【検証が甘い?】龍谷大の公募推薦の古典で出題ミス

龍谷大の公募推薦の古典で出題ミス大学入試
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まさお
まさお

公募推薦入試(2教科型)における出題ミスについて
2022年12月2日、龍谷大学が出題ミスに関するリリースを出しています。11月26・27日に実施された公募推薦入試(2教科型)の国語で出題ミスがあったということでした。
合格発表は12月9日にを予定しておりまだ発表の前でしたので、該当の問題は正解を2つに変更して採点を行うため、合否に影響は出ないとのことです。
いったいどのようなミスだったのでしょうか?

今回は「龍谷大の出題ミス」を取り上げます。

龍谷大公募推薦の出題ミス

◆ミスがあったのは古語の現代語訳問題
⇒「召し上がる」の意味を持つ古語を選択肢から選ぶという問題
⇒出題者が想定した解答以外にも解答候補があることが発覚。
◆外部精査機関からの指摘で発覚
試験実施後発表前までに精査を実施しているため事なきを得ている
⇒問題作成のプロセスの検証は必要。
試験実施直後の問題精査は有効。ただし時間がないため精査での見落としの懸念も。

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龍谷大学で出題ミス

2022年12月2日に龍谷大学のホームページに以下のリリースが出ました。

11月26日に実施された公募推薦(2教科型)において出題ミスがあったとのことです。

具体的にはどのような内容だったのでしょうか?

出題ミスの内容

具体的には以下のような内容でした。

公募推薦入試(2教科型)における出題ミスについて

公募推薦入試(2教科型)における出題ミスについて

11月26日、27日に実施しました公募推薦入試(2教科型)(合格発表日12月9日)の出題において、出題ミスがありました。
つきましては、その内容及び対応などを、以下のとおりお知らせいたします。
また、受験生及び関係者の皆さまにはご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申しあげます。
本学では今後このようなことがないよう、再発防止に努める所存です。

1.出題ミスのあった科目
11月26日実施分:文系型 『国語』
※対象学部:文、経済、経営、法、政策、国際、心理、社会、農、短期大学部

2.当該科目の受験者数
11月26日 文系型 『国語』 受験者数 4,452名

3.該当箇所及び誤表記の内容
対象設問: 〔三〕 問五 解答番号25

当該設問は、空所補充として選択させる問題で、問五の解答番号25に現代語訳で「召し上がる」を意味する動詞を選択させる問題でした。

空欄  A  には、現代語訳で「召し上がる」を意味する動詞が入ります。補うものとして、最も適当なものを一つ選びなさい。
① まゐる ② きこしめす ③ さしあぐ ④ たぶ

正答は選択肢②「きこしめす」のみと企図しておりました。高校国語では「まゐる」について謙譲語として指導することが多いと思われます。しかし、派生義として「召し上がる」の義を含む尊敬語としての用法が存在します。設問文では、二重敬語などが多用される文脈であり、「きこしめす」が最適解だと考えておりましたが、それを判断することは高校国語の指導範囲を超えてしまっており、かつ問五の問題文では「召し上がる」に相当する語を選ぶよう限定してしまっておりました。そこで、選択肢①「まゐる」も正答となりうると判断いたします。
上記の理由により、①と②を正答にする対応が必要となりました。
  
4.出題ミス発覚の経緯
試験実施後の問題精査を委託している外部精査機関からの指摘により発覚しました。
 
5.出題ミスへの対応
当該設問については選択肢①および②を正答として取り扱います。

以上

https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-11719.html より
下線は本ブログにて付しています。

上記の通り、「召し上がる」の意味を持つ古語として「聞し召す」のみを正解とするつもりでいたが、「まゐる」も正解になり得るので、正解を2つに増やして採点を行うということです。

まさお
まさお

「まゐる」に「召し上がる」の意味があることは、古典の学習ではよく取り上げられる話なので、受験指導の経験者が見れば容易に気づけるのではないかと思います。
一方で、合格発表前に精査を行い対応を完了させるという意味では被害は実質皆無で、対応としては良かったのではないかと思います。

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ミス発覚の経緯と再発防止

今回のミスは合格発表前に発覚し対応も明確になったため、後から追加合格が出るといったこともなく、実質的な被害はほぼなかったとみてよいと思います。

ミス発覚の経緯

今回の出題ミスは試験実施後の外部精査機関の指摘によって発覚しています。

最近の出題ミスの事例で多かったのは、過去問の出版社が入試過去問題集に掲載する解説原稿の制作過程でミスに気づき、大学側が指摘を受けるというものです。

今回はそのような後からの気づきではなく、自らの精査によって実施後すぐに気づけたという点では体制としてもよかったのではないかと思います。

また、合格発表前までに対応を決め、リリースを出している点でもミスの対応としては良い方の対応だと思います。

再発防止策

今回のリリースでは、再発防止に対する具体的な記載がありません
今後検討ということになるのだと思いますが、ミスのレベルから考えるとここは少し検討が必要ではないかと思います。

「まゐる」に「召し上がる」の意味があることは、受験生向けの参考書にはほぼすべて書かれていると思います。

具体例を挙げるのは避けますが、学習ブログをいくつか見てもまず間違いなく「まゐる」に「召し上がる」の意味があることは一覧表で掲載されています。

入試問題の作問を誰がやっているのかわかりませんが、教科書レベルと比してもかなり基本的なところでの誤りと言ってよいと思います。

その意味では、実施後の精査の前に入試問題の校了前の精査の充実も必要ではないかと思います。

まさお
まさお

入試問題は漏洩防止の観点から、作問に関われる人が一般の問題集などの教材に比べて限られてしまうという難しさがあります。
昨今の入試の多様化で作らないといけない問題数も増えており、大学側の作問負荷も厳しくなる一方だと思います。
とはいえ、出題ミスがあってよいわけではないので作問体制・精査体制・実施後のチェック体制の3つの視点で体制を確認することが重要だと思います。

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