日本の緊急事態宣言の内容があまりに甘いと世界からは批判もあるようです。
一方で4月8日に東京都が出そうとしていた休業要請はやりすぎとのことで、国は一部の業種への休業要請にブレーキをかけました。
欧米各国から見れば 日本のやり方は甘いようです。なぜ世界から批判されるのでしょうか。
今回は日本人独特の国民性を取り上げます。小論文などの頻出テーマです!
日本の非常事態宣言のどこが甘いのか
2020年4月7日に日本政府は新型コロナウイルスへの対応として、「非常事態宣言」を発出しました。
それを受けた東京都の非常事態宣言措置が4月10日に出ましたが、営業停止を要請する業種は限定的な幾つかの業種に絞られました。
根拠となっている法律が異なっているため、欧米のように外出すると罰金となるような動きはなく、効果を疑問視する声も多く聞かれます。
こうなった背景は複雑でここでは語り尽くせませんが、ある程度国民・都民の行動を維持していきながら、感染防止も図るという都合のよい対応となっています。
一方で、要請だけで渋谷のスクランブル交差点の人が激減したり、電車の混雑が緩和したりするのは日本の美徳とも言われています。
みんなが困っているんだから協力しようという、「同調圧力」によって、各自が行動を制限しているわけです。
この善意に甘えた対応がいかにも日本的であると言われるところですし、欧米からは批判されるところです。
この辺りのテーマについて、この後解説をしますが、ここは小論文や評論文のテーマとしても良く扱われますので、正しく理解しておくことが重要です。
日本人のモラルは高いのか?
東日本大震災の時に、食料の配布をじっと並んで待つ姿を世界が称賛しました。命に関わるような大変な事態なのに、なぜみんな落ち着き払って並んで順番を待てるのか、理解できないということです。
客観的に見ればモラルが高いとも言えますが、実際日本人の心の中はモラルというよりも、他者の前で恥をかきたくないとか、周りの人に白い目で見られたくないという想いが支配的だったりします。
つまり、モラルが高いというよりも他人の目を気にしているというところが中心だったりするわけです。
もちろんそんな動機であってもちゃんと並べる日本人は、ちゃんと並べない某国の人よりは素晴らしいのですが、この複雑な心情を正しく理解しておくと、国際社会で活躍しやすくなるのではないかと思います。
他人と同じだと安心するのはなぜか
「沈没船ジョーク」(タイタニックジョーク)というのを聞いたことがありますか?
各国の民族性をデフォルメして笑いを誘うジョークのことです。
沈没しかけた船にいて、船長が乗客を海に飛び込ませたいとき、各国の人に何というと飛び込んでくれるかというお話です。
イタリア:飛び込むと女性にもてますよ
ドイツ:規則ですので飛び込んでください
日本:皆さん、もう飛び込んでいますよ
Wikipediaの関連資料を参考までに紹介しておきますね。
日本人はこんなジョークができるくらい、周りの人と同じことが大事だと思っているのです。
それはなぜでしょうか?
農耕民族の性(さが)
日本では弥生時代以来、農業を中心に生計を立ててきました。
農業で広い耕地を管理し効率的に作業をするには、一人ではなく大勢の仲間と一緒に作業をする必要があります。
また、自分がそのグループに属していることが安全に生きるためには必要で、グループから弾き出されることは生活の困窮、ひいては命の危険を意味することでもありました。
そのため、周囲の意思を気にしながら自分がそのグループにいられることを優先するようになりました。
このような背景で、日本人は自己主張をあまりせず、常に所属するグループの他のメンバーの考え方を気にするようになったと言われています。
自分のポリシーを守るためにモラルが高くなったと言うよりは、日本人全体、日本社会の同調圧力に合わせることで身の安全を確保すると言うのが大事になったと言うわけです。
結果的にとっている行動は自己を抑制した、客観的に見ればモラルの高い行動なのですが、人間的な思想が素晴らしいわけではないのです。
欧米諸国と日本人との意識の違い
一方、欧米はどうなのでしょうか。
キリスト教徒が中心の欧米では、個人の存在は神の意思によるものとされ、その個性が最大限尊重されます。
日本の道徳は「他者の目」によって形作られているとすれば、欧米の道徳は「宗教」によって形作られていると考えるとよいでしょう。
グループの中にあっては自分の考えをきちんと主張することでその存在を認められ、主張がないことは存在がないことと同義と扱われます。
明確な根拠や信条がないまま人の意見に同調することはあまりよいこととはされません。
欧米的にものを見るのであれば、自分の感性を最大限信じて、自分の考えを明確に述べると言う姿勢が重要です。
日本人他者に冷たいというデータも
2007年のアメリカのピューリサーチセンターが調査をしました。
「国は貧しい人々の面倒を見るべき」という考えに対し、同意すると答えた人は、以下の通りでした。
イギリス91%、中国90%、韓国87%、アメリカ70%、日本59%
日本は47カ国中、最下位だったのです。
かなり古い調査ですから、今の日本人の意識も少しはボランティア思考に変わっているかもしれませんが、たびたびマスコミが騒ぐ「自己責任」論などを見ていると、日本人のモラルはむしろ低下の方向なのではないかという気にもなってきますね。
まとめ
今回の緊急事態宣言に続く緊急事態措置。はたして日本人の自律心で感染拡大にブレーキをかけることができるのでしょうか。
失敗すればヨーロッパのように法律で規制を書けるような動きになっていくでしょう。
効果を早く出したいのであれば、法律による規制が合理的だとも思います。
国は助成金を出さずに規制はできないというロジックで、日本人の善意に期待をした対応をとっています。そんな期待に応えられるのでしょうか?
今、日本人の真価が問われています。
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