9月もいよいよ下旬に入り、着々と入試本番が近づいてきます。受験生はこの時期からはほぼ毎月模擬試験を受け、その結果をもとに志望校との距離感を使で直前までの学習を進めていくことになります。
模試の帳票をどう活用するかで合格率はかなり変わってきます。
今回は「合格者の模試の成績表の使い方」を取り上げます。
過去に多くの教え子たちと議論をして合格を実現してきた活用法をまとめています。
模試成績表の主要項目
皆さんが普段受けている模試は学年や地域のよってことなります。今は自宅受験もあるため、母集団などにも差があり、模試はどんどん複雑になっているように見えます。
でも、模試そのものの狙いは母集団における自分の位置の把握で、基本的にどれも同じです。よって、成績表から読み取るべきポイントはほぼ共通だということになります。
具体的な項目を確認してみましょう。
1.各科及び総合の配点・得点・平均点
2.各科及び総合の偏差値
3.各科及び総合の順位
4.志望校合格可能性
5.設問別成績
6.成績推移
どれも一通り見ておくべきですが、自分が現在置かれている状況によって読み取ろるべきポイントは変わります。
今回は、成績アップをして合格率を改善するための見方をテーマとします。
第1に各教科のバランスに注目した成績表の活用方法。
第2に各教科の中での単元別・設問別の成績の見方について説明します。
今回は、得点・偏差値をより高めるための成績表の活用に絞って解説します。
合格可能性の見方は別の記事で詳しく説明します。
各科及び総合の得点・偏差値・順位の見方
模試結果で最初に見るのは、各教科の得点・偏差値・順位だと思います。
各科および得点・平均点の見方
最初に見てほしいのは、満点に対する自分の得点(得点率)、そして平均点です。
以下のサンプルを使って、説明します。
科目名 | 得点 | 満点 | 平均点 | 偏差値 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|
国語 | 60 | 100 | 52.2 | 53 | 4000/10000 |
数学 | 45 | 100 | 30.8 | 60 | 1600/10000 |
英語 | 55 | 100 | 50.8 | 52 | 4400/10000 |
3教科 | 160 | 300 | 133.8 | 56 | 3000/10000 |
この成績表を見て分かることは…
1.数学の平均点が約3割と低い。難易度が高く、数学が得意な生徒が有利な模試。
2.英語と国語は50点そこそこで一般的な平均点。
なぜ平均点が低い数学が得意だと有利なのでしょうか?
それは他の教科よりも得点差をつけやすいからです。たとえば、平均点30点の模試で80点をとれば、平均点よりも50点も高い点を取れることになります。
平均点が50点の英語や国語では100点をとっているのと同じことになります。
他の教科で平均+50点は無理だけれど、数学のみそれができるという意味において、数学が圧倒的に得意な生徒と英語や国語が圧倒的に得意な生徒では数学が得意な生徒の方が有利ということになります。
一般的に数学の平均点は低く出る傾向があります。
また、数学は1問の配点が他の教科よりも高いことが多いため、1問の正誤が他の効果よりも全体成績に与える影響が多いため、数学が全体の成績に大きく影響することが多いとも言えます。
偏差値と教科バランス
次に見るべきは、各科の偏差値と教科バランスです。
志望校に合格するためには、教科バランスをどう整えていくかというのが重要です。
入試が近づけば近づくほど、苦手科目の強化が合格可能性に直結してきます。得点・偏差値を両方見ながら、志望校の受験科目の総合偏差値を最大限上げていくにはどうすれば良いかという視点で成績表を見ることが重要です。
この成績表から考えておきたいことは…
1.数学は得点こそ一番低いが、偏差値は一番高く出ている。
2.数学の間違った55点分のうち、あと1~2問正解できるとより偏差値を上げやすい。
3.英語と国語を偏差値60レベルにするにはあと、10点程度は必要。
⇒まずは数学であと1~2問正解できる問題がないかを確認し、数学の更なるアップを
⇒英語と国語はあと10点上げるべく、正答率の高い問題での間違いを総チェックし強化
比較的できている数学をより伸ばしていく段階なのか、むしろ英語と国語を数学に近づけていく方がよいのかは入試までの残り時間によって判断を変える必要があります。
入試が近ければ近いほど、偏差値が低い方を強化していくべきです。
各教科の得点と偏差値を見て、教科間のバランスをどのように整えていくべきかを見ていくことが重要です。
単元別・設問別の成績表の見方
教科バランスについての確認ができたら、各教科内の取りこぼしや伸び代を確認します。
単元別の得点率・偏差値の確認
たとえば、英語の単元別・設問別成績が以下のような結果だったとします。
設問内容 | 得点 | 満点 | 平均点 | 偏差値 |
---|---|---|---|---|
文法・語法 | 12 | 20 | 9.6 | 54 |
リスニング | 10 | 15 | 8.8 | 53 |
会話文 | 12 | 20 | 12.5 | 49 |
長文読解 | 15 | 25 | 10.3 | 58 |
自由英作文 | 6 | 20 | 9.6 | 42 |
ここから判断しないといけないことは…
1.自由英作文は明確に他よりも強化が必要な分野である。
2.長文読解は比較的出来ている。現状の勉強を続けて様子見。
3.文法・語法は知識強化をすればもっと上を目指せるはず。
などです。
明確に英作文は他よりも低いので、ここの強化が最優先です。また、文法・語法はまだ知識不足のため、知識強化を図るべき。
もちろん志望校によっては自由英作文の出題割合が低いかもしれません。その場合は優先順位を変えていくことも考える必要がありますね。
次の模擬試験までに、何をすべきか、課題を明確にすることが重要です。
次回までに自由英作文を強化し、次の模試でどんな結果になったかでさらに修正をしていくようなサイクルを回していきます。
出題形式別にも確認をしてみる
成績表に出題形式別の得点が出ていればよいですが、ないケースも多いでしょう。その場合も以下のような観点で整理をしてみるとよいです。
1.選択式問題の正解率はどの程度か
2.抜出問題や単語の記述などの問題の正解率はどの程度か
3.30字程度の記述問題の正解率はどの程度か
4.30字以上もしくは字数指定のない記述問題の正解率はどの程度か
単元別の得意・不得意ではなく、出題形式による課題を抱えているケースも意外と多いのです。
特に、記述式になるとまるっきり解答が書けないという生徒も多く、その場合は単元別の知識強化という観点ではなく、記述問題の解答の作り方の強化という視点で次の模試に向けた準備をする必要があります。
記述問題の強化には塾や学校の先生のサポートが必要なので、まずはどのような勉強をすればよいか相談してみましょう。
多くの場合は、問題集を解いて解答を提出し添削してもらうことになると思います。
単元別と出題形式別という、2つの観点で各教科内の正解率をみれば自分が次に向けてどこから手を付ければよいかが明確に見えてくるはずです。
まとめ
今回は模試の成績表の見方として、以下のポイントを解説しました。
1.模試の偏差値の高低よりも次の模試までの課題を見つけることの方が大事
2.教科別の偏差値は平均点や1問の配点と組み合わせて捉える
⇒平均が低く、1問の正誤で差のつきやすい教科に注目し、強化を図る
3.教科内では単元別の成績に注目する
⇒明らかに苦手な単元は次の模試までの重点課題
4.出題形式別に得意不得意があるかも確認する
⇒選択肢問題での失点が意外と多いということはないか?記述問題に課題はないか?等
※入試が近づけば近づくほど、苦手科目への対処が重要になってくる。
模試の成績に一喜一憂せず、事実として受け止めた上で次回への課題を冷静に見つけていきましょう!
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