こんにちは。まさおです。
今年の11月に初回の試験が実施される都立高校のスピーキングテストですが、その内容がGTECと酷似しているという指摘が上がっています。東京都のスピーキングテスト「ESAT-J」は「GTEC」を主催するベネッセが請け負っているいるため、そのオリジナリティなどが問題になっています。
今回は「都立スピーキングがGTECに酷似」というテーマを取り上げます。
都立高スピーキングとGTECが酷似
2022年11月に初の本検査が実施される東京都のスピーキングテスト「ESAT-J」。これがベネッセの中学生向けのGTECである「GTEC-Core」と酷似しているという記事がEduAに掲載されています。
都立高校のスピーキングはベネッセが請け負っているだけに、GTECの仕組みをそのまま流用しているのではないかという疑念も芽生えているようです。
EduAの記事は以下からご確認ください。
ESAT-JとGTEC-Coreの問題構成や解答時間等を比較すると以下の通りとなります。
出題形式
パート | ESAT-J 出題形式 | ESAT-J 出題数 | GTEC 内容 | GTEC 出題数 |
---|---|---|---|---|
Part A | 英文を読み上げる | 2 | 音読 | 2 |
Part B | 質問を聞いて応答する 意図を伝える | 4 | 質問を聞いて応答する | 4 |
Part C | ストーリーを英語で話す | 1 | ストーリーを英語で話す | 1 |
Part D | 自分の意見を述べる | 1 | 自分の意見を述べる | 1 |
解答時間
パート | ESAT-J 準備時間 | ESAT-J 解答時間 | GTEC 準備時間 | GTEC 解答時間 |
---|---|---|---|---|
Part A | 30秒 | 30秒 | 30秒 | 30秒 |
Part B | 10秒 | 10秒 | 10秒 | 10秒 |
Part C | 30秒 | 40秒 | 30秒 | 40秒 |
Part D | 1分 | 40秒 | 1分 | 40秒 |
東京都のスピーキングテストの名称は、もともとは「中学校英語スピーキングテスト Supported by GTEC」という名称でしたから、当初からGTECの枠組みを最大限流用するつもりだったと考えるのが自然です。
ある意味酷似していて当たり前だと思いますが、それが問題かどうかを検討する方が大事かもしれません。
GTECと酷似していると何が問題か
東京都の英語スピーキング試験は、2023年度実施計画がすでに進んでおり今から中止というのも難しいと思います。
一方で、ここまでGTECと構成が似ている(というか同じ)とこれをそのまま東京都のテストとしてやってよいのかという声が上がるのも理解できます。何が問題になるのでしょうか?
そもそも、この計画は大学入学共通テストが民間英語試験を導入するという検討を前提にスタートしたものだったはずです。
一方で、大学入学共通テストは公平性の担保が難しいということで民間英語試験の導入を断念しました。結果的に東京都ははしごを外される格好で、高校入試に民間英語試験をベースにしたスピーキングテストが残されることになったわけです。
では、GTECと酷似していると何が問題なのでしょうか?
EduAでは、GTECが模擬試験となってしまうことが問題であるという意見がありました。確かにスピーキングやヒアリングは試験形式に慣れているだけでそうという有利です。
GTECの受検経験者にとってはかなり有利になることでしょう。しかし、今後過去問研究ができるようになったり、様々な塾や模試会社が英語スピーキングの模擬試験を開発してくることを考えると、GTECと似ていること自体はあまり問題にならないように思います。
むしろ問題なのは、「東京都は主体的にこのテストの開発に取り組んでいるのか」ということのように思います。民間英語試験の導入の文脈がありましたから、GTECのスピーキングテストを学校導入すればOKという考え方がベースにあれば、そこに主体性は必要ないということになると思います。
かつて、首都圏の高校入試では業者テストが中学校に入り込んでいた時代があり、偏差値追放という標語の者とに学校に入っていた民間テスト業者が締め出されてきた経緯があります。
今回のスピーキングテストも冷静に見ればそのような民間試験の学校導入と同様で、テスト会社の恣意的な変更が入試に影響と直接的に及ぼしてしまうことがむしろ問題になると思います。
このような流れを見てくると、本当に今年スピーキングテストは実施されるのか、不安になってきますね。塾としては対策講座の開設などのチャンスでもあるので、正しいテスト方式で実現可能なら導入してほしいと思いますが、一方で、受験生が不当な扱いを受けるなら、一度保留にして再検討でもよいのではないかと思います。
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