こんにちは。まさおです。
5/24、2年連続で採点ミスを大量にしていたことが発覚した茨城県公立高校入試について、県教育委員会は再発防止策を策定しました。
これで本当に採点ミスがなくなるか、その効果も注目されます。
今回は「茨城県教育委員会の採点ミス防止策」を取り上げます。
採点ミス防止に様々な角度からの施策を取り入れた
茨城県教育委員会は20年度・21年度で合計988件に上る採点ミスがあったことを重く見て、第三者の知見も取り入れた再発防止策を検討していました。
今回、冒頭に記載した5つの施策を中心に採点ミス撲滅を目指すこととしています。
5つの施策の実効性がポイント
今回の5つの施策をきちんとやれば採点ミスはほぼ撲滅できるだろうと思われます。
ポイントとなるのは、採点業務に携わる教員が過度のプレッシャーでメンタルに不調をきたしたりしないように、制度として採点の質を担保すると言うところだと思います。
1.採点作業を得点確認作業を分けて相互点検を行う
2.合否ライン付近の答案はさらに点検を加える
この2つをきちんとやるだけでも相当精度は上がると思いますが、採点作業を行う側も採点内容の点検を行う側も精神的な安全性を確保された状態で、冷静に目の前の答案に向き合うことが重要です。
一般的に人はミスをするものですから、ミスそのものを責めるのではなく、点検作業を含めた全体の採点工程を通して最終的にアウトプットとして採点ミスを回避できたという状態を作ることが大事です。
不合格者に答案の写しを送ることでミスをあぶりだす
不合格になった受験生には酷な対応が、
5.不合格者には解答用紙の写しを郵送する
という方法です。
受験生の心中を想像するに、不合格になった志望校から「これが証拠の答案です」という形で答案の写しが郵送されてくるというのは、傷口に塩を塗り込むような仕打ちに見えますね。
一方で、「本当に自分の答案は合格点に達していないのだろうか」という疑問から、細かく答案を点検することで採点ミスをあぶりだしてくれる可能性もあります。
受験生の心中を察するに、あまりこのやり方は教育的ではないように思いますが、採点ミスを撲滅するという観点では有効なのかもしれません。
来年度以降の不合格者の反応を注視する必要がありそうです。
今回の採点ミスで1159人が処分を受けた
今回の採点ミスに対する処分が検討され、関係した1,159人が何らかの処分を受けています。
・合否に影響を与える採点ミスをした教諭9名
・採点ミスと関係する学校の校長など197名
上記の合計206名に対しては減給などの懲戒処分が科されています。
・ミスが合否に影響しなかった教諭など958名
上記の958名は文書訓告という処分が科されています。
結果として採点ミスを出してしまったので処分されるのはやむを得ない側面もありますが、合否に影響する採点ミスを出してしまった背景は教諭側にあるのか、今の制度設計をした担当者にあるのかきちんと検証をした方がよいと思います。
今回採点ミスをした教諭自身が採点に対していい加減に向き合っていたのならともかく、多くの場合は与えられた時間や条件下で最大限のパフォーマンスを発揮していたのではないかと想像します。
その意味では、この制度を長く続けてきた県教育委員会側の処分を重視すべきだと思います。
ちなみに、教育長と教育委員会の元幹部合計5名は10%の減給処分となっています。
多くの現場教員は真面目に採点に取り組んでいたはずなので、ミスを出さざるを得なかった環境側の改善をきちんと行ってほしいと思います。
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