「感動詞って、何に感動しているですか?」
国文法の品詞の解説を進めています。活用のない自立語を順に説明してきましたが、最後の1つ「感動詞」を取り上げます。
「感動詞」は入試ではほとんど取り上げられることはないので、学習項目としての内容はサクっと終わらせて、感動詞の持つ奥の深さに若干触れられればと思います。
前回の「接続詞」の解説は以下からご確認ください。
感動詞とは…単独で独立語になる品詞
冒頭でも書いた通り「感動詞」は、文法の学習としてはテストでもあまり出ませんので、サクッと終わらせてしまおうと思います。ポイントは以下の通りです。この後、実例を見て整理していきます。
感動詞の「感動」とは、心の動きというくらいの意味でとらえておくとよいでしょう。
国語ではよく「感動」という言葉が出てくるのですが、映画を見て感動したとかそういう心にしみるような感動ではなく、心が何らかの感情(喜怒哀楽)で動かされることを感動ということが多いです。
感動詞の例と5つの分類
そんなわけで感動詞はまず例文を見て感覚をつかんでしまった方が早いと思います。以下の表だけきちんといておくようにしましょう。
種類 | 働き | 接続詞の例 |
---|---|---|
感動 | 心の動きが言葉となって出たもの | ああ・おお・おや など |
呼びかけ | 相手へ声をかけるときの掛け声 | ねえ・もしもし など |
応答 | 相手の呼びかけへの返事 | はい・いいえ・うん など |
あいさつ | 他者に向けた挨拶の言葉 | おはよう・こんにちは など |
かけ声 | 行動のときなどに出す掛け声 | よいしょ・わっしょい など |
どうですか? これだけ例を見ればどんなものが感動詞かというのはわかると思います。
感動詞は文法の中では特殊な働きの言葉
ここまで見て、感動詞には他の品詞とは違った働きがあることがわかりますか?
感動詞は他の言葉との関係性はほとんどなく、その言葉だけで完結してしまっているというのが最大の特徴なのです。
試しに例文で確認してみましょう。
例1)ねえ、それをとってくれる?
例2)おはよう、今日も頑張ろう。
例3)さあ、でかけよう。
例4)もしもし、起きていますか?
どの例文を見ても明らかなことは、他の品詞と違って、周囲の文節との関係を持っていないということです。「独立語」っていうくらいだから当たり前ではないかと思うかもしれませんが、それ自体がものすごく特殊なことだと思いませんか?
「感動詞」は試験に出されないというよりも、試験に出せないというのが正しいのです。問題を作る人が何を聞いてよいかわからないということです。
感動詞自身が自分の心の動きを単純に言葉として発したに過ぎず、他の品詞と違ったその言葉の裏に思考や論理がないことがほとんどだからです。
感動詞はそれ自体が明確な意味を伝えることを目的としていない
ここからは入試には出ない話なので、入試のことだけ考えている人は読み飛ばしてもらって構いません。
せっかくの機会ですから、感動詞がいかに特殊かということについて少しだけ言及しておきたいと思います。
1.感動詞は主語にはならないが、文にはなれる。
⇒主語にならないが単独で文が作れるという意味では特殊な品詞
2.感動詞はそれ自体が意味を伝える働きが弱く、心の動きが音となって出ただけとも言える
⇒あいさつや応答は意図があるが、それ以外はどの音でもよい感動詞も多い
3.感動詞だけでは意味が伝わりづらく、後続の文が感動詞を補足する関係となる
⇒「はい、自分がやります」の「自分がやります」は「はい」の意味を補足している
どうですか? 少しは感動詞の特徴がわかりましたでしょうか?
日本語を研究している学者の中には「感動詞」は品詞ではないという人もいるくらいで、意味を伝える働きが他の言葉とは少し異なっているのです。
そんなことまで興味を持って文法の学習ができると、暗記ばかりの文法も少し面白くなってくるのではないでしょうか?
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