政府は5月14日にも緊急事態宣言を一部の地域で解除する予定です。自治体によっては解除対象から外してほしいと国に要請しているところもありました。
一部地域で緊急事態宣言が解除されるとその後はどんな展開になるのでしょうか?
今回は緊急事態宣言解除後の学校の展開を予測しました。
なぜ今緊急事態宣言を解除するのか
日々の感染者が減少傾向を示している中で、今緊急事態宣言を解除しなければならないのはなぜでしょうか?
もちろん経済の停滞への配慮です。
今や、飲食店の経営は簡単には修復不能なほどの打撃を受けています。
このままさらに営業自粛要請が続けば倒産する会社がバタバタと出てくることでしょう。
国民の健康は守りたいが、これ以上の経済的な補償もできない中で良い苦渋の決断のように見えます。
もちろん、国民は緊急事態宣言が解除されてすぐに外に出歩くのかという問題もありますが、経済のことを考えてまずは宣言解除ということになるのでしょう。
各県の知事は宣言解除を受けて、自分の自治体の「緊急事態措置」を解除することになります。休業要請も出せなくなるということです。
宣言解除は自治体の休業要請を出す権限を奪ってしまうため、仕組み上(見かけ上)は通常の生活の戻っていくはずです。
後は各県の人々がどのように自己判断で動くかです。これで感染しても自己責任なので、より感染を忌避したい人は自宅待機を継続する可能性が高いです。
緊急宣言解除エリアの解除後の展開
想像に難くないと思いますが、少しずつ感染者が増えてくるはずです。
宣言解除当初は、感染リスクへのおそれから外出が急に増えることはないと思われますが、少しずつ外出しだした人の様子が見えてきて、「自分も大丈夫かな?」と思う人が増えてくるはずです。
その意味では宣言解除により、休業していたお店も徐々に再開し、人々もそこに集まってくるのが当然の展開と思われます。
一方で、感染者数は2週間後くらいに動き出します。
各自治体の新規の感染者は5月末ごろに少しずつ上昇に転じると思われます。
特にクラスターが発生しやすい都市部においては、宣言解除後から人の集まりが散発的にあちこちで起こってくるため、時間の問題で感染がまた拡大するはずです。
日々見つかる感染者数が日ごとに増加傾向になってくるのは間違いないはずです。
宣言解除に伴う学校再開
緊急事態宣言が解除されると、当然各学校への休校要請も解除されます。3月上旬から続いてきた一連の休校が終わります。
生徒は2月以前と同じように1クラスに大勢集まった状態での登校が基本になります。自治体によっては受験学年を中心とした分散登校とする可能性がありますが、一部の学年だけを通学させる法的な後ろ盾はありません。休校の要請がなくなるだけですから、従来のクラスを従来通り運営するのが基本になります。
一方で、保護者の心理としては、学校再開でそのまま通わせたものか心配される方もいるはずです。
地域によっては感染を忌避して自主休校をする保護者や生徒が出てくる可能性も高いです。その方々に納得のいく感染防止策が示せなければ、再開した学校に全生徒が集まるのは難しいということになると思います。
私立学校の中には、独自に休校を継続してオンライン授業を続けるところが出てくると思います。
広範な地域から公共交通機関を使って生徒が通学している私学では簡単に感染リスクを受容できないはずです。万が一感染者が出た場合の対応を考えると、オンライン授業の精度を上げてもうしばらく在宅学習を継続したいと考えるのではないでしょうか?
感染者増と再度の宣言
当然ですが、緊急事態宣言の解除により、感染者は再度増加基調に転じるはずです。そのスピードがどの程度かが問題なのですが、これまでの流れからすれば1か月後には感染者が増えてくるのではないかと思います。
・3月2日から全国の学校が一斉休校
・3月13日に新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正
・4月7日に緊急事態宣言が7都府県に対して発出される
・4月16日に緊急事態宣言の対象を全国へ拡大
・5月14日39県の緊急事態宣言を解除(予定)
都道府県によって差が出てくると思いますが、4月に入ってからの2週間で一気に感染者が拡大していますから、6月下旬ごろに右肩上がりの様相が出てくると考えるのが自然だと思います。
問題は、残った7都道府県の緊急事態宣言を解除するタイミングと先行して解除した39県の増加基調のバランス、そして、再度出るであろう緊急事態宣言の時期の判断だと思います。
行動を大幅に制限をしてから2週間後に感染者数が目に見えて減っていることを考えると、首都圏もあと1~2週間程度(大阪は先行するかもしれませんが)で解除になると考えるのが自然な流れと思われます。
それと交差する形で先行して解除された39県の感染者が徐々に増えてくると思いますので、政府としては悩ましい判断を迫られると思いますが、宣言解除でそのままウイルスが終息するはずはありませんので、次の施策とセットで解除を考えておく必要があります。
入試の時期にも影響が出る可能性大
最後に入試への影響です。
一番危険なのは、入試の時期と緊急事態宣言が重なることです。
政府や文部科学省がやらなければならないことは以下の通りです。
1.2021年度入試の日程と対応案を早急にまとめて提示をすること
⇒共通テストの実施要否判断や推薦入試の実施時期・内容ガイドラインの提示
⇒休校による学習の遅れへの配慮
2.入試の時期と緊急事態宣言が重なった場合の対応
⇒入試分散開催や延期の基準などの提示
3.入試時期までに新型コロナウイルスを終息させるためのロードマップ
⇒緊急事態宣言の再発出の基準提示とそうならないための協力要請
⇒追加の経済支援など終息に向けたさらなる支援策の提示
このまま感染が一度減って、再度増加基調になると次の山は8月ごろに来るのではないかと思います。その際に緊急事態宣言を出さずとも感染者を減らしていくような動きが取れればよいのですが、人の行動自粛だけで全体のトレンドの向きを変えるのは相当難しいと思います。
今回ゴールデンウィークの外出を制限し、航空会社を初めてとして多くの企業が多大な損失を出しながらもそれを受け容れてここまで感染者を減らしてきたわけですから、簡単に増加基調⇒再度の宣言というのは避けられるものなら避けたいということだと思います。
入試日程が例年通りなのか、学習振興への配慮で少しでも後ろに倒していくのかで、ターゲットとする時期が変わりますが、1月~4月ごろの感染状況をどのようにしていきたいから、この時期までにこういう状況にしておきたいといった逆算的な協力要請ができると受験生としてはありがたいと思います。
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