こんにちは。まさおです。
文部科学省は教員免許の10年ごとの更新制を廃止する方向で調整に入ったようです。導入した2009年から10年たって更新が本格化したことで無理が顕在化したようです。そもそもなぜ免許を更新制にしたのでしょうか?
今回のテーマは「教員免許の更新制廃止」です。
教員免許更新制度は中止の方向へ
様々なメディアで報道がされています。
一例としてNHKの報道をリンクしておきます。
記事の中にもある通り、教員への意見調査では更新制度に肯定的な意見は2割程度しかなかったようです。
現場を長時間離れて講習を受けないといけないことや、講習費用が教員負担など、制度上も問題が多く、講習の内容も当初謳われていた教員の資質向上には必ずしもつながらない(各自治体の研修と重複)など、実効性を欠いていたようです。
共通テストのときと同じです。いったい誰がこの制度の効果を認めて導入の決裁をしたのか。10年もたって、実は意味がなかったのでやめますというわけにはいかないと思います。
文科省周りはこの手の問題が多く、主導する政治家や事務方の手腕に疑念を持たざるを得ません。
免許の更新制を導入した背景を踏まえて再検討が必要
一方で、免許の更新制をただ廃止しただけでは、導入前に逆戻りです。
そもそも免許の更新制度を導入した背景やそのときの問題点の解決方法をきちんと考えなければ、この一件はただ時間とお金を無駄に下だ件となってしまいます。
そもそもの議論は学力低下と問題教員の排除
教員免許の更新制は様々な背景が絡んでいるので、一概にこれを目的と下とは言いづらいのですが、主には以下の2点が主要な目的だったと言われています。
1.ゆとり教育による学力低下
⇒教員に求められる教育が大きく変わる中で、時代の変化について行けない教員を排除する必要があるという考え方
2.わいせつ行為など問題を起こす教員の排除
⇒教員が起こし不祥事を背景に、問題教員が子どもの前に立つことがないようにする仕組みを持ちたいという考え方
第1次安倍政権下の「教育再生実行会議」の提言として教員免許の更新制が提言され、2009年から導入されたという経緯でした。
文部科学省は教員の資質向上のための施策として導入
上記の議論はいかにも教員に対してネガティブな考え方をもとに更新制を導入する考え方になっているので、文部科学省としてはこのやり方では現場が混乱するとして抵抗を示しました。
結果的には、教育の質を維持・向上させるために、教員の資質を時代に合わせてアップデートするための更新制という真っ当な立て付けにしてこの対応をスタートさせることになりました。
問題は「教員の資質」を時代に合わせてアップデートするには具体的にどうすれば良いのかということがなかなか詰め切れなかったところだと思います。
たとえば、現在の状況で言えば、GIGAスクール構想やデジタル教科書の議論が進む中で教育現場のあり方は10年前とは大きく異なってきています。
本来は、教員免許の更新講習で、具体的なタブレットを使った実践的な授業の進め方や教科特性ごとのデジタル教材の使用ノウハウなどを更新講習で身につけて教員自体がパワーアップできればそれに越したことはありません。
しかし、教育の現場は一方的に教えるノウハウだけでは成り立たないため、現在の講習の内容も相まって、現場の評判があまり良くないのだと思います。
問題教員をなくすための取り組みはこれからも必要
このような背景で、教員免許の更新制度は廃止されていくことになると思いますが、廃止するだけでは問題の解決にはならないと思います。
今後、オンラインで受講できる研修や教育委員会等の研修プログラムの集約など、新たな取り組みがスタートすることになると思います。
いずれにせよ、現場の教員が抱える様々な問題を支援する仕組みをきちんと整備することが急務だと思います。
研修制度だけでなく、人的支援なども含めた全体の底上げを期待したいところですね。
文部科学省の共通テストにおける英語民間試験や記述式問題の導入延期⇒撤回や教員免許更新制度の廃止など、同列に考えるべきではないのかもしれませんが、やはり導入時の検討や見通しの甘さが多くの時間とお金の無駄につながっていると思います。拙速にならないように丁寧な検討をすべく、体制強化をぜひ図っていってほしいと思います。
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