オンライン授業などで感染防止をしながら学習を進めるスタイルが広がってきています。
最後に問題になるのが入試です。
一つの会場に大勢の受験生を集めて実施するスタイルはコロナ時代には受け入れがたいと思います。
これからの入試はどう変わっていくべきでしょうか?本命と目されるオンライン入試と絡めて考えていきます。
以下の記事の通り、オンライン入試への備えも発信がスタートしています。
文部科学省も大学入学共通テストを2024年からCBT(Computer Based Testing)というパソコン上で解凍する試験に切り替える検討をしています。
オンライン入試が持つ可能性
日本の入試では長くペーパー試験で学力を測って合格者を決定してきました。
しかし、今は総合型選抜(旧AO入試)など学力試験を重視しない入学者選抜も広がりを見せてきています。
その延長線にはオンライン入試があると考えて良いでしょう。
現在の新型コロナウイルスによる感染リスクを考えれば、同日同時刻に多くの受験生を集める入試の実施は受験生やその保護者に不安を与えますし、長い目で見れば受験生の減少にもつながるでしょう。
安全で公正なオンライン入試を早く確立したところが受験生を多く集めることもできるようになるはずです。
緊急事態宣言が解除されても、一度変化した生活様式が元に戻ることは難しいと思われます。
いわゆるソーシャルディスタンスを保ったまま入試を行うことが求められていると考えるのが適切だと思います。
オンラインに移行しやすい入試
書類審査や面接試験のみで合否を決める入試は比較的オンラインに移行しやすいと思います。
帰国生入試などは多くがTOEFLやIELTSなどの英語検定のスコアと書類審査、面接などで構成されています。
このように学力試験を課さない入試の場合は、面接試験のオンライン化を進めてオンライン入試への移行がしやすいと思われます。
高校入試・大学入試ともに推薦試験などが先にオンライン化されるかもしれません。
面接試験を実施する側からすれば、画面越しのオンライン面接より、目の前で本人を見ておきたいという希望があると思います。
ここは感染リスクと直接対面の面接の重要性とのせめぎあいですが、海外の事例などを見ても面接のオンライン化は比較的早く進むのではないかと思います。
学力試験のオンライン化の見通し
日本の入試の主戦場は一般入試です。この10年くらいで多くの入試は面接試験を廃止して学力検査を中心に試験を実施してきました。
ある意味、一番公平公正で不合格時に諦めもつきやすい一発勝負の入試がメインになっています。
今後、この一発勝負の入試がやりづらくなるのは間違いないと思われ、すでにいくつかの学校はオンライン入試への移行を検討し始めているはずです。
学力試験のオンライン入試はどの程度現実的に可能なのでしょうか?
解答をPCに入力させることは難しくはない
オンライン入試のタイプによっても難易度が変わると思いますが、解答をPCに入力させること自体はそれほど難易度は高くないと思われます。
また、一部の記述問題は解答をPC上に記載させたり、紙の上に書いた答案をカメラで撮影して提出したりといったこともしやすくなってきています。
いずれにせよ、学力検査のオンライン化は解答を提出することに関して言えば、ほぼ可能な状態になったと考えてよいでしょう。
PCを使った試験では、一定割合の故障率というのを考慮する必要があります。1000名以上が一度に受けるとなれば、数台程度の不具合を起こす機器がある可能性があります。その場合の予備機の準備や再受験の準備は常に意識しておかないといけないと思います。
課題は不正防止対策
入試のオンライン化の最大のハードルは不正防止対策です。
1つ目は「カンニングを防止する施策」、2つ目は「替え玉受験を防止する」施策が議論の中心になっています。
カンニング防止は、テストを受験する端末をある程度絞り、機能を実装することで対応可能と思われます。
具体的には、オンライン試験実施中には、その端末で他のアプリやカメラ機能などを起動できなくする制御を入れること、試験中の受験生の様子をPCの内蔵カメラで撮影しておくということです。
この牽制作用によって、試験中の不審な挙動は取りづらくなると思います。今はAIの時代ですから、視線の動きやPC操作に不自然な点がないかなども比較的すぐ気づけますので、AIによる不正行為診断を入れるというのも一つの方法だと思います。
2つ目の替え玉防止は、試験前に不正防止の誓約書に署名させるなど、心理的にやりづらい雰囲気を作っていくことと試験中の受験者の顔写真をアプリ側で撮影しておくことが重要だと思います。
また、入試の結果表に試験時間中に撮った受験生の顔写真を印字しておくなどすると以降の手続きに進んだ際に、替え玉受験の抑止効果が発揮されると思います。
複数の試験会場に受験生を呼ぶ方がやりやすい
上記の不正防止策を全受験生にきちんとやろうとすると、それなりの規模のシステム開発が必要になってきます。特に自宅受験を希望している生徒に対する不正防止施策は多少システム的な投資を行わないと難しいと思います。
逆に試験の主催者側がPCを用意して、学校を中心に何か所かの外部会場に受験できる環境を用意するというやり方もあります。
この場合は、試験監督を配置して、試験中の様子をきちんと見ることにより、システム上の開発をせずに対応することが可能になります。
一方で、PC間の距離を開けて「密」を避けることが重要となります。指定会場に受験生を呼ぶならそこでペーパーの試験をやってもよいのではないかと思いますが、オンライン試験を実施してノウハウを蓄積することで、将来的に会場に受験生を呼ばずに試験を実施する可能性が開けるので、まずは一歩を踏み出してみることが大事だと思います。
いかがでしたでしょうか?
1.書類審査や面接試験のオンライン化を進める
2.学力試験は複数会場に受験生を分散させてオンライン化を試験導入する。
3.ノウハウを蓄積しつつ自宅受験までのロードマップを引く
というのが現実的なステップだと思います。
おそらくIT企業がオンライン試験のプラットフォームを開発中だと思われます。スタンダートとなるシステムが出てくれば安価に導入できる可能性もあると思います。
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