萩生田文部科学大臣は、4/17の記者会見で大学入試の日程の延期について言及しました。このブログでは4/19に大学受験のあり方について記事を書いていますが、この問題は高校入試や中学入試でも同様に存在するテーマです。
今回は2021年度高校入試はどうあるべきかを考えてみます。
高校入試の検討は各自治体と教育委員会が中心
大学受験は共通テストなど全国共通の動きを文部科学省中心で進めていきますが、高校入試は各自治体が主体的に決めていく必要があります。
現在の状況を見る限り、高校入試のあり方を具体的に打ち出しているところは確認できておらず、例年通りの入試日程を発表しているところばかりです。
3月・4月と学校の授業が停止している中で、中3生の学習進行が例年より遅れているのは間違いなく、ただでさえ入試直前まで試験範囲が終わらない公立中学がこのまま入試に臨めるとは到底思えません。
入試までに学習内容をどうやって終わらせるかの議論と、入試日程をどうするかの議論を各自治体・教育委員会は早急に検討を開始する必要があります。
休校分の補填をしないまま入試を行うべきではない
大学入試の方では「入試改革を考える会」が文部科学省に出した要望書の中で、オンライン授業を授業時数にカウントすべきではないこと、授業進度を極端に早回しにすべきではないことなどを要望していましたが、高校入試の方がより深刻だと思います。
休校になった分の授業時数を対面指導で補った上で、学習内容を極端に早く回して消化不良にならないような配慮が必要だと思います。
一部の自治体ではすでに夏休み短縮(返上)を打ち出しています。土曜授業などと組み合わせて遅れが取り戻せるのかを冷静に判断しないといけません。
西東京市→1学期終了7月31日、2学期開始8月28日
八潮市→1学期終了8月7日、2学期開始8月18日
※これから変更もありうるので注意
節度ある自治体は、学習進行状況を見つつ入学試験のありようを検討するはずですが、各自治体のこれまでの対応を見る限り、かなり極端な対応をとるところもあるので、注意が必要です。
各自治体・教育委員会がどのような選択をするかは現時点で不透明です。受験生の立場では最悪の事態になっても自分自身を守れるように準備をしておく必要があると思います。
中3の1学期の内申点がつけられない
高校入試のもう一つの視点として「内申点」があります。トップ校を中心に内申点は重視しないという学校もありますが、合否に少なからず影響を与える要素でもあります。
特に今年の1学期は仮に5月に学校が再開されたとしても、定期テストや授業中の評価がうまくできず、内申点をきちんとつけられない可能性があります。ましてや学校再開が6月以降にずれ込んだ場合は、評価をつける材料が乏しく差をつけられないのではないかと思われます。
中2の3学期も中途半端に終わっているため、内申点を入試資料にすること自体がムズ開始のかもしれません。
さらに部活の大会も大半が中止となっています。
これにより、夏の大会の成績で推薦入試に臨もうとしていた運動部の生徒が自分の記録を出せないといった問題があります。
一方で、中2までに英検やなんらかの大会で資格を取ってしまった生徒は(予定通り検定があれば)中3で資格が取れたであろう生徒に比して有利になってしまいます。
これも過去の実績が一部の生徒だけにあることで不公平な状況が出てきてしまいます。
2021年度高校入試はどうあるべきか
以上のことを踏まえて、2021年度入試はどうあるべきかをまとめると以下のような流れになります。
1.入試日程を極力後ろ倒しにする
2.内申点は加味しないなどの対応を早めに決めて発表する
3.試験範囲・試験科目は従来通りを踏襲する
4.部活の大会がないため、学校別のセレクションを丁寧に行う
各自治体・教育委員会の発表には常にアンテナを高く張っておきましょう。今度の入試はいつも以上に情報戦の様相が強くなっています。速く情報を得た方が有利です。
受験生の心構え
内申の取り扱い、推薦入試で評価すべき各種活動実績の取り扱いは、一定レベルの節度ある自治体や教育委員会において配慮した対応をすると思います。
一方で、試験範囲については各学校に配慮した対応ができればベストですが、おそらくその対応はもはや難しいのではないかと思われます。
例年通りの試験範囲、例年通りの入試日程で学力試験一発勝負で合否を決める可能性が排除できません。
仮に一部の試験範囲が削除されたとすると、削除された項目を得意としている生徒に不利になるため、よほどの理由がない限り試験範囲の調整は難しいと思います。
例えば、理社を削除して試験科目を減らすといった対応は、試験時間短縮という観点からあり得なくはないでしょう。それも理社が得意な生徒にとっては迷惑な話で、むしろ数学や国語を削除してほしいと思うと思います。
どのような対応がとられるにせよ、高校入試は大学入試に比べれば試験範囲が狭いので、先取りができるところから手をつけて学んでおくべきです。
このブログでは何度も言っていますが、YouTubeやアオイゼミ、各塾の公開映像授業など、先取りで学べるコンテンツは世の中に溢れています。
環境を整えて、早く着手することが成功の秘訣だと思います。
2021年度の高校入試がどうなるかは、各自治体が少しずつ情報を出してくると思います。どのような対応となってもあせらないように、自分ができることは丁寧に準備を進めておきましょう。
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