【苦手克服】短歌読解の基礎知識② ~短歌の表現技法1~

読解力をつける
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まさお
まさお

こんにちは。まさおです。
先日、短歌を取り上げ、短歌の形式などの基本知識をまとめました。短歌の知識がきちんと身についていると、短歌の見え方が少し変わってより深く読めるようになってくると思います。
今回はその第2回ということで、「短歌の表現技法」を取り上げます。
現代短歌だけでなく和歌の技法も扱います。

短歌の表現技法

◆短歌は詩の一形態であることを覚えておこう!
⇒心に浮かんだ自分の想いを相手に一生懸命伝えようとするとそこに表現の工夫が生まれる
詩で学んだ表現技法は短歌でももちろん使用される
◆短歌独特の表現技法
句切れ・枕詞(まくらことば)・掛詞(かけことば)をまずは覚えよう
⇒さらに余裕がある人は序詞(じょことば)・縁語(えんご)を覚えよう

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短歌は詩の一種と考える

最初に短歌の表現を考える前の前提を確認しておきます。
短歌は詩と同様に心に浮かんだ想い・感動を表現を工夫しながら相手に伝えようとするものです。

感動した強い思いほど、相手に正しく伝えるのは難しいのです。そのため、作者はあの手この手で自分の感動を相手に伝えようと工夫をします。
それが表現技法です。

詳しくは詩のところで解説していますので、以下の記事も参考にしてください。

いずれにせよ、短歌は詩の一種ととらえて、詩で使用される表現技法はすべて使われると思ってください。

その時の表現技法の一覧を例文を短歌にして載せておきます。

詩・短歌の表現技法

・直喩(「~ような」を用いたたとえ表現)
⇒石をもて/追わるるごとく/ふるさとを/出でしかなしみ/消ゆるときなし
・隠喩(「~ような」を用いないたとえ表現)
⇒ひまわりは/金の油を身にあびて/ゆらりと高し/日のちひささよ
・擬人法(ものを人にたとえた表現)
⇒ガレージに/トラック一つ/入らんとす/すこしためらい入りていきたり
・倒置法(語順を入れ替えて強調する)
⇒卵一つ/にぎりて町を/帰りきぬ/復活祭も貧しきわれは
・反復法(同じ言葉を繰り返す表現)
⇒みちのくの/母の命を/一目見ん一目見んとぞ/ただに急げる
・対句法(同じ型の表現を2行並べて対比する表現)
⇒観覧車/回れよ回れ/想ひ出は/君には一日我には一生
・体言止め(文の終わりを名詞で止めて余韻を残す表現)
⇒最上川の/上空にして/残れるは/いまだ美しき/虹の断片
・呼びかけ(誰かに呼びかける表現)
父君よ/今朝はいかにと/手をつきて/問ふ子を見れば/死なれざりけり

まさお
まさお

慣れないと意味が分かりづらいかもしれませんが、詩と同様短歌にも様々な表現技法が使われることがまずはわかればよいと思います。
短歌は前回説明したように、別れている句をくっつけて一つの文として何度も読んでみることが大事です。声に出せるなら音読をしてみましょう。その中で意味が見えてくるようになってきます。

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短歌独特の表現技法にも目を向けよう

詩の表現規法は上記の通り、様々な短歌で使われるのですが、短歌独特の表現技法もあります。
1000年を超える歴史の中で培われてきたものなので、とても奥が深いのですが、代表的のものとして、「句切れ」「掛詞」「枕詞」を取り上げます。

まずは句切れについて確認をしていきましょう。

「句切れ」は短歌の意味の切れ目のこと

「句切れ」とは文字通り「句」の切れ目のことです。文章では大きな意味のまとまりを「段落」、詩では「連」と言います。短歌では5/7/5/7/7の31音のどこかで意味が切れることがあり、その切れ目を「句切れ」と呼んでいます

切れる場所によって「初句切れ」「二句切れ」「三句切れ」「四句切れ」「句切れなし」の5種類に分かれます

意味の切れ目は一般的に「。」(句点)が入れられる場所で判断することが多いです。
前回の齋藤茂吉の短歌を例に考えてみましょう。

はるばると 薬をもちて 来しわれを 見守りたまへり 我は子なれば

この短歌で1カ所「。」を入れるとすればどこがよいでしょうか?
「。」は文の終わりに入れる記号ですから、文の切れ目を探すことになりますね。
この短歌は倒置法が使われているので、それもヒントになります。

はるばると 薬をもちて 来しわれを 見守りたまへり。/我は子なれば

正解は、上記の通り「たまへり」の後ろに「。」を入れるのが適切です。
慣れるまで多少練習が必要ですが、この短歌ではここ以外に「。」を入れられる場所はないと思います(最後に入れようと思えば入れられますが、倒置法なのでここは除外して考えます)。

この場合、四句の後ろに切れ目があるので「四句切れ」(「よんくぎれ」または「しくぎれ」)といいます。

まさお
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ちなみに、初句切れ・三句切れの短歌は一般的に「七五調」と言われ、二句切れ・四句切れの短歌は一般的に「五七調」と言われます。
初句切れと三句切れは五のあとに句切れ目が来るため、「~五調」になりますよね。二句切れと四句切れは、七のあとに句切れ目が来るため、「~七調」と呼ばれるわけです。

丸暗記ではなく、理屈で覚えるようにしましょう。

解説が長くなってきたので、本日はここまでとします。
「掛詞」「枕詞」は次回説明します。

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