こんにちは。まさおです。
7/13、東京都教育委員会は令和4年度東京都立高校の男女別定員の緩和措置の実施状況を公表しました。
約7割の学校が男女合同募集と同様の結果になっています。来年度以降もさらにこの状況を推進し、完全男女合同募集になる日も遠からず来ると思います。一方でそれによる問題もあると思います。
今回は「東京都立高校男女別定員緩和措置の実施状況」を取り上げます。
東京都の男女別定員の緩和措置実施状況
7/13、東京都教育委員会は令和4年度入試における「男女別定員の緩和措置」の実施状況を公表しました。
男女別定員の都立高校の合格人員
今回の緩和措置の実施対象109校の合格人員は以下の通りです。
区分 | 男子 | 女子 |
---|---|---|
募集人員 | 11,303人 | 10,435人 |
合格人員 | 10,829人 | 10,315人 |
合格率 | 95.8% | 98.9% |
不合格者数 | 474人 | 120人 |
男子の不合格者が女子の4倍近く出ていることがわかります。
合否のボーダーラインを平等にすると男子の不合格者が増えてしまうということです。
緩和措置の実施状況
令和4年度の入試では、男女別定員を定めている都立高校(109校)全校において、定員の10%を男女合同で性別に関係なく得点の高い順に合格させる手法をとっています。
その結果、以下のような状況となりました。
男女合同定員の場合、 同じ結果になる学校 | 男女合同定員の場合、 女子の合格者が増加する学校 | 男女合同定員の場合、 男子の合格者が増加する学校 |
---|---|---|
81校(74%) | 23校(21%) | 5校(5%) |
なお学校別の状況はこちらから確認が可能です。
女子で23校がまだ女子に不利というのは想定通りですが、男子が不利な学校も5校あることに注意が必要です。5校中3校は女子が全員合格しているため、合格最低点の差も大きくなっています。
詳細は上記リンクの学校別の詳細資料を参照してみてください。
向丘高校は男女合同募集になった場合、女子の合格者が今よりも30名増えるという報告です。それだけ女子の受験者が多いということですが、このまま男女合同募集になると30名の男子が代わりに不合格になります。
合否のボーダーラインの男女で同じ値にするのですから、ある意味公平ではありますが、男子は私学側の受け皿が少ないので、注意は必要だと思います。
男子は模試結果を見て慎重に学校選びを
合格最低点に注目して、女子が不利な学校を是正するというはジェンダーフリーの観点からも当然の動きだと思います。
一方で、この副作用として、これまで均衡がとれていた男女の受け皿のバランスが崩れ、男子の行き先がなくなるリスクもあると思います。
単純に令和3年度の東京都内私立高校の募集枠は以下の通りです。
区分 | 学校数 | 募集定員 |
---|---|---|
男子校 | 18 | 2,705 |
女子校 | 46 | 8,071 |
男女校 | 119 | 27,161 |
合計 | 183 | 37,937 |
私立高校は、女子の方が男子よりも5,000名以上多くの募集枠を持っています。
端的に言えば、私立高校の進学枠は男子に不利な状態になっています。
ここにきて、都立高校が男女平等になるということは、私立高校で不利な男子の状況のみが残るということなので、注意が必要です。
東京都が私立高校の学費を実質無償化しており、私立高校の募集枠の格差により女子がより多く私立高校に進学しても大きな経済的な負担にならない仕組みにはなっています。
模試結果を見て冷静な進路選択を
今年の模試では、令和4度の男女別定員の緩和措置を踏まえて各校のボーダーラインの判定が行わるはずです。
過去の偏差値にとらわれず、今年の模試の判定や応募状況・受検倍率などを見て、実力的に不安な場合は1段階出願校のレベルを下げるなどの配慮が必要です。
また、私立高校の合格校を必ず1つ以上確保することも必須です。
今の状況の中で都立1校のみの受験はかなりのリスクを負うことになりますので、注意しましょう。
世間の流れはジェンダーフリーなので、この動きはもう止まらないと考えるべきです。今後、男子校・女子校もすべて共学化すべきだという議論が強まってくると思いますが、ここは各校の個性としてもうしばらくは残してほしいと思います。
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