こんにちは。まさおです。
7/6、文部科学省はスーパーコンピューター「富岳」を使って国立競技場の観客1万人での感染リスクの試算結果を発表しました。
席を空けて座った場合、10,000人の中の10人の感染者が紛れていても、新規感染者は0.08名とほぼゼロに近いという結果が出ています。
オリンピックは1都3県で無観客の発表がありましたが、このシミュレーションの意味について少し考えたいと思います。
今回のテーマは「富岳による感染シミュレーション」です。
文部科学省が富岳のシミュレーション結果を公表
7/6、文部科学省が富岳による国立競技場の感染シミュレーションを公表しています。
詳細資料は以下のリンクから確認が可能です。
https://www.mext.go.jp/content/20210707-mxt_jyohoka01-000016684-01.pdf
【シミュレーション条件】
・全員がマスクをした状態
・観客どうしの座席に間隔を置いた場合
※座席を詰めた場合のシミュレーション結果も出ています。
【シミュレーション結果】
1.風が後方から吹いている場合
・国立競技場の設計通りの空調条件である、客席の後方から風が吹いている条件では、感染リスクは限りなく0に近い
※(筆者追記)資料上は10,000人に対して0.08名の新規感染者と出ています。
2.風が前方から吹いている場合
・客席の前方から風が吹いている条件では、感染リスクが少し上がるが、仮に1万人動員した場合の新規感染者数の試算は、1名に満たない程度
※(筆者追記)資料上は10,000人に対して0.23名の新規感染者と出ています。
【参考】マスクありでで、席を詰めて座り、風が前方から吹いている場合
・席を詰めて座り前方から風が吹くと新規感染者は4.7名まで増えるという試算になっています。
マスクをして座席を空けて座れば、前方から風が吹いても新規感染者は0.23名という結果となっています。基本、感染者は出ないということになります。
この結果自体はシミュレーションとして正しいものと思われますので、大いに参考にすべきということだと思います。
実際の人間が富岳のシミュレーション条件通りに動くかというところがポイントになりますね。
シミュレーションの範囲の前後の動きが重要
7/8に東京オリンピックの1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の会場は無観客で実施されることが発表されていますから、このシミュレーション自体は実はもう意味がないのですが、検討のプロセスとして、この情報だけが出ていることに違和感もあるので、少し補足したいと思います。
シミュレーション結果を使う場合は、その条件が実際の条件と合致していることが重要です。
今回のシミュレーションは、以下の条件が設定されていました。
「国立競技場」
「1階座席」
「マスク着用」
「滞在4時間」
「前向きに会話」
「市中感染率0.1%」
「会場内に感染者が10人いる」
この条件下であれば感染がほぼゼロということなので、実際の人間がこの条件で動けるかということが判断の重要なポイントになります。
さらに付け加えると、
・会場に向かうまでの感染リスク
・会場から自宅に帰るまでの感染リスク
・会場内のトイレなど座席以外の場所での感染リスク
等々の前後の文脈で発生する感染リスクで条件がブレる可能性があります。
特に、国立競技場の近辺の路上や駅などは規制退場などを含めて、上手に人を分散させないと国立競技場の周辺で感染リスクが高まることもあります。
文部科学省の富岳シミュレーションはそういった全体のリスク試算を目的としていないでしょうから、この発表内容はこれで良しとして、受け取る側のこのデータの使い方にリテラシーが必要だということになります。
これからの時代はデータ分析が日常的に当たり前のように流れてくるようになると思います。分析データは使う側にも知見がないと誤った判断をしかねないので、国民全体のリテラシーを上げる必要があります。大学の一般教養にデータサイエンスを必修で入れるなどの動きは、正にこのような状況で生きてくると思います。
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