子どもの非認知能力を高めるにはどうすればよいのか
グローバル化が進むこれからの日本では従来の学力だけでは、国際競争力を維持できないと考えられています。
これからの日本を担う子供たちが幸せに暮らしていくために、2020年度小学校から順次施行されていく新学習指導要領では、「生きる力」として非認知能力をを高めるための教育がテーマとなっています。
非認知能力については以下の記事を参照ください。
ところで、非認知能力が大事といわれてもどうすればそんな能力が身につくのか知りたくありませんか?
こちらの記事では、「生きる力」を子供たちが身に着けるために周囲の大人が心掛けたいことを説明します。
・自己肯定感を育てるために短所の矯正よりも長所を伸ばす方法へ転換する
・子供の意見をさえぎらずにきちんと聴き、その理由にも耳を傾ける
・子供が興味を持っているものにのめりこむことを応援する
・最後までやりきったことに対して最大限の称賛を与える
これまでの日本で多くみられた課題を指摘して、後は放置というやり方はやめる
子どもが自信をもって自分の考えを言えるように導くことが重要
子供に自己肯定感を与える長所の承認
日本の教育は長く「型にはめる」ことを重視してきました。特に私立の新興進学校の中にはものすごい「校則」を課す学校もあります。
安全な環境で同じような生徒を大量に育てるにはとても都合がよい環境だったと思います。現に効果を上げて大学入試の実績を一気に伸ばした学校も多数ありました。
※今はそのような学校も多くは個性重視の流れになってきています。
負の影響として、「怒られてばかり」「怒られないために言われたわれたことをやる」「自分の意見を主張するのは損」といった考えを持つ生徒が増えたことも事実です。
(自分の高校時代の友人にはそのような思考の人がたくさんいました)
このような考え方の若者が増えてくると、新しいものを創造する活力が弱まってきます。変に目立って叩かれるのは嫌だというような意識です。
これからの時代は、先人のマニュアル通りの仕事をするのではなく、新しい価値を創造する、さらにはマニュアルなしでも動ける人が求められてきます。
そこで重要になってくるのが「自分の長所の自覚」です。
自分は他者と比べて何が勝(まさ)っているのか、自分が得意なもの、好きなものは何かを自信を持って言えることが大事です。
子供は幼少期に自分の興味や欲求をはっきり口にするものですが、成長とともにそれを言わなくなります。周りが言わせなくしているのかもしれません。
子供を一人の人間として認め、意見を丁寧に聴く
欧米と日本の考え方の違いに子供の人権への意識差があります。キリスト教が考え方のベースになっている欧米では、人間は神によって創造されたものなので、子供といえども自分の所有物とは思っていないという特徴があります。
日本では親が子供に反論を認めなず、黙って言われたことをやれというような教育が長く行われてきました(もちろん全部ではありません)。
実際にそれで優秀な成績を修め、東大に進学して幸せな人生を送ることができたという時代でもありました。
これからは、子供が自分の中に持っている能力をいかに引き出してあげるかが重要な時代になります。まずは、子供自身にきちんと考えさせて、考えたことを一生懸命言わせてみましょう。
最初はうまい言葉で表現できず、何を言っているかわからないかもしれません。
そこで発言をさえぎったりせずに、最後まで待ち、聴いてみるのです。
明らかに誤った考えを示したときは、「〇〇のときはどう考えればいいの?」などと別の視点から再度考えさせるように促して軌道修正をします。答えに自分でたどり着けるように導く感じです。
そのような経験の中で自分の考えに自信を持ち、意見を言うことの大切さを理解するようになります。
好きなことを一生懸命やることを応援する
成長期の子供が持つパワーは大人を圧倒するものがあります。中高生の部活動や趣味で発揮する力は大人が真似できるものではありません。
非認知能力を育てるために、部活動や趣味でぶつかる壁を仲間と一体になって乗り越える経験は大きな意味を持ちます。
周囲の大人は、それを後押しすることが重要です。必要に応じて関連書籍を見つけてあげたり、テレビ番組などで関係のあるものがあれば視聴を薦めてみたりといった対応です。
そうはいっても、入試もあればやらなければいけないこともあり、好きなことばかりでは生きていけないという意見もあるかと思います。
子供の成長時期に合わせてバランスをとることは重要ですが、すべてを取り上げてしまうのはよいことではありません。
小4まではピアノを一生懸命練習していたが、小5、小6と上がるにつれて中学受験とのバランスを考えてピアノをセーブするというのは客観的にみて賢明な方法だと思います。
その際に重要なのはピアノをセーブするという結論を大人が押し付けるのではなく、子供と一緒に考えて子供の口からセーブすべきという結論を導き出すことです。
最後までやり切ったことには最大限の称賛を与える
日本人は褒めるのが苦手と言われています。シャイな気質もあるでしょうし、褒めて調子に乗られても面倒だという意識もあるようです。
非認知能力、自己肯定感を育てるためには、自分の取り組みを誰かに称賛してもらうということがとても重要です。
部活動でも習い事でも、夏休みの自由研究でも、一生懸命やったという事実に対しては結果にかかわらず「すばらしい」と称賛してあげましょう。
中には結果が伴わなければ意味がないという意見もあるかもしれませんが、「一生懸命やった」のであれば称賛に価すると思います。
一生懸命やった結果、次に向けての課題や結果を向上させるためにどうすればよいかが導ければ、素晴らしい経験と考えるべきです。
まとめ
子供の非認知能力を育てるために、周囲の大人は、
・長所を認めて伸ばしていこうと考える
・子供を一人の人間として認め、さえぎらずに意見に耳を傾ける
・好きなことにのめりこませ、自分で考える経験を積むことを後押しする
・結果よりもプロセスを称賛し次につながるきっかけとする
を意識するとよいでしょう。
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