4月16日に政府は全国に緊急事態宣言を発令しました。これまでの7都府県に40道府県を加えた形です。
突然の発表に各自治体も驚いているようですが、これによりどんな展開が予想されるでしょうか?
今回は、全国に拡大した緊急事態宣言の影響について取り上げて見合いと思います。
緊急事態宣言の地域拡大の背景
今回、突然の緊急事態宣言を全国に拡大したわけですが、いろいろな背景が絡み合っているように見えます。
独自の緊急事態宣言が相次いでいること
本来、国の「緊急事態宣言」を受けて各自治体が「緊急事態措置」を出す順番なのに、国の緊急事態宣言を待たずに、自治体が独自の緊急事態宣言を出すというちぐはぐな現象が起きています。
4月16日段階で北海道・愛知・岐阜・三重・石川・福井・香川が宣言を出し、宮城と滋賀が検討中という状況です。
結果的に国の対応の遅さが浮き彫りになった格好で、安倍政権としてはこれ以上批判の種を増やしたくないとの思惑で、全国への拡大へ踏み切ったのでしょう。
ゴールデンウィークの帰省による感染拡大
緊急事態宣言が出されていないエリアの人々がゴールデンウィークに各所に移動をすることで、各地域の潜在的な感染者が拡散してしまう懸念があったと思われます。
これは政府というよりは専門家会議の意見が強いと思われますが、日本独特のゴールデンウィークの移動がこれまでの努力を無駄にしてしまう可能性を考慮したと思われます。
人の移動を先手を打って封じておくことで、感染拡大を抑止したいという思惑があると思います。
安倍総理の「うちで踊ろう」SNS炎上
安倍総理がTwitterに投稿した「うちで踊ろう」が猛批判を浴びていることも背景の一つと思われる。本人はいたって普通の気の利いた対応のつもりが、庶民感覚とずれてしまっていたことが背景だと思います。
これに危機感を募らせて次の1手を急いだということも今回の緊急事態宣言と無関係ではないと思います。
全国民への1人当たり10万円給付問題
所得の減った人へ30万円配布だった方針を急遽撤回して、全国民に10万円給付へ方向転換をしました。
これは、最前線で命をはっている医療従事者やスーパーの店員さんなどへの配慮などもありますが、所得減の線引きがどこまで行っても明確にできないとか、事務方の作業量が膨大になり過ぎて給付が遅れるなど、実務的な問題も背景にあると思われます。
全国民へ一律10万円給付するには、全国に緊急事態宣言を出した方が話を通しやすいという思惑はあったと思われます。
これにより各自治体はどう動くのか
今回の急な緊急事態宣言の全国拡大により、各自治体は対応に追われています。
休業補償は相変わらず出ませんが、全国民への10万円給付を念頭に対応を進めていくという流れになるでしょう。
すでに独自の緊急事態宣言を行っていたエリア
北海道・愛知・岐阜・三重・石川・福井・香川はすでに独自の緊急事態宣言を出していました。
ここは、独自の緊急事態宣言に国の緊急事態宣言が追い付いてきただけですから、あわてることはないと思います。
逆に法的根拠に基づいて休業要請等が行える体制なので、それを整えていくことになると思います。
多くのエリアの学校は休校が継続しています。首都圏とほぼ同じ動きとなっていると考えてよさそうです。
独自の緊急事態宣言を検討中だったエリア
宮城や滋賀・富山など、独自の緊急事態宣言を検討していたエリアは時期を同じくして国の緊急事態宣言が発出されたので、対応が進めやすくなったと思います。
富山は4月23日までの予定だった休校措置をすでに30日までの延期を発表しており、これが結果的には5月6日まで伸びることになると思われます。
仙台市などもすでに5月6日までの休校延長を発表しています。
感染拡大とまでは言えないエリア
感染者が一人もいない岩手や1名しかいない鳥取などは対応が難しいと思われます。
岡山県の岡山市や倉敷市は学校再開しており、20日以降も分散登校などを盛り込んだうえで、学校継続を決めたばかりだそうで、今回の宣言を受けて対応に追われているようです。
他のエリアの動向を見ながら休校するかを決めると思われますが、全体的な流れとしては休校に傾いていくと思います。
5月6日に宣言解除は難しい
今回の緊急事態宣言の対象エリア拡大が4月16日に行われたことを考えると、政府が効果を見極めるのに2週間必要と言っていることから、4月30日ごろにその後の対応を発信すると思われます。
一方で、その時期はゴールデンウィークにすでに入っており、ゴールデンウィーク中の人の移動を規制した効果が見えるのは5月20日ごろでしょうから、5月6日に緊急事態宣言を解除する可能性は極めて低いと思われます。
最低でも5月末、ともすると7月末くらいまではそのまま宣言継続となる可能性が高まってきているとみるのが自然だと思います。
ある程度わかっていたことですが、今回の外出自粛・学校休校は今後しばらく続きそうな雲行きになってきました。
多少悲観的に未来予想をしたうえで、取れる対処を進めていくことが大事です。
国民一律10万円の給付で、どの程度の人が救われるかわかりませんが、長期化すればこの給付だけでは焼け石に水というところも出てくるでしょう。
長い消耗戦になると思います。
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