくと、記憶を引き出しやすくなります。
漢字の読みは漢字の一部から想像できる
この考え方は感覚的に理解できている人も多いと思いますが、漢字を覚えたりテストで読みがわからなかったときに漢字の一部を上手に使うことで対応の幅がぐっとひろがります。
たとえば、「裏」という漢字を「リ」と読みますが、その読みが想像できますか?
「裏」という感じをよく見ると「衣」という漢字が上下に分かれて、間に「里」が挟まっていることに気づきます。
ハンバーガー状態です。
真ん中の「里」が「リ」とこの漢字を読ませているわけです。
このように、漢字の一部が読み方を残りの部分が意味を表す字を「形成文字」と言います。
漢字の60%くらいが形成文字ですから、この考え方をうまく使うことで多くの漢字を効率よく覚えることができるようになります。
例えば、褒賞金の「褒」は「ほめる」とも読みますが、これも「衣」の間に「保」が挟まっていますよね。これで、この漢字は頭に入って忘れなくなったと思います。
漢字の書き分けや覚えにくい漢字の覚え方
ここまで使った知識を駆使すると漢字の使い分けや覚えにくい漢字の覚え方が少し簡単になってきます。
いくつか例を挙げてみます。
収穫の「穫」の字を「獲」としてしまう間違い
「のぎへん」は「稲」や「秋」など、稲の絵を元にした部首で穀物を表します。
当然、「収穫」はイネなどの刈り取りによる収穫をイメージしますので、のぎへんでないとつじつまが合わなくなりますよね。
完璧の「璧」の字を「壁」としてしまう間違い
これは頻出ですが、下が「玉」になっている「璧」は宝石の意味です。
「完璧」とは傷一つない宝石、「双璧」とは二つの甲乙つけがたい宝石となりますので、いずれも「璧」の字を当てることがわかります。
「鳥瞰」の「瞰」の字の覚え方
上から見下ろした図(今でいうGoogle Earthのような図)を「鳥瞰図」と言ったりします。
この「鳥瞰」の「瞰」の字はすぐに覚えられますか?
見下ろすという意味なので「めへん」
「カン」という読みなので「勇敢」の「敢」
この二つをくっつけて「瞰」です。
他にもたくさん例はあるのですが、皆さんも日々の漢字練習時にここに書いてきたような視点で漢字を一つ一つ眺めてみてください。
発見と同時に記憶に定着すると思います。その積み上げが、漢字の知識を厚くするのです。
芸人の動画で覚えるというのも今風ですね。
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