5/14、文部科学省は前日の高校入試を対象とした配慮通知に引き続き、大学入試に向けた通知を出しました。
体操は「総合型選抜(旧AO入試)」と「学校推薦型選抜(旧推薦入試」です。
今回は文科省の通知の内容とその影響について取り上げます。
通知の対象は総合型選抜と学校推薦型選抜のみ
今回文部科学省が教育委員会等の高校側に出した通知の名称は「高等学校等の臨時休業の実施等に配慮した令和3年度大学入学者選抜における総合型選抜及び学校推薦型選抜の実施について(通知)」です。毎回思いますが、情報が少ない割に長い名前ですよね。
元ファイルは以下のリンクにありますので、ご確認ください。
https://www.mext.go.jp/content/20200514-mxt_kouhou01-000004520_5.pdf
タイトルからもわかる通り、この通知が対象としている入試は「総合型選抜(旧AO入試)」と「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」のみです。
共通テストを含めた、学力試験による選抜については、その影響の大きさもあって簡単には触れられないということなのでしょうか。
今回の通知では一切触れられておりません。
総合型選抜と学校推薦型選抜はどう変わる?
変更が考えられる項目として、選抜の仕方とスケジュールの2点が重要だと思います。それぞれどうなりそうかを確認してみましょう
合格者を決める選抜方法への配慮事項
今回の通知で特に配慮が求められた項目を挙げておきます。
1.中止・延期等となった大 会や資格・検定試験等に参加できず、結果を記載できないことをもって入学志願者が不利益を被ることがないよう配慮する。
2.努力のプロセス等について記載を求めることなど評価方法を定め、その内容を募集要項等で周知する
3.ICT を活用したオンラインによる個別面接やプレゼンテーション、大学の授業 へのオンライン参加とレポートの作成、実技動画の提出など丁寧な評価をする
4.上記に伴い、選抜方法を従来と変える可能性がある場合は、入学志願者が準備できるようホームページ等で検討状況を随時情報発信をする
今回のコロナ騒ぎでは推薦入試で重視される各項目の実績がほとんど出せない状況です。それを前提として、今回だけの新しい選抜方法を作り出してほしいという趣旨です。
難易度はかなり高いと思います。
入試日程への配慮事項
入試日程については以下のような記述があります。
総合型選抜の出願時期は9月以降、合格発表時期は11月以降、学校推薦型選抜の出願時期は11月以降、合格発表時期は12月以降としていますが、これらの取扱いも含め、令和3年度大学入学者選抜の日程や調査書の記載等については、国公私立大学関係者及び高等学校関係者等の審議を踏まえ、今後定める「令和 3 年度大学入学者選抜実施要項」において周知する予定です。
「高等学校等の臨時休業の実施等に配慮した令和3年度大学入学者選抜における総合型選抜及び学校推薦型選抜の実施について(通知)」より
入試日程については、関係者との審議をしたのちに改めて周知をするという記載になっています。
普通に読めば、例年の入試日程からの変更を検討中、つまり後ろ倒しということになると思います。
総合型選抜の出願はもう4か月後に迫っており、大学側にとっては選抜方法の変更も併せて日程的な余裕は全くない状態だと思われます。
後ろ倒しになったらなったで、スケジュール上の様々な影響を考慮した調整(会場や人員の確保)が必要なため、なかなか対応の難易度は高いと思われます。
大学側はこの通知を受けてどう対応するのか
今回の通知は4月17日に萩生田文部科学大臣が記者会見で言及していた内容をほぼそのまま文書化したもので、大学側は過去の発信内容を再度通知として受け止めたという状態だと思います。
一方で、この通知では具体的な検討をするにはやや情報不足で大学側も対応委苦慮しているのではないかと思います。今後文科省から具体的な情報が出たとして、大学側が進める対応は以下の通りと思われます。
入試日程の変更
文科省は日程の後ろ倒しをにおわせていますが、大学側が具体的に日程を決めるには以下の順序で決めなければならないはずです。
1.大学入学共通テストの取り扱いと日程の確定
2.共通テストの決定事項に伴う、国公立2次や私大の一般入試の日程確定
3.上記を受けての総合型選抜・推薦型選抜の日程確定
大学内部では様々な可能性を考慮した検討が進んでいると思われますが、21年度の入試を新型コロナの影響のためにこのように変更するという発信はどの大学も行っていないようです。
これは共通テスト以降の日程が決まらないまま、年内の入試日程を変更すると日程重複等のリスクがあるためです。
まずは文科省が一般入試の方の対応をどうするか発表することが先決と思われます。
選抜方法の変更
日程が見えれば、準備できる時間が見えますので、選抜方法の変更が具体化していきます。
今回の通知で大学が困るのは、文科省が言っている「努力のプロセスの評価」が大学側が求めているものと合致するかということです。
本来大学が総合型選抜などで入学させたいのは、「努力もしたし結果も出した学生」です。今回、結果を客観的に評価する部活の大会や文化的行事がなくなったことで、努力だけを評価するというのは抵抗があると思います。
したがって、多くの大学は努力の成果がどのような結果になったかを公的な大会・行事以外の方法で確認する手法を検討していると思われます。
具体的には、最新の自己ベストの記録と動画によるパフォーマンスの提出(記録の裏付けとなるような動画)などです。
また、文化的な行事による実績評価は作品の提出や実技試験を課すといった変更が考えられるでしょう。
いずれにせよ、まずは一般入試の日程や制度変更に対する文科省の発信が必要です。
その後、各大学が上記の日程や選抜方法の変更についてホームページ等で発表すると思われます。
受験生は高校の先生と密に連絡を取りながら各大学へのコンタクトの方法を検討しておくとよいでしょう。スポーツ推薦などを検討している場合はトレーニングを続けて記録が大きく落ちないようにすることも大事です。
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