【詩の種類】詳細解説①~文語自由詩と具体例「山の動く日」の紹介~

文語自由詩と具体例「そぞろごと」の解説読解力をつける
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
前回、詩の種類分けについて取り上げましたが、詩の種類を詳しく解説したページが世の中に少ないようので、今回から数回に分けて深掘りをしてみようと思います。
今回はその第1弾として、具体例の質問が多い「文語自由詩」を取り上げます。
次回以降、文語定型詩や口語自由詩を取り上げていきます。

文語自由詩とは

◆日本の伝統的な詩は漢詩のことを指していた
⇒明治時代に西洋の詩の形式をまねた近代詩が登場
文語定型詩から発展して文語自由詩が生まれてきた
◆文語自由詩とは
⇒文語(伝統的な書き言葉)で書かれた1行の音数が自由な詩
⇒助詞や助動詞に古語が入ってくるのが特徴。歴史的かなづかいだけでは文語にならない
現代の詩のベースとなる重要な試みとして文語自由詩をとらえる

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文語自由詩とは?

文語自由詩とは、日本の詩の歴史的な転換ポイントとなる重要な位置づけの詩の形態です。

もともと日本では詩と言えば「漢詩」を指していました。
一方で、開国に伴って入ってきた西洋文化の影響を受け、西洋の詩の翻訳等を通して日本にも独自の詩を持つべきという機運が高まってきました。

西洋史の翻訳から始まって、漢詩以外の詩の文学が少しずつ成熟していく過程で、五七調や七五調を中心とした「文語定型詩」が生まれ、さらに「文語自由詩」「口語自由詩」へと発展していきます。

文語自由詩とはその発展の家庭の中で生まれた一形式です。現代では文語自由詩を作ることはほぼありませんから、詩の形式の発展の過程で生まれた通過点のようなものととらえるべきでしょう。

文語自由詩文語(書き言葉)で書かれた1行の音数に決まりを持たない詩
助詞や助動詞を中心に古語が入ってくるのが特徴
歴史的かなづかいであっても言葉が古語でなければ口語詩としてとらえる
まさお
まさお

詩の種類もただの知識として丸暗記するのではなく、少しでよいので歴史的経緯を踏まえて捉えるようにしましょう。歴史的な経緯を踏まえて改めて市の種類を見ると、詩の種類が分かれてきた必然性が見えてきて知識に広がりが出て来ますね。

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文語自由詩の例

具体例がないとわかりづらいので、文語自由詩の例を実際に挙げて解説します

今回取り上げるのは、与謝野晶子が明治44年に発表した「そぞろごと」という詩です。全体は大変長い詩なので、冒頭の部分だけを取り上げます。
全文はこちらで確認できます。

山の動く日きたる。
かく云へども人われを信ぜじ。
山はしばらく眠りしのみ。
その昔に於て
山は皆火に燃えて動きしものを。
されど、そは信ぜずともよし。
人よ、ああ、唯これを信ぜよ。
すべて眠りしをなご今ぞ目覺めて動くなる。

与謝野晶子「そぞろごと」より

この詩は、平塚らいてう(雷鳥)が明治44年に創刊した「青踏」という雑誌の巻頭に載った詩です。
歴史の勉強をしていると平塚らいてうと『青踏』が出てくると思いますが、女性の社会的立場をより強いものにしようという当時としてはかなりとんがった内容の雑誌でした。
有名な「元始、女性は実に太陽であった。」という言葉のこの本から出ています。

冒頭の詩の現代語訳

「山の動く日來たる」で始まるこの詩は読んですぐわかる通り、古い言葉がたくさん出てくる文語体の詩です。ただし、1行の音数に決まりはありません。典型的な文語自由詩ととらえてよいと思います。

現代語訳は以下の通りとなります。完全に古文の現代語訳のようになりますね。

山の動く日がやってくる。
こう言っても人は私のことを信じてくれないだろう。
山はしばらくの間眠っていただけなのに。
その昔、
山は皆火に燃えて動いていたものなのに。
けれども、それは信じなくてもよい。
人よ、ああ、ただこれを信じなさい。
全て眠っていた女が今目覚めで動き出すのだ。

まさお訳

「青踏」の趣旨に合わせて、当時すでに革新的な女性の立場で有名だった与謝野晶子が強烈なサポートしてくれた形になっています。現代では女性の活躍が当たり前になっていますが、当時は伝統的な女性像を大事にする人たちも多く、この運動に対する批判もかなりあったようです。

まさお
まさお

いかがでしたか?
文語自由詩の流れと具体例で少しはイメージが湧いたでしょうか。入試で文語自由詩が直接出題されるケースは稀ですが、詩の本質的な理解をするためにも文語自由詩についての知識を入れておくことが大事です。
また、詩の知識を持っていることは人間全体の幅を広げてくれることでもあります。詩の中には生きる上でのヒントとなる言葉も多くあります。日常会話で詩の有名なフレーズを適切に引用できると知的な感じが増しますよね。

コメント

  1. 神様 より:

    こんにちは