「都立高校の推薦入試は少し緩和する?」
1/20,東京都教育委員会が令和5年度の都立高校の応募状況を発表しました。出願倍率は全体で2.47倍で、前年の2.54倍に比べて0.07ポイント緩和しています。
今回は「都立高校推薦入試の応募状況」を取り上げます。
出願状況
では、都立推薦入試の出願状況を見てみましょう。
男女別の募集枠が維持されている普通科(コース、単位制以外)は以下の通りです。
性別 | 普通科 募集人員 | 普通科 応募者数 | 普通科 倍率 | 前年 応募者数 | 前年 倍率 |
---|---|---|---|---|---|
男子 | 2,922 | 7,610 | 2.60 | 7,583 | 2.69 |
女子 | 2,657 | 8,507 | 3.20 | 8,391 | 3.25 |
推薦全体の 募集人員 | 推薦全体の 男子応募者数 | 推薦全体の 女子応募者数 | 推薦全体の 応募者合計 | 推薦全体の 応募倍率 | 前年 応募者合計 | 前年 応募倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|
9,372 | 10,503 | 12,673 | 23,176 | 2.47 | 23,282 | 2.54 |
元となっているデータは以下から参照できます。
前年の中3生は先ほど76,402名と記載しました。男女の全応募者の合計が23,282名ですから公立中3年生の30.47%が出願をしました。
一方、本年の中3生は77,692名で、男女の応募者の合計は23,176名となっています。公立中3年生の29.83%が出願をしたことになります。
全中3生の出願割合は0.64ポイント下降しており、倍率もやや下がっている状況です。
上記の通り、全体の倍率はやや下がり、推薦入試を受けない受験生が増えている状況が見えてきます。背景は、全日制都立高校への進学希望者が減少傾向にあることが大きいと思います。
通信制高校をはじめとした多様な進路を積極的に選ぶ中学生が増加傾向です。コロナ禍で部活動の活動も少し減ってきたことで、従来の画一化した既定路線から少し様子が変わって来たとも言えます。
女子の倍率が高くなる都立高校
ここ数年話題になっていますが、東京都立高校は数少ない男女別の定員制をとっています。
一般選抜では男女別定員の緩和措置を実施し、多くの学校で男女差のない合格ラインの実現が果たされていますが、推薦入試はいまだに男女別の募集枠を維持したままです。
今回の推薦入試も男女の倍率トップ校を拾ってみると以下のような状況になります。
【普通科男子の倍率トップ10】
順位 | 学校名 | 定員 | 応募者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
1 | 片倉 | 24 | 133 | 5.54 |
2 | 鷺宮 | 28 | 136 | 4.86 |
2 | 小岩 | 37 | 180 | 4.86 |
4 | 東大和 | 29 | 131 | 4.52 |
5 | 東村山 | 30 | 129 | 4.30 |
6 | 雪谷 | 29 | 124 | 4.28 |
7 | 城東 | 33 | 138 | 4.18 |
8 | 東大和南 | 28 | 113 | 4.04 |
9 | 保谷 | 33 | 129 | 3.91 |
10 | 武蔵村山 | 29 | 113 | 3.90 |
【普通科女子の倍率トップ5】
順位 | 学校名 | 定員 | 応募者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
1 | 鷺宮 | 26 | 167 | 6.42 |
2 | 西 | 30 | 174 | 5.80 |
3 | 富士森 | 33 | 182 | 5.52 |
4 | 小岩 | 34 | 181 | 5.32 |
5 | 広尾 | 18 | 76 | 5.00 |
6 | 城東 | 30 | 149 | 4.97 |
7 | 竹台 | 24 | 117 | 4.88 |
8 | 青山 | 26 | 120 | 4.62 |
9 | 戸山 | 30 | 135 | 4.50 |
10 | 竹早 | 21 | 94 | 4.48 |
女子は5倍を超える学校が6校に対して、男子は1校のみという状況で相変わらず女子に厳しい都立高校という図式ははっきり残っていると言えます。
しかし、この倍率格差も過去に比べればかなり緩和してきています。
2022年度の倍率トップは、
男子…青山高校の5.93倍
女子…青山高校の9.62倍
と、もはや大学入試を超えるような高倍率でした。
青山高校は募集定員を増やした(10%⇒20%へ)こともあって、男子は倍率トップ10から姿を消し、女子も8位まで落ち着いてきています。
ちなみに男女合同募集の普通科のコース制、単位制では、新宿高校が5.91倍と高倍率となっています。
多少の緩和傾向があると言っても、相変わらずの高倍率入試であることには変わりません。首都圏の他の地域が推薦入試を次々と廃止する中、推薦入試を堅持している都立高校ですが、今後の展開に注目していく必要がありますね。。
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