国文学史を学ぶ意味とは?② ~近現代の文学作品~

文学史
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まさお
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こんばんは。まさおです。
前回の記事で「文学史を学ぶ意味とは?」というお話をしましたが、文学史のまとめは江戸時代までしかできませんでした。
今回は、前回の続きで紹介できなかった「明治時代以降の文学作品」をまとめました。

文学史を学ぶ意味とは?(前回の再掲です)

◆文学作品と作者を覚えるだけでは意味がない
⇒その文学作品がどのような内容化を少し知るとその時代の特徴が分かってくる
◆文学作品を教養として理解すると幅が広がる
⇒各時代のものの考え方を知っておくと、自分のものの考え方の幅を広げられる
※文学史の外観は知っておくべき。興味のある作品は内容だけで把握しておくべき。

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近現代の文学史

明治時代以降のいわゆる「近現代」の文学史は、細かく考え出すときりがありません。時間があれば丁寧に見ていくと、現代につながる文学の系譜が見て取れて大変興味深いですし、教養としても十分価値があると思います。
が、ここでそこまでやるのは物量的にも過剰になってしまうので、まずは、文学史上の重要な作者と作品をまとめておきます。作者名を基準にその作者の作品を覚えるようにするとよいでしょう。

明治以降の小説家

坪内逍遥(つぼうちしょうよう)】…… 文学論についての書物『小説神髄(しょうせつしんずい)』を著した。写実主義を唱えた。
二葉亭四迷(ふたばていしめい)】…… 写実主義の作家。代表作は『浮雲』。話言葉ではじめての小説を書いた(言文一致体)。ペンネームは父に「くたばってしめい! 」と言われたことに由来する。
尾崎紅葉(おざきこうよう)】…… 言文一致体を完成に導いた。貫一とお宮が出てくる『金色夜叉(
こんじきやしゃ)』は彼の代表作。当時、貫一とお宮の動向は、多くの人の関心の的となり、社会現象にまで発展した。また、尾崎は日本で初の文学結社「硯友社(けんゆうしゃ)」を作った。写実主義。
幸田露伴(こうだろはん)】…… 尾崎とともに写実主義の代表作家。代表作に『五重塔(ごじゅうのとう)』がある。
樋口一葉(ひぐちいちよう)】…… 明治時代の女流作家。5000円札の人。写実主義。代表作は『たけくらべ』・『にごりえ」。すぐれた作品を残すが、二十四歳で死去。
泉鏡花(いずみきょうか)】…… 怪奇小説、『高野聖(こうやひじり)」の作者。
島崎藤村(しまざきとうそん)】…… 自然主義の小説家であり詩人。代表的な小説に『破戒(はかい)』・『夜明け前』。また、詩集に『若菜集』がある。
田山花袋(たやまかたい)】…… 自然主義の小説家。代表作に『蒲団(ふとん)』・『田舎教師(いなかきょうし)』がある。
永井荷風(ながいかふう)】…… 『あめりか物語』『ふらんす物語』の作者。谷崎潤一郎とならび耽美派(たんびは)と呼ばれる。
谷崎潤一郎】…… 耽美派の代表的な作家。『刺青(しせい)』『細雪(ささめゆき)』などが代表作。
森鷗外(もりおうがい)】…… 明治・大正時代の文豪。反自然主義。軍医としてドイツに留学経験がある。代表作は『舞姫』『阿部一族』『山椒太夫』など。安楽死問題を扱った『高瀬舟』は高校の教科書にも良く掲載される。
夏目漱石(なつめそうせき)】…… 明治時代の文豪。反自然主義。政府の要請でイギリスに留学した。初期の作品にはユーモラスなものが多い。代表作は『吾輩は猫である』・『坊っちゃん』・『草枕』など。また、『三四郎』『それから』『門』は前期三部作、『彼岸過迄(ひがんすぎまで)』『行人』『こころ』は後期三部作と呼ばれている。
武者小路実篤(むしゃのこうじさねあつ)】…… 白樺派の代表作家。『友情』を著した。
志賀直哉(しがなおや)】…… 白樺派の小説家。小説の神様と呼ばれたほどの名手だった。『小僧の神様』『清兵衛と瓢箪ひょうたん』『城の崎(きのさき)にて』など短編が多い。唯一の長編『暗夜行路(あんやこうろ)』は休載期間も入れ足かけ十六年もの間、連載された。
有島武郎(ありしまたけお)】…… 白樺派。『生まれ出づる悩み』の作者。
芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)】…… 漱石の門下から出た大正期の代表的な作家。『鼻』を漱石に激賞され文壇デビューを飾る。代表作に『羅生門』『河童』『蜘蛛の糸』『杜子春』など。
菊池寛(きくちかん)】…… 『恩讐(おんしゅう)の彼方に』の作者。芥川賞・直木賞を設立した。
山本有三(やまもとゆうぞう)】…… 『真実一路』『路傍ろぼうの石』の作者。
横光利一(よこみつりいち)】…… 新感覚派の作家。代表作は『日輪(にちりん)』
川端康成(かわばたやすなり)】…… 新感覚派。ノーベル文学賞を受賞した。代表作は『伊豆の踊子』『雪国』など。これ以降ノーベル文学賞を受賞したのは大江健三郎のみ。
井伏鱒二(いぶせますじ)】…… 広島出身。『黒い雨』『山椒魚』の作者。『屋根の上のサワン』などの作品も有名。
太宰治(だざいおさむ)】…… 代表作『走れメロス』『斜陽(しゃよう)』『人間失格』『富嶽百景(ふがくひゃっけい)』など。昭和を代表する作家。玉川上水にて入水(じゅすい)自殺。その命日は彼の作品にちなみ「桜桃忌(おうとうき)」と呼ばれている。
三島由紀夫(みしまゆきお)】…… 『仮面の告白』『潮騒(しおさい)』『金閣寺』の作者。昭和四十五年自衛隊の市ヶ谷駐屯地に乱入し、割腹(かっぷく)自殺。
遠藤周作(えんどうしゅうさく)】…… 代表作『沈黙』『海と毒薬』などの作者。その作品は一貫して人間にとって神とはどのようなものかを問う。

明治以降の詩人・歌人・俳人

島崎藤村(しまざきとうそん)】…… 詩集『若菜集』の作者。
萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)】…… 近代詩の完成者。代表的な詩集に『青猫』や『月に吠える』など。
北原白秋(きたはらはくしゅう)】…… 詩集『邪宗門』の作者。多数の唱歌の歌詞を作った。
高村光太郎(たかむらこうたろう)】…… 現代詩の完成者。詩集『道程』の作者。また亡き妻を偲
んだ『智恵子抄(ちえこしょう)』は有名。
正岡子規(まさおかしき)】…… 万葉調の歌風をよみがえらせようとし、論文『歌よみに与ふる書』では紀貫之を酷評した。また、俳句を芸術の域まで高めていった。三十五歳で死去。
与謝野晶子(よさのあきこ)】 …… 詩人であり歌人。歌集『みだれ髪』の作者。日露戦争に行った弟をうたった詩、『君、死にたまふこと勿(なか)れ』は有名。
石川啄木(いしかわたくぼく)】…… 岩手県生まれ。小説家を目指して上京するが挫折。詩人・歌人として成功する。その歌は三行書きの特徴を持ち、感傷的。歌集『一握(いちあく)の砂』『悲しき玩具』は有名。
斉藤茂吉(さいとうもきち)】…… 歌人。歌集『赤光(しゃっこう)』の中の連作「死に給ふ母」は
有名。本業は神経科の医者。また、彼の息子は作家の北杜夫(きたもりお)。ちなみに北杜夫という名前は厳格な父にファンレターを書くために作ったペンネーム。彼は後に斉藤家の様子を『楡家(にれけ)の人々』という作品で著した。

まさお
まさお

まずは各時代の代表的な文学作品とその作者を頭に入れておきましょう。
手もとに国語の便覧などがあれば興味を持った小説家や詩人のページを開いて詳細をよく読んでみましょう。その人の人となりが見えてとても興味深いと思いますよ。


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